子供(幼児)の記憶は何歳頃からか?子供の記憶力を高める方法は?

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幼児の記憶力

三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、これは「人間の性格や気質は幼少時代から死ぬまで変わることはない」という意味です。「3歳までにしっかりと躾(しつけ)をしなければいけない」という意味ではありません。

ところで「三つ子」は3歳児という意味ですが、3歳児に限らず一般に幼児の記憶は何歳頃から始まるのでしょうか?

私の最も古い記憶は、「ウサギが上下に動いてカタカタと鳴る手押し車を押して歩いている光景」や「小さな文机の前に座って左手に4Bの鉛筆を持って何か絵を描いている光景」、「家の庭に生えているハコベを摘んでいる光景」などで、幼稚園に行く前の記憶です。

私には幼稚園に入る前の写真はありませんので、自分の記憶に頼るしかありません。

「『今際の際(いまわのきわ)』(死の直前)や死を覚悟した瞬間には、過去の記憶が走馬灯のように蘇る」という話もよく聞きます。

また強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に、後になってその記憶が突然かつ非常に鮮明に思い出されたり、同様に夢に見たりする「フラッシュバック(flashback)」という現象があります。これは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害の特徴的な症状です。

1.三島由紀夫の「周生期(周産期)記憶」

三島由紀夫

三島由紀夫(1925年~1970年)が自伝的小説「仮面の告白」の冒頭で「出生時の産湯盥の記憶がある」と書いています。

どう説き聞かされても、また、どう笑い去られても、私には自分が生まれた光景を見たという体験が信じられるばかりだった。おそらくその場に居合わせた人が私に話して聞かせた記憶からか、私の勝手な空想からか、どちらかだった。が、私には一箇所だけありありと自分の目で見たとしか思われないところがあった。産湯を使われた盥のふちのところである。下ろしたての爽やかな木肌の盥で、内がわから見ていると、ふちのところにほんのりと光がさしていた。そのところだけ木肌がまばゆく、黄金でできているようにみえた。ゆらゆらとそこまで水の舌先が舐めるかとみえてとどかなかった。しかしそのふちの下のところの水は、反射のためか、それともそこへも光がさし入っていたのか、なごやかに照り映えて、小さな光る波同士がたえず鉢合わせをしているようにみえた。」( 仮面の告白 第1章5頁 )

これは、三島由紀夫の「仮面の告白」の冒頭部分「永いあいだ、私は自分が生まれたときの光景を見たことがあると言い張っていた。・・・」に続く一節です。

しかしこれは常識的には信じがたいことで、三島由紀夫の「幻想」「空想」か、あるいは「大人たちから聞いた自分の誕生時の光景を自分自身の記憶と錯覚して創作した」のではないかと私は思います。

ただし、元ハーバード大学教授で精神科医のトマス・バーニー博士(「胎児の心理学」の世界的権威)は、「胎児は感じ、考え、記憶する」とし、「特に出生時の記憶は誰もが持っている」と主張しています。

2.子供(幼児)の記憶は何歳頃からか?

発達のターニングポイント

(1)子供(幼児)の記憶は「短期記憶」

一度に覚えられる量が少なく、また覚えていられる期間も大人より短い短期記憶」が子供(幼児)の記憶の特徴です。

「胎児の心理学」の専門家によると、胎児や新生児には「周生期(周産期)記憶」(自分の出生前後の記憶)があるそうです。つまり新生児は、母胎内に居た時から出産に至る過程を記憶しているそうです。しかし、この記憶は通常、成長とともに失われてしまいます。

私は脳科学や心理学についてはド素人なので断言はできませんが、三島由紀夫が普通であれば「短期記憶」として失われる「周生期(周産期)記憶」を「長期記憶」として保持していた可能性もありうるのかもしれません。

生後間もない赤ちゃんでも、毎日お世話してくれるママやパパのことは何となく記憶していますが、「過去にあった出来事を話せるようになる(記憶が定着し、記憶を呼び出せる)」のは、個人差がありますが大体3~4歳以降になってからです。

その頃になると、記憶を語るために必要な「言葉の理解」や「時間の概念の理解」が発達するためです。

それ以前の記憶は、脳も発達途中のためうまく記憶できなかったり、記憶されてもその記憶がうまく呼び出せなかったりするそうです。

(2)3~4歳以前の記憶も子供にとって無意味ではない

しかし、3~4歳以前の記憶に全く意味がないわけではありません。

3~4歳以前の子供にも記憶はあり、知っている人の顔を見ればにっこりし、大好きなキャラクターには興奮し、拙いながらも言葉を話したりします。

言葉が話せるようになる前でも「喃語(なんご)」(乳児が発する意味のない声)を発します。これは言語を獲得する前段階で、声帯の使い方や発声される音を学習しているのです。

ですから、3~4歳以前の子供に何を言っても、何をしても意味がないのではなく、その頃の経験の積み重ねで脳は発達していくのです。

衣食住や生理的欲求が満たされ、「幸せ」と感じることで脳はどんどん発達します。「つらい」「悲しい」といったことも、もちろん刺激になり、思い出せないとしてもそれらは経験としては刻み込まれています。

幼少期に天災や虐待などでつらく悲しい経験をすると、大人になっても漠然とした不安感が残ることもあるそうです。

「衣食住の環境を整え、生理的欲求を満たし、愛情たっぷりに育てること」が子供の健やかな成長には大切だということですね。

3.子供の記憶力を高める方法

子供の記憶力を高める方法

ママやパパの最大の関心事は、「我が子の記憶力を高める方法」ではないでしょうか?

人が記憶することのできる容量(キャパシティー)は無限ではなく上限が決まっており、トレーニングなどでその量を増やすことはできません。

ただしその容量を最大限に活用できるかどうかで、記憶力に差が出ます。

(1)興味のある分野を深める

生まれながらに持っている記憶力を最大限に生かすための一番のポイントは「興味や好奇心を持つこと」です。要は興味や好奇心、楽しむ気持ちを持たせて、興味のある分野を深めさせることです。

たとえば電車が大好きな子供が驚くほどたくさんの電車の名前を覚えられるのは興味があるからです。

興味があることなら、子供でも「長期記憶」として定着しやすくなります。

私の息子が幼稚園に入る前だったと思いますが、「国旗」に非常に興味を持ち、国旗の図鑑を熱心に見ていました。そして国旗を見れば国名を言い当てることができるようになりました。親馬鹿ですが、「すごい記憶力だ」と感心したものです。

ところが、大人になるとすっかり忘れていました。これは「短期記憶」だったようですが、興味のあるものは覚えやすいということの証明でもあります。

私は子供の頃、カブトムシやクワガタムシが好きだったことから、自然に興味を持つようになり、植物にも興味が広がり、それぞれの名前や由来を知ることから漢字も好きになり、やがて宇宙や人間の歴史にも興味を覚えるようになりました。

子供の頃に見たNHKのテレビ番組「ものしり博士」も刺激になりました。

次は、「繰り返すこと」です。同じことを何度も繰り返すと記憶として定着しやすくなります。

そして「十分な睡眠をとること」です。眠ることで「短期記憶」が「長期記憶」に変わると言われています。これは眠っている間に脳内の「海馬(かいば)」という記憶を司る部位の働きで、記憶という情報の整理が行われるためです。

「寝る間も惜しんで勉強する」などという言葉もあるためか、睡眠時間を削ってでも勉強する方がよいと考えている方もおられるかもしれませんが、それは間違いです。

十分な睡眠は、上に述べたように記憶や情報の整理のために必要不可欠で、積極的な役割を果たしているのです。

(2)その他の方法

①会話しながら散歩をする

人はワクワクすると脳からθ波(シータは)という脳波が出ます。このθ波が出ている間は脳が活性化しており、記憶しやすい状態になります。

親子でたくさん会話することが大切です。一緒に散歩しながら親子の会話をするだけでも、θ波を出すことができます。「散歩」は脳を活性化するのに最適です。

②ストーリー(物語)を作る遊びを行う

いくつかのものをピックアップして、それらのものがつながるようなストーリーを組み立てる遊びも、物事を忘れないようにするのに役立ちます。

ストーリー(物語)を作ることは記憶力に関係がないように見えますが、物語を作る過程で話を組み立て、前後関係を意識しながら自分の話を記憶しつつ語る必要がありますので、記憶力を高める訓練になるのです。

記憶術」と言われるものも、身近なもので強烈に奇想天外なストーリーを作って記憶の定着を図るものです。

③具体的な質問をする

記憶力を高めるには会話をすることも大切です。「今日は何があった?」「それでどう思ったの?」などの質問をたくさんして、その質問に答えることで頭の中から記憶を引き出す(アウトプットする)力を身につけることができます。

また「子供が先生になり、親が勉強を教えてもらう方法」も効果的です。

人は教えてもらう(インプット)だけの記憶よりも、誰かに教える(アウトプット)とさらに理解度や記憶が深まるものです。

これは兄弟で教え合ったり、サラリーマンの方で「社内勉強会」の講師をした人なら経験があると思います。かつて日比谷高校で「生徒が教える授業」が行われていましたが、これも同様の効果を狙ったものです。

④一緒に楽しみ心を動かす

過去の体験も、記憶力を高めるには大切です。記憶に強く結びつけるには心を大きく動かすような出来事が必要で、そのためには子供が発見したこと、感動したことを共有していくこともお勧めです。

大人になると心を大きく動かされたり、感動したりすることが少なくなりますが、子供の発見や感動に共鳴してやることは大切です。

⑤付箋を使って記憶力を高める

付箋を使って記憶力を高めることも可能です。記憶したいことを付箋に書いて、どこでも好きな場所に貼り付ける方法です。

中高生の子供なら、テストに出る単語などを付箋に書いて部屋やトイレなど好きな場所に貼っておくと「リマインド(思い出させる)効果」で覚えやすくなるというわけです。

⑥感情をこめて本を読んでみる

人は何かを記憶する時、そこに感情が伴っていると脳に深く刻まれるものです。記憶するには、体を動かしたり五感を最大限に活用するのが効果的です。

歌でも感情や情感を込めた歌い方をすると心に響きますが、ただ歌詞をメロディーに乗せただけでは聞く人の心に残らないのと同じです。そういう歌い方は空疎で、右の耳から左の耳へ抜けていくだけです。

⑦本の読み聞かせを日常的にする

本を読み聞かせると、子供の脳の中では「イメージング」が始まり。耳から入ってくる文章を頭の中で映像化して楽しみます。

これは子供の想像力を高め、物事をストーリー化して覚えることができるようになるので、記憶力が鍛えられます。

⑧逆さ言葉遊びをする

「ねこ」「いぬ」などの簡単な単語から、「ハンバーグ」「カレーライス」のような少々長い単語まで、反対から言う「逆さ言葉遊び」をすると、言葉を並べ替える作業によって脳のトレーニングになります。

そこから「しんぶんし」のように上から読んでも下から読んでも同じ言葉を発見することもできます。これは「回文(かいぶん)」という言葉遊びにつながるものです。

⑨ストレスを最小限にすぐに解消できるような生活を心がける

脳はストレスを感じると委縮し、記憶力や判断力を鈍らせます。子供を叱ることは時には必要ですが、子供がストレスを感じるような教育は逆効果です。

4.「短期記憶」と「長期記憶」

長期記憶と短期記憶

記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。

本に書かれていた内容の知識や人の話などを記憶しているのは「長期記憶」です。

テレビで「記憶術の大家」が短時間に大勢の人の顔と名前を記憶するショーや、「メモリースポーツ」で披露されるのは「短期記憶」です。

接客業の女性などが驚くほどお客の顔と名前を覚えていることがありますが、これは「長期記憶」ですが、努力の賜物でしょう。ある会社の秘書の女性達は常日頃から自社の得意先の社長の写真を見て、顔と名前を覚える(忘れない)訓練をしていると聞いたこともあります。

私の勤めていた会社で、営業上の細かい数字(部門別売上高や前年比増減など)を暗記している人がいました。多くの得意先の電話番号を記憶している達人もいました。これなどは数字に強い特別な才能のようにも感じます。

将棋や囲碁では対局後に、再現・検討である「感想戦」が行われますが、これなどは常人には及ばない天才のようなものを感じます。勝負の流れが克明に頭に焼き付いているのでしょう。



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