近年の夏は、毎年各地で35度以上の「猛暑日」が続くようになり、日本で40度以上の「酷暑日」が普通になるのもそう遠くないと思います。
ところで、この猛暑への対策として、駅の周辺や「ペデストリアンデッキ」に「ドライミスト」が設置されているのをよく見かけるようになりました。
1.JR高槻駅南側のペデストリアンデッキの「ドライミスト」
私の自宅近くのJR高槻駅南側の松坂屋につながる「ペデストリアンデッキ」にも「ドライミスト」が設置されているのですが、「吹き出し口が外向き」なのが気になっています。
「吹き出し口が外向き」なので、ドライミストは風に流されて外側に拡散されて「雲散霧消」してしまいます。ドライミストが設置された屋根の真下の道の温度を下げる効果は発揮していません。ドライミストの無駄遣いのように感じます。
吹き出し口は、冷却効果を高めるために「内向き」にすべきではないでしょうか?
「屋根のない所を歩く人のため」と言うのであれば、せめて「真下向き」にして外へは風で流れる効果を期待すべきではないでしょうか?
高槻市・JR西日本・松坂屋など関係各位のご検討をお願いしたいと思います。
2.岐阜県多治見市の多治見駅南広場の「ドライミスト」
埼玉県熊谷市や群馬県館林市とともに猛暑で有名な岐阜県多治見市では、「多治見駅南地区市街地再開発事業」による「多治見駅南広場」に「ドライミスト」が設置されています。
ここでは、ドライミストの吹き出し口は設置された屋根の内側方向で、下に向いているようです。
3.「ドライミスト」とは
「ドライミスト」とは、「水を微細な霧の状態にして噴射し、蒸発する際の気化熱の吸収を利用して主に地上の局所を冷却する装置」です。英語では「mist spraying」と言います。
水の粒子が16㎛と小さいため、素早く蒸発し、肌や服が濡れる心配もありません。
4.「ドライミスト」の歴史
実は「ドライミスト」を考案したのは日本人で、元名古屋大学教授の辻本誠氏(1951年~ )です。
辻本氏は、2002年の「屋上緑化に関する会合」に参加した際、手間もコストもかかる屋上緑化の代替手段として、直接水を散布し気化熱を利用する方法を思いついたそうです。
気化熱を利用して涼気を取る日本古来の「打ち水」からの発想だったのかもしれません。
その後、経済産業省の「地域新生コンソーシアム研究開発事業」を利用して、名古屋大学・清水建設・能美防災・中部電力・川本製作所・トーキンとの共同開発を経て実用化にこぎつけました。
2007年には、住宅向けの小規模設備も開発されています。