「旧字体」を「新字体」に変えた「国語改革」の愚

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旧字体

1.旧字体の名前

私は、昭和24年生まれなので、戸籍謄本や住民票、印鑑証明などを見ると、名前の漢字はいわゆる「旧字体」ですが、小学校入学後まもなく「新字体」で名前を書くようになりました。

その後中学・高校・大学に入っても「新字体」で、社会人になってからも、健康保険証や年金手帳にも「新字体」の名前になっています。

2.「熟語」を以前使われていた漢字から別の漢字に置き換える例

話は「旧字体」から少し脱線しますが、「熟語」で、以前使われていた漢字から別の漢字に置き換えられている例があります。

「障害」も本当は「障碍(または障礙)」が正しいと思います。いつか「障碍者団体」の人が、「しょうがい」に「害」という漢字が入っているから「悪い」と見なされると訴えていました。本来の意味を表す「障碍」に戻した方がよいと私は思います。

「害」は①そこなう、②わざわい、③さまたげる、④攻めるのが困難な所などの意味がありますが、「碍」は①さまたげるという意味です。

最近では、「障がい者」と表示している場合が多いようです。

「非難」も本当は「批難」が正しいと思います。「非」は①よくない、②悪いとする、③そしる、④そむくなどの意味がありますが、「批」は①うつ、たたく、②善し悪しの品定めをするなどの意味があります。高校時代に大正生まれの先生が「批難」と板書した時、違和感がありましたが、戦前に書かれた小説などでも「批難」と書かれる場合が多かったように思います。

3.「人名に使える漢字」の制限

一方、人名に使える漢字として、「翔」という文字が昭和56年10月になってやっと認められたというのも不思議な気がします。非常に良い漢字で、柴田翔のような作家の「ペンネーム」や、哀川翔のような芸能人の「芸名」には、以前から使用されていたので、この事実を知った時は大変驚きました。

人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔さんは本名で、昭和57年1月生まれです。彼の苗字の櫻も「旧字体」ですが、「桜井翔」と「新字体」で表記されることもあるようです。

私は、今まで会社でも「新字体」を使用して来ましたが、死んだ時に「同一人であることの確認が出来ない」事態になることを避けるために、最近になって銀行口座は全て本来の「旧字体」に戻しました。

ただ、国民健康保険は「新字体」で通用していますし、国民年金も「新字体」で入って来ていますので、「新旧混用」のままでもとりあえず差支えないようです。

自分の苗字や名前を全く別の漢字で間違って書かれたりする時ほどの違和感はありませんが、何となく不安定な状態に置かれている感じは拭(ぬぐ)えません。

4.「旧字体」はいつから、何故「新字体」に変わったのか

さて、それでは、「旧字体」はいつから何故「新字体」に変わったのでしょうか?

これは、戦後の国語改革」によるものです。上に例に挙げた「障碍」という言葉についても、「碍」という字が「当用漢字」に含まれなかったため、代わりに「害」という字を当てることになったもので、いわば「当て字」です。なお「礙」は「碍」の「正字」で、「碍」は俗字」です。

1946年11月16日の内閣訓令と内閣告示で、1,850字の「当用漢字表」が告示されました。

「従来わが国で用いられている漢字は多すぎて、使い方も複雑なため、教育上または社会生活上多くの不便があった。これを制限することは、国民の生活能力を上げ、文化水準を高める上に、資するところが少なくない」と趣旨を述べています。

私は個人的には、上の文章の赤字部分は、全く逆ではないかと疑問に思います。現代中国の文字は、1950年代に全面的に漢字を簡略化した「簡体字」となりましたが、日本の「新字体」よりもひどい改悪で、これが漢字発祥の国の文字かと疑いたくなるほどです。これでは、中国のほとんどの民衆は「古典を原文で読めない」状態となり、ある意味で「焚書坑儒」と同じ効果をもたらす「衆愚政治」のような気がします。

1949年4月28日の内閣訓令と内閣告示で、「当用漢字字体表」が告示されました。

「さきに、当用漢字表と当用漢字音訓表を告示したが、漢字を使用する上の複雑さは、その数の多いことや読み方が多様であるだけでなく、字体の不統一や字画の複雑さによることも多いので、漢字の字体を整理して、その標準を定めた」と趣旨を述べています。

私は個人的には、上の文章の赤字部分は、漢字の由来を無視した改悪ではないかと思います。

なお、1981年10月1日の内閣告示で「常用漢字表」が告示されました。これは「当用漢字」1,850字に95字を加えた1,945字です。

「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送等、一般の社会生活で用いる場合の、効率的で共通性の高い漢字を収め、分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安」とあります。

人名用漢字」は、人名に用いる事が出来る漢字として法務省により指定され、戸籍法施行規則別表第二(人名用漢字別表)に掲げられた漢字のことです。1951年の内閣告示以来、1976年、1981年、1990年、1997年、2004年の追加・改訂を経て、2004年8月現在は290字となり、現在さらに追加案が検討されているそうです。

5.戦後の「国語改革」は誤りで愚策

今さら、全てを「旧字体」に戻すことは到底不可能だと思いますが、戦後のこのような「国語改革」は、誤った「戦後教育」に繋がっているように、私は思います。

「難しいことを丸暗記させるのは、子供がかわいそう」だとか、「あまり難しいことを教える必要はない」、「暗記よりも自由に考える力をつけましょう」、「競走で順位を付けてはいけないので、みんなで手をつないでゴールインしましょう」とかいう考え方です。

これでは、国民の生活能力を上げ、文化水準を高めることにならないのは明らかです。今さら嘆いても始まりませんが・・・



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