市川海老蔵らのブログを国立国会図書館が保存開始!後世に伝える意義を認める

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国会図書館でブログ保存

私は中学生の頃、父から「国会図書館には日本で出版された本や雑誌が全部そろっている。漫画もある」と聞かされて、「どんなつまらない本でも置いてあるのかな?どんどん本が増えたら置く場所がなくならないのかな?漫画まで置く意味があるのかな?」といった素朴な疑問を抱いたものです。

現在、日本のアニメは海外でも大人気です。麻生太郎財務相も漫画・アニメーションの愛好家で、「世界に誇る日本のサブカルチャー(あるいはポップカルチャー)」と言われていますが、当時は子供が読んだり見たりする「教育上あまりよろしくないもの」で、一般の書籍に比べて一段も二段も低く見られていました。

宮崎駿監督のスタジオジブリや新海誠監督などのアニメ映画によって、アニメの文化的質がずいぶん向上し、大人でも十分楽しめるものになりました。

ところで最近、「国立国会図書館が市川海老蔵さん、小林麻央さん、近藤麻理恵さん(片付けコンサルタント)、福原愛さんら国内外で活躍する文化人とアスリートなど42人のAmebaブログを保存した」との報道がありました。

前に「読書感想文に電子書籍NGはおかしい」という記事を書きましたが、今や「紙の本」だけでなく、CDやビデオ、DVDも公共図書館に置いてある時代なので、国会図書館が「ブログの保存」に乗り出したのは、時代の流れとして当然だと思います。

1.国立国会図書館によるブログの保存

(1)保存の経緯

国立国会図書館では、2002年から公的機関のホームページなどの「インターネット資料収集保存事業(WARP)」の取り組みを行っています。しかし、「ウェブアーカイブ」(インターネット記録保存館)に保存されるウェブサイトのうち、「ブログ」をターゲットとして収集するのは今回が初めてです。(WARPの2019年10月特集

きっかけは、ブログサービス「Ameba(アメーバ)」を運営するIT大手の(株)サイバーエージェントからの提案だったそうです。

小林麻央さんと近藤麻理恵さんのブログが、「後世の研究者、一般社会のために貴重な記録」として2017年に、スタンフォード大学東アジア図書館のウェブアーカイブコレクションに保存されたことも影響しているのかもしれません。

(2)保存の意義

国立国会図書館は「ブログの保存」について、「現代社会における生の情報を記録する資料として、それらを保存し、後世に伝える意義は大きい」としています。

要するに「この時代の人々は、こんなことを考え、こんなことをして生活していた」ということが、100年後、1000年後でも生々しくわかるような資料」だということでしょう。

平安時代から鎌倉時代にかけても「土佐日記」「蜻蛉日記」や「紫式部日記」「更級日記」などの日記文学があり、「徒然草」や「方丈記」のような随筆・随想がありました。江戸時代にも新井白石の「折たく柴の記」、明治時代以降には「小説家の日記」というものがありますが、それよりも「より日常生活に即した現代版日記」ということでしょうか?

ただ、ブログは、直截的で生々しい記録・史料である反面、冗長で熟(こな)れていないというか生煮えのきらいがあります。果たしてこれらのブログが、上に挙げたような洗練された日記文学や随筆・随想に匹敵するような「後世に伝える意義」があるのかというと、若干の疑問が残ります。

(3)保存の対象選定基準

今回は、(株)サイバーエージェントからの提案のため、同社が運営する「Amebaブログ」から42人が選ばれました。今後は他社の運営するブログも含めて、適切な選定基準を策定した上で、玉石混淆の膨大なブログの中から公平・公正に価値のあるものを選定・保存されることを期待したいと思います。

ところで、今回小林麻央さんが選ばれた理由は、上に述べたスタンフォード大学東アジア図書館のウェブアーカイブコレクションに保存されたことのほか、彼女の懸命な闘病生活がマスコミで大きく報じられ、同情や共感を呼んだことも大きいと思います。

では、彼女の夫である市川海老蔵さんが選ばれた理由は何でしょうか?私は個人的にはあまり知らなかったのですが、彼は2013年4月のブログ開設以来現在までの累計投稿数がなんと5万件以上という驚異的な数字を記録しています。現在も更新頻度が全く衰えることなく、子供たちとの日常や人生の大切な出来事を発信し続けているそうです。

また、2014年4月には、初代「MVB(モスト・バリュアブル・ブロガー)」に認定されたほか、2018年2月に開催された「BLOG of the year 2018」では最優秀賞を受賞したそうです。

このような「実績」が市川海老蔵さんを選んだ理由のようです。

今回は上に挙げたような有名人のほかに「Amebaブログの有名ブロガー」も選ばれています。私は今回初めて知った人ですが、「kosodatefulな毎日」という子育ておばちゃんの面白いブログを開設している「ちゅいママさん」(現在は「オギャ子」に改名)です。

蛭子能収の漫画のようなイラストと大阪弁丸出しの文章が、漫画を読んでいるようで面白いです。10月3日付けの記事では、国会図書館にブログが保存された驚きと喜びを、面白おかしく綴っています。

2.「国立国会図書館」とは

「国立国会図書館」(National Diet Library)は、「日本の国会(Diet)議員の調査研究、行政、ならびに日本国民のために奉仕する図書館」です。

また「納本制度」に基づいて、日本国内で出版された全ての出版物を収集・保存する日本唯一の法定納本図書館です。

設置根拠は、1947年施行の「国会法」第130条および「国立国会図書館法」第1条です。

施設としては、中央の図書館として東京の「国立国会図書館東京本館」(1948年開館)、京都府精華町の「国立国会図書館関西館」(2002年開館)の二つがあり、支部図書館として「国際こども図書館」(2000年開館)や「最高裁判所図書館」(1949年開館)などがあります。

(1)歴史

前身は、大日本帝国憲法下の帝国議会各院に置かれていた「貴族院図書館」「衆議院図書館」、および文部省に付属していた「帝国図書館」です。

(2)保存書籍・雑誌等

「国立国会図書館法」は、国内全ての官公庁、団体と個人に出版物を国立国会図書館に納本することを義務付けています。

納本の対象となる出版物は、図書、小冊子、逐次刊行物(雑誌や新聞、年鑑)、楽譜、地図、マイクロフィルム資料、点字資料およびCD-ROM、DVDなどパッケージで頒布される電子出版物(音楽CDやゲームソフトも含む)などです。

この「納本制度」に基づき、国内出版物の網羅的収集や全国書誌の作成が行われています。また図書館間協力や国際協力にも力を入れています。

ただし、納本が義務付けられており罰則(定価の5倍の金額の過料)もありますが、現実には全ての出版物が納本されているわけではないようです。中小の出版社・企業の出版物や自費出版、同人誌などの「納本洩れ」もあるようです。

一方、「自費出版」の本が、毎年大量に「自費出版業者」から持ち込まれますが、ほとんど100%が永久に誰にも読まれない「死蔵本」となる運命のようです。当然と言えば当然ですが・・・

この「死蔵本」がどんどん増えて行くことは、「無駄な場所ふさぎ」になるという問題もあるのではないかと私は思います。

(3)納本制度を悪用した詐欺事例

民間の出版物の場合は、営利のために出版されていることを考慮して無償の納本を義務付けておらず、「小売価格の5割程度の金額」が「代償金として支払われることになっています。2015年にAmazonだけで販売されていた「1冊の定価が6万円の自費出版物」が納本がされ、国立国会図書館が42冊を136万円で購入して、ネットで大問題になった(炎上した)ことがあります。

これは高額ですがギリシャ文字を羅列しただけで文献的価値の全くない「亞書(あしょ)」という「本」です。2013年に26歳の男性が1人で設立・運営する「りすの書房」(現在は倒産しているとのこと)から発売された定価64,800円の本で、著者は「アレクサンドル・ミャスコフスキー」(架空の人物)です。

2015年2月に1巻が発行され、最終的に96巻まで発行されました。全部定価で購入したとすると、6,220,800円になります。実際に購入されたのは42冊とのことです。2016年になって国会図書館が「書籍の返却と代償金の返還請求」を発表しました。

その結末がどうなったのか知りませんが、これは明らかに納本制度を悪用した「詐欺行為」だと思います。

(4)裏技利用法

漫画も保存しているとのことなので「無料マンガ喫茶」として利用することも可能ではないかと思います。ただし、コミック出版社が全て「納本制度」に応じて納本しているかどうかはわかりません。

「人気漫画のコミックス(単行本)が国会図書館に入っていない」とか「中堅出版社ではコミックについては納本しないのが慣行となっている」との報道もあります(2011/8/20付けJ-CASTニュース)。

前に「流行作家が新刊書を図書館に置くことに反対している」という記事を書きましたが、コミック出版社もコミックスの売上げに悪影響があるので、売れ筋の本を国立国会図書館には納本しないのかもしれません。

いずれにしても、実態は国立国会図書館に行って見ないとわかりません。私も暇が出来たら、東京の国立国会図書館か、京都府精華町にある「国立国会図書館関西館」に行って確認してみたいと思います。