<2021/11/10追記>細木数子さんが11月8日に呼吸不全で亡くなりました。享年83。
ご冥福をお祈りします。
細木数子さん(1938年~2021年)といえば、「六星占術」とか「大殺界」という言葉と共に、書店で彼女の本が平積みされていたり、一時テレビに頻繁に出演していたので、知らない人はいないでしょう。
15年以上前になると思いますが、人生相談のような「占いブーム」があり、テレビのバラエティー番組に「六星占術」の細木数子さんが引っ張りだこになっていました。
私がこの人の名前をよく記憶しているのは、著名な陽明学者の安岡正篤(やすおかまさひろ)氏(1898年~1983年)との「結婚騒動」があったためです。
安岡正篤氏のことは前に詳しく記事に書きましたが、彼の存在を抜きにして、細木数子さんを語ることは出来ません。
1.細木数子さんとは
父親の細木之伴氏(1875年~1945年)は、大野伴睦などとも交際があり「民政党院外団の壮士」として活動していたそうです。一時「高島占断支部」の看板をかけたこともありましたが、本部から文句が出てやめています。しかし、太平洋戦争が始まる頃には政治活動から身を引き、「ロマンスクラブ」という名の「カフェ」を始めますが、彼女が7歳の時に病没しています。
彼女の父が「カフェ」を経営していた関係で、子供のころから飲食業が身近だったようです。
1955年(昭和30年)17歳の時に、東京駅の高架下に「ポニー」というスタンドコーヒーの店を開きます。高校在学中に「宝塚音楽学校」に合格しますが、入学辞退し、高校も中退して店の切り盛りに専念します。
「ポニー」開店から半年で売却、その資金で新橋のガード近くにクラブ「潤」をオープンしますが、これも翌年に売却しています。そして、1958年には20歳で銀座に「かずさ」をオープンしています。
1982年に、「長年にわたり独自に中国古来の万象学・算命学・易学の研究を行った結果、編み出した」と称する「六星占術」という占いに関する本を出版し、1985年に出した「運命を読む六星占術入門」という本がベストセラーとなり、「六星占術ブーム」を巻き起こし、「人気占い師」となりました。
テレビの「ズバリ言うわよ!」「幸せって何だっけ~カズカズの宝話~」「細木数子の緊急大予言シリーズ」などのバラエティー番組では、「占い師」「人生相談」「予言者」のようなことを巧みな話術でやっていました。
「あんた死ぬわよ」とか「あんた地獄に落ちるわよ」の決め台詞で相手を畏怖させることもありました。相談者に先祖供養として勧めたお墓の購入に関して「墓石霊感商法」のような損害賠償請求訴訟を全国各地で起こされたこともあります。
「予言」については、当たったものもあり、当たらなかったものもあります。
当たった例としては、音楽プロデューサーの秋元康氏に「これから10年巨万の富を稼ぐわよ」と言ったことがありますが、これは元々彼女が秋元康氏と交流があり、その才能を知っていたからでしょう。
一方、当たらなかった例としては、黒川紀章・若尾文子夫婦が結婚当初「すぐ離婚する」と予言しましたが、外れました。また、芸人の「おさる」さんに「モンキッキー」という芸名に改名することで「人気が出て、1~2年で冠番組が持てる」と予言し、彼はその通り改名しましたが、人気は上がらず冠番組も持てませんでした。この件について、彼女は「人に言われてホイホイ改名するのは馬鹿のすることです」と語っています。
戦前生まれらしく、道徳的な真っ当な意見を言ったり、料理が上手だったりする点は評価できるのですが、どうも占いに関しては胡散臭さが付きまといます。
彼女は、著書の中で「陽明学の大家の安岡正篤氏から大きな影響を受けた」と今でも彼の名前を使っているようです。自著のプロフィールで「安岡正篤氏と出会い、六星占術は単なる占いの域を超えた『人間学』にまで高められた。自然界のリズムにのっとった人間の生き方を絶えず追求し、荒波にもまれている人々に、つねに適切な指針を与えている」と述べています。「箔付け」か「虎の威を借る狐」のような気もしますが・・・
なお、彼女の「六星占術」について、溝口敦氏は「魔女の履歴書」という本の中で「神煕玲の六大天沖殺からの盗作である」と述べています。
また、ある占い師の話では「六星占術は『0(ゼロ)占星術』という占いのパクリ」だそうです。「0学では、土星・金星など12の星のタイプに分けて占うが、六星占術では半分の6つの星で占う。これは0学の星数を半分にしてプラスとマイナスを付けただけ」だということです。
2.細木かおりさんとは
細木かおりさん(1978年~ )は、細木数子さんの妹の長女ですが3歳まで彼女と生活し、自分のお墓を継承してほしいという思いから、3年前に養子縁組したそうです。
現在は、細木数子の「事実上の後継者」として、マネージャーの傍ら、自らも占い師として「鑑定」を行っているそうです。
彼女が2月4日(月)に、日本テレビ系列の『しゃべくり007』(21時~23時)で「テレビ初出演」するそうです。
細木かおりさんが、今後細木数子さんのような「ブーム」を巻き起こせるかどうかは、「テレビ出演した時にその話(話術)が説得力のあるものかどうか、カリスマ性があるかどうかによる」と私は思います。
私は否定的な予想を持っています。これも「当たるも八卦当たらぬも八卦」のようなものですが・・・