「医療従事者」に続いて、「65歳以上の高齢者」へのコロナワクチン接種が順次始まっていますが、「ワクチン接種の優先順位」について少し気になる点があります。
1.コロナワクチン接種の優先順位
コロナワクチン接種の優先順位は、現状では「医療従事者」を最優先とし、次に「65歳以上の高齢者」、「基礎疾患を有する人や高齢者施設の従事者」それから「その他の65歳未満の人」となっています。
2.年齢にかかわらず接種の優先順位を上げるべき職種
しかし、年齢にかかわらず職種柄、接種の優先順位を上げるべき職種があります。
政府はガイドラインを明確にするとともに、早急に優先順位を見直すべきだと私は思います。
(1)検疫所や国際線パイロット・CAなど多数の出入国者と接触する職種
感染リスクは、医療従事者に匹敵すると思います。
(2)老人ホームや障害者施設、訪問介護サービスなどの介護職員
毎日、施設入所者と身近に接して世話をする介護職員は、自分がコロナに感染すると「施設内クラスター」が発生するリスクが非常に高くなります。訪問介護サービスの介護職員も同様です。
保育所の保育士や幼稚園の先生なども、これに準ずる職種と言えるかもしれません。
(3)消防署の救命救急隊員
119番を受けて病人を緊急搬送する救命救急隊員も、コロナに感染した疑いのある人に対応することも避けられず、まず自分たちがワクチン接種を受けてコロナに感染しないようにする必要があります。
(4)歯科医や歯科衛生士
歯科医や歯科衛生士も、直接患者の歯や口腔を施術する職種なので、優先接種すべき職種だと思います。
私の知り合いの歯科衛生士は、最近になってようやく1回目の予約が取れたと言っていました。2回目についてはまだだそうです。ただ、本来「2回接種」なのですから予約も2回目とセットにするのが筋だと思うのですが・・・
(5)警察官
パトロールして不審者や行き倒れなどと直接接触する警察官も、優先接種すべき職種だと思います。
(6)自衛隊員
災害救助・復興支援などに派遣される自衛隊員や、今回のようにコロナの大規模接種会場に派遣されてワクチン接種に当たる医官・看護師も、優先接種すべき職種だと思います。
(7)東京五輪出場選手・大会関係者
IOCは五輪選手にファイザーのワクチンを確保すると表明しました。日本では今「五輪中止論」が各方面で言われているため、オリンピックに出場する選手や大会関係者は板挟みになって、肩身の狭い思いをしているようです。
菅首相は「安心・安全な五輪開催」を表明しているのですから、首相が「五輪出場選手にはワクチンを優先接種する」ことをきちんと明言すべきです。
野党やマスコミなどからの批判や世論調査の結果を気にして何も言わないのは無責任です。
(8)閣僚・知事・市町村長(?)
これは元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏も主張していることです。これについては、「上級国民優遇」との批判が起きそうな気もします。吉村大阪府知事は「自分は優先接種は受けない」と明言しています。
閣僚や知事・市町村長がコロナに感染して入院し、職務遂行不能になっても、副大臣・副知事・副市長が代行すれば済む話と言えばそれまでです。
それに彼らのような公務員のトップが優先されるのであれば、民間企業の社長クラスも優先されるべきではないかという意見も出てきそうです。
3.接種予約の不正行為
スギ薬局会長が地元の愛知県西尾市役所へ圧力をかけて「優先予約」を取った不正行為は、一般の人がなかなか予約ができない状況を考えると許されないというのは私も同感です。
また東京都多摩市役所(職員数約800人)で300人を超える職員(当然ながら65歳未満)が優先的にワクチン接種を受けていたことで、世論の厳しい批判を受けましたが、これもルール違反で不正行為と言えます。
4.当日キャンセルなどで余ったワクチンの活用
しかし、市長や副市長、市役所職員などが、当日キャンセルなどで余ったワクチンの廃棄を避けるために自分たちに接種したのは「弾力運用」であり、一概に責められるべきではありません。市民などへの説明は必要かもしれませんが・・・
「弾力運用による廃棄ロスの低減」は、今後も必要になってくると思います。
市役所職員に限らず、キャンセルが出たら接種がまだの一般市民にも繰り上げ接種してもらう(当然のことながら、2回目の接種もセットにして)ようにし、当初の予約は必ずキャンセルするよう呼びかけることも必要ではないかと思います。