少子化は晩婚・非婚化、経済的理由のほか、無精子症の男性の増加も大きな原因!

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人工授精(AID)

日本で「少子化」の問題が取り上げらるようになってから30年くらい経ちます。その原因と対策についてもいろいろ言われていますが、今回は原因の一つである「無精子症」についても考えてみたいと思います。

1.無精子症の男性の増加

最近、子供が欲しいのになかなか出来ないということで、「不妊治療」に通う夫婦が増加しています。

「不妊」は女性に原因がある場合もありますが、男性の「無精子症」ないし「精子の極端な不足」が原因になっていることも多いようです。「無精子症患者」は増加傾向にあり、現在、一般男性の1%が「無精子症」と言われています。

原因は、細菌感染や、ヘルニア手術の後遺症、器官の機能不全・炎症や外傷、遺伝子異常などいろいろあるようですが、ストレスや環境ホルモン、農薬、食品添加物、食生活などの影響もあるのではないかと思います。

精子ゼロと診断された「無精子症」のダイアモンド☆ユカイさんでも、子供が生まれていますので、治療すれば子供が生まれる可能性はあるということです。

ところで一般の男性全体についても、全世界的に精子が減少しているそうです。2017年にヘブライ大学(イスラエル)とマウント・サイナイ医科大学(アメリカ)の研究者らが発表した調査結果によると、米欧およびオーストラリアとニュージーランドに暮らす男性の精子数は、この40年間で半分以下に減ったそうです。単純に言えば生殖能力が半減しているということです。

とすればあと40年で精子数はゼロになるのかというと、それはわからないそうです。しかし「人類が絶滅危惧種に向かっているのは間違いない」そうです。

デンマークの小児内分泌学の権威スカケベック氏によれば、「男性の不妊は深刻な危機で、今やデンマークの男性の20%以上は父親になれない」とのことです。

スカケベック氏によれば、決定的な原因は「石油化学産業がプラスチックの微粒子をまき散らし、それを体内に取り込んだ我々人間のホルモンとりわけ女性ホルモンと男性ホルモンのバランスに深刻な影響を与えたこと」だそうです。

人のホルモンバランスに悪影響を及ぼす合成化学物質は、「外因性内分泌かく乱物質」と言いますが、一般には「環境ホルモン」と呼ばれています。ダイオキシンPCB(ポリ塩化ビフェニール)が代表的なものです。このほか、サラダ油やキャノーラ油などの調合油の主成分であるカノーラ菜種油や水素添加植物油にも「環境ホルモン作用」があるそうです。

我々はプラスチックに囲まれて生活しており、また食品加工の装置にも使われていますので、微量ながらも確実に我々の口に入り、体内に蓄積されています。

2.不妊治療の危機的状況

(1)慶応大学病院が第三者の提供精子を使った不妊治療を中止

1948年から70年以上にわたって、慶応大学病院では慶応大学の医学生などに「匿名を前提に」精子提供してもらって、不妊治療(「非配偶者間人工授精(AID)」を実施して来ました。慶応大学病院では年間約1,500件の治療が実施されて来たそうです。AIDによって生まれた子供の数は1万人~2万人と推定されています。

しかし、不妊治療を受けて生まれた子供が「自分のルーツを知りたい」という動きが出て来て「生まれた子供に遺伝上の親を知る権利を認める」動きが世界的に広まっているため、慶応大学病院がその動きを伝えたところ、ドナー希望者が激減し、2019年8月以降の不妊治療を中止せざるを得なくなったということです。

担当する田中守教授は「日本で出自を知る権利が認められた場合、2人の親が存在してしまう可能性がある。法整備によって、安全で安心な精子提供システムを確立する必要がある」と課題を指摘しています。

2014年には、実際に日本でも、AIDによって生まれた医師が遺伝上の親に関する情報開示を求める問題が起きています。

私が子供の頃、近所に「八百屋」をしているおばさんがいて、娘と二人で暮らしていました。娘が進学の時、「戸籍謄本」が必要で、おばさんが娘に「捨て子」だったことを打ち明けた途端、娘は大変なショックを受けて自暴自棄となり、家出したり不良になったりして荒れ狂ったそうです。娘が捨てられていたのは太平洋戦争前なので、空襲で両親などの保護者を亡くした戦災孤児ではなかったと思います。

捨て子と同様に、AIDで生まれたことを知らされた子供も、相当なショックを受けるという問題があるような気がします。私は個人的には「匿名を守り通し、AIDのことは知らせない」方が、全ての当事者にとって幸せではないかと思います。

(2)外国からの精子提供や当事者間での闇の精子提供

日本での精子提供を受けることが難しくなったことを受けて、台湾人の精子提供を受け「体外受精」する人も出て来ているようです。しかし、同じアジア人とはいえ、日本人以外の精子提供を受けるというのは、「国際結婚」をした夫婦であれば別ですが、問題があるように思います。

また、ネットで日本人の精子提供者を見つけて直接精子提供を受ける人もいるようです。しかし、これは倫理的な問題のほか、ドナーの遺伝的欠陥の有無がわからないこと、感染症のリスクなどの安全面や、医師の指導を受けずに行うことの衛生面、闇のビジネスになっていないかなど問題が多いように思います。日本ではまだ法律的な規制はないのでしょうか?

3.少子化問題の概観

急速に高齢化が進む日本において、少子化問題は「年金問題」だけでなく、労働力人口の減少で経済成長にも悪影響を及ぼし、将来の「日本の国力」にもかかわる重要な問題です。

「少子化」とは、「親世代よりも子世代が少なくなること」「合計特殊出生率(一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均)が、人口置換水準(長期的に人口が増加も減少もしない出生水準)を下回る状態が続き、子供の数が減少すること」「総人口に占める子供の人口の割合が低下すること」です。

合計特殊出生率は、1947年(昭和22年)には「4.54」でしたが、1975年に「2」を下回って「1.91」となってからは「2」以上には戻らず、2018年には「1.42」まで低下しています。

少子化問題について、政府は2007年から「内閣府特命担当大臣(少子化担当)」を置いています。

(1)原因

①晩婚化・非婚化、未婚化・晩産化

結婚や出産に対する意識の変化です。以前は男女とも20代で結婚する人がほとんどでしたが、「見合い」で結婚する風潮が廃れた上、女性の社会進出・キャリアウーマン化、子育て世代の男性の長時間労働、女性ばかりの職場や、既婚男性ばかりの職場で出会いの場が少ないなどの理由で、晩婚化や非婚化が進んだことです。

②経済的理由

若い世代の所得の伸び悩みや、共働きしないと満足な生活が送れないなどの経済的理由で、子供を産んで育てたいという気持ちはあっても無理だという状況のことです。

③保育所の不足

子育てしようとしても、働くお母さんが子供を預ける保育所が不足している「待機児童」問題があります。

④無精子症の男性の増加

(2)対策

①保育所の増設、延長保育の実施、地域子育て支援センターの整備

②出産・育児への経済支援

③男性の育児休暇取得推進などの働き方改革

④不妊治療や無精子症治療対策の推進

4.今後の課題

従来少子化問題については、「原因」も「対策」も①~③が中心に語られて来ました。これらは「産みたくても産めない」という問題でしたが、④は「産みたくても産まれない」という問題です。

しかし今後は④がクローズアップされてくると思います。④は医療問題だけでなく、環境問題、食の安全問題、倫理問題、法律問題などが複雑に絡み合っていて、なかなか難しい問題です。人類の存亡を賭け、英知を結集して全世界的な取り組みを期待したいと思います。