一昨年から昨年にかけて、「宅配ボックス」から商品が盗まれるという被害が多数発生しているとの報道がありました。
「宅配ボックス」というのは、宅配業者が配達時「不在者」が多く、ドライバーの負担が増加しているため、それを解消する方法として考案したものです。
玄関先に「宅配ボックス」を設置しておけば、ドライバーが暗証番号を記入した「不在連絡票」を郵便受けに入れておくので、その暗証番号を入力すれば「開錠」出来るわけです。
1.犯人の「手口」
犯人は、新聞紙を丸めてテープを巻き付けた棒を郵便受けに突っ込んで「不在連絡票」を取り出して、暗証番号を確認して開錠する手口で、犯行を重ねていたそうです。
また、マンションでも、郵便受けを施錠していない場合は、もっと簡単に中を開けて確認できるわけです。
重要な郵便物は、「書留」や「本人限定受取郵便」で来るため、郵便受けには、さほど重要でない普通の郵便物が入っていると油断しがちです。その盲点を突いたのです。
日本は、一昔前までは、開発途上国やヨーロッパ諸国に比べて、治安がよく、手荷物から少しぐらい目を離しても、盗まれることはありませんでした。また「落とし物が戻って来る」と外国人が驚くくらいでした。
しかし、現在は治安が悪化しているようです。それにしても、この「宅配ボックス」盗難事件は、最近のコンピュータウィルスによる犯罪などとは違って、非常に古典的な窃盗です。
石川五右衛門の辞世にあるように「石川や浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ」というのが現実です。
何か便利なものを考案しても、その盲点や死角を狙った犯罪が必ず起きます。「いたちごっこ」のようなものですが、我々としては、逐次それに対抗する対策を考えなければならないということです。
2.責任の所在と対策
犯人はもちろん「窃盗罪」で、損害賠償責任があるのは当然ですが、宅配業者やマンションの管理会社に対して、責任を問うのは難しいのではないでしょうか?
今後の対策としては、宅配業者については、「不在連絡票」を小型封筒に入れるとか何らかの工夫をすることを考えていただきたいものです。
管理人が常駐するマンションの管理会社については、「宅配ボックス」近くの監視カメラに不審な人物が写っていないか、常日頃からよくチェックするなどの対策を考えていただきたいものです。
管理人が常駐していなくても、警備保障会社と契約しているマンションについては、「宅配ボックス」近くの監視カメラに不審な人物が写れば、直ちに警報が鳴るようなシステムを検討するなどの対策を考えていただきたいものです。