<2023/5/16追記>ロシアもウクライナもドローンを大量に使用
今やウクライナを侵略するロシアも、応戦するウクライナも、大量のドローンを投入しています。現代の戦争において「無人機戦争」は珍しいことではなく、今や当たり前になりました。
<2022/10/23追記>ロシアがウクラ侵略戦争でイラン製ドローンを使用
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵略は、8ケ月になろうとしていますが一向に出口が見えません。
クリミア大橋爆破を契機として、ロシアによるキーウなどウクライナ各地への大規模な報復爆撃が行われました。その中で、イラン製ドローンが使用されました。
「AI兵器」による「無人機戦争」が、現実のものとなった瞬間でした。
1.キューバ危機
かつてアメリカ(ケネディ大統領)とソ連(フルシチョフ首相)の「東西冷戦」の時代、「ボタン戦争」という言葉を聞いたことがあります。どちらかが「核兵器のボタン」を押せば相手もそれに応戦して「核兵器のボタン」を押して「人類滅亡」の危険もあるという恐ろしい話です。
「アメリカの裏庭」と言われたカリブ海に浮かぶキューバで、1958年カストロによるキューバ革命が起こり、社会主義政権が成立します。そのキューバにソ連が接近し、1962年に秘密の軍事協定を結び、核兵器を搭載できるミサイル発射基地をキューバに建設し始めます。
アメリカ空軍の偵察機がそれを発見し、報告を受けたケネディ大統領は緊急の国家安全保障会議を招集し、キューバを軍事力で海上封鎖することを決断します。これが「キューバ危機」と呼ばれるものです。
米ソの交渉の結果、ソ連がミサイル基地を撤去することに同意し、アメリカも海上封鎖を解き、キューバ危機は終息します。かくして核戦争による人類滅亡の危機はどうにか回避されました。
2.全自律型AI兵器
最近は、AIの飛躍的な進歩で、「医療ロボット」や無人機「ドローン」などがどんどん進化を遂げています。
AIを使って戦闘機の空中戦をコントロールするのは対地攻撃を行うより難しいため、多くの国では、戦闘機へのAIの利用は対地攻撃に絞って研究を続けています。
アメリカは「X-47B」という「無人戦闘機」の開発をしていました。この戦闘機は、最新鋭ステルス戦闘機「F-35」の後継機として第6世代戦闘機へつながる「人口知能無人ステルス戦闘機ペガサス」です。ただ、この開発計画は予算上の理由でいったん中止されています。現在はこれに代わって無人偵察機とその空中給油機の開発を進めているそうです。
余談ですが、「F-35」は現在、ロシアの最新の地対空ミサイル防空システム「S-400」を突破する最新鋭機ですが、トルコをはじめ多国間で部品製造しています。最近トルコが「S-400」システムをロシアから導入することを決めたため、アメリカはトルコへの部品製造発注を中止すると牽制しています。トルコを通じてロシアに「F-35」の軍事機密の技術情報が流出し、「S-400」の性能改善に利用される懸念があるためです。
「F-35」といえば、4月9日に航空自衛隊の「F-35A」が青森県沖の太平洋上で消息を絶ち、「墜落」したと見られています。軍事専門家によれば、ロシアと中国は行方不明の機体の発見のためにあらゆる手段を使うだろうということです。もし、両国によって機体が発見され「F-35」のテクノロジーなどの軍事機密が盗まれると、アメリカにとって大きな打撃になると予想されます。
一方、日本の防衛省ではロボット技術を使った高性能の無人戦闘機の研究を進めているそうです。具体的には有人戦闘機のパイロットが「列機(随伴機)」として「無人戦闘機」を伴い、偵察や通信の任務を担わせる構想のようです。
中国は無人機のドローン119機を「集団飛行」させて同時に制御可能であることを実証済みだそうです。現在は無人潜水艦の開発を進めており、主に対米軍対策として南シナ海などに展開する計画だそうです。これが実現すれば、太平洋戦争中の日本軍の特攻隊の攻撃や人間魚雷の攻撃のような「自爆攻撃」が「無人機ドローン」や「無人潜水艦」によって行われる可能性があります。
3.「AI兵器」規制に関する国際会議
今年3月にスイス・ジュネーブで開かれた「AIを搭載した新型兵器に関する国際会議」では、規制をめぐってアメリカなどの軍事大国と発展途上国との意見対立が鮮明になりました。
アメリカは「的確な判断」などAI兵器の利点を強調しましたが、途上国は国際的なルールの必要性や倫理面を懸念する意見が出ました。
確かに「全自律型AI兵器」は、一度起動すると自ら標的を定め攻撃するもので「第二の核兵器」とも呼ばれます。戦争の在り方を大きく変えるもので、AIの暴走で人間には制御不能になって「勝手にロボット同士が戦争をする」ような危険もあります。「誤作動」の恐れもあります。
日本は、「人間の制御は必要との立場で、殺人するAI兵器は開発しないが、省力化に向けAIを活用した兵器の開発や配備は進める」としています。
この会議は今年8月に、もう一度開催されるとのことですので、慎重にかつ冷静に議論してほしいものです。