「麻雀」にまつわる面白い話

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麻雀

ついこの間まで国会で「検察庁法改正案」について渦中の人となっていた黒川東京高検検事長について、「緊急事態宣言下で不要不急の外出自粛期間中の5月1日と5月13日に、朝日新聞社員・産経新聞社員と賭けマージャンをしていた疑惑」が報道されました。

<2020/5/26追記>

黒川東京高検検事長らは、検察の判断によって賭博罪で起訴もされず、法務省の判断で「懲戒処分ではなく、極めて軽い訓告処分」で済みました。漫画家の蛭子能収さんが賭けマージャンで9000円勝っただけで逮捕されたことに比べて、あまりにも不公平なことは明らかです。

野党は内閣の関与の有無よりも、「法務省・検察の身内に甘い対応」こそ問題にし、追及すべきではないかと思います。

そこで今回は「麻雀(マージャン)」にまつわる面白い話をご紹介します。

私は、他の多くの人と違って大学時代に「麻雀」を全くやったことがありませんでした。会社に入って10年ほどたったころ、今から麻雀を覚えたいという「麻雀初心者」の先輩に誘われて数年間やっただけです。「点数計算」は結局完全に覚えられないままでした。

「徹夜麻雀」も一度やったことがありますが、学生時代からやっている猛者にはとてもかなわず、お金もかかり健康に良くない上、タバコの臭いが服に染み付くと妻からクレームを言われたこともあり、やめてしまいました。

私の中学時代の同級生に、「小学生の時から家族で麻雀をしている」という人がいて驚いた記憶があります。また、大学時代に「門前清(もんぜんきよし)」という同級生がいましたが、麻雀を覚えてから「門前清(メンゼンチン)」と同じ面白い名前だったと思い出しました。

1.麻雀の歴史について

起源には諸説があり、紀元前6世紀頃に孔子が発明したとの説もありますが、有力ではありません。

最も有力な説は、清の同治年間(1862年~1874年)に寧波の陳魚門が、明代(1368年~1644年)からあったカードゲーム「馬吊(馬弔、マーディアオ)」と「骨牌」というゲームを合体させて、麻雀を完成させたというものです。

この陳魚門という人は、かなり頭の良い人だったと思われます。新しいゲームや遊びを考案するのは、知能や創造力が優れていないと出来るものではありません。

余談ですが、かのドイツの哲学者ニーチェ(1844年~1900年)は、新しい遊び・ゲームを考え出す天才だったそうですが、次のような言葉を残しています。

 独創的とは、何か新しいものを初めて観察することではない。古いもの、古くから知られていたもの、または誰の目にも触れてはいたが、見逃されていたものを、新しいもののように観察することが、真に独創的な頭であることの証拠である。

日本人で最初に麻雀に言及したのは、夏目漱石だと言われています。友人の中村是公(南満州鉄道総裁)の誘いで満州旅行をした時の随筆『満韓ところどころ』に、次のような記述があります。

 二階が荷主のへやだと云うんで、二階へあがって見ると、なるほど室がたくさん並んでいる。そのうちの一つでは四人よつたり博奕ばくちを打っていた。博奕の道具はすこぶるなものであった。厚みも大きさも将棋しょうぎ飛車角ひしゃかくぐらいに当る札を五六十枚ほど四人で分けて、それをいろいろに並べかえて勝負を決していた。

その札は磨いた竹と薄い象牙ぞうげとを背中合せにいだもので、その象牙の方にはいろいろの模様が彫刻してあった。この模様の揃った札を何枚か並べて出すと勝になるようにも思われたが、要するに、竹と象牙がぱちぱち触れて鳴るばかりで、どこが博奕なんだか、実はいっこう解らなかった。ただこの象牙と竹を接ぎ合わした札を二三枚貰って来たかった。

日本で麻雀が一般に普及するようになったのは、1923年(大正12年)の関東大震災以降のことです。第二次大戦中は戦時色が濃くなり下火となりますが、戦後また大ブームとなります。

今では、「雀荘」でする麻雀よりも、コンピューターゲームの方が主流のようです。

2.麻雀好きの有名人について

小説家で文藝春秋社の創業者でもある菊池寛(1888年~1948年)は、大の麻雀好きで、雑誌でも取り上げられるようになり、文藝春秋社では「麻雀牌」まで販売していたそうです。

五味康祐さん(1921年~1980年)には、『五味マージャン教室』『五味マージャン大学』などの戦術書があり、阿佐田哲也さん(1929年~1989年)は『麻雀放浪記』の作者として有名です。「ムツゴロウ」という愛称で有名な畑正憲さん(1935年~ )は、日本プロ麻雀連盟の相談役をしておられます。

3.賭け麻雀について

私が若い頃、某第三セクターに出向していた時のことです。民間企業のほかに公務員の大阪市や大阪府、大阪府警からの出向者の人がいました。

ある時、民間企業からの出向者の一人が、大阪府警から出向している警部に、「警察の人は麻雀でお金を賭けないんですか?」と聞いたところ、警部は眼光鋭く睨みつけて、「阿呆か!どこの世界に、金も賭けんと麻雀する奴がおるんや!」と一喝しました。

質問した人は、最初警部に睨みつけられた時、「これは警察の人を目の前にして、まずいことを言ってしまったかな?」とびびりましたが、答えを聞いてみんな唖然とした表情をしていました。