私は昭和30年に1年間だけ幼稚園に通いました。それまで同年代の子供と遊んだことがなかったので、大勢の同い年の子供たちがいるのに大変戸惑いました。
「引っ込み思案」な性格のため、なかなか集団生活に馴染めなかった記憶があります。
1.「結んで開いて」
そんな中で「お遊戯」の時間があり、「結んで開いて手を打って結んで・・・」と先生が歌うのに合わせて、手を閉じたり開いたり、打ったりするのですが、私は最初「結んで」の意味がわからず、立ち往生した記憶があります。
そこで隣の子の様子を見て「こぶしを握りしめる(グー)」意味だと分かり、「開いて」は「手のひらを開く(パー)」意味だと悟った次第です。
しかし、「(手を)結んで」という表現の違和感は最後まで残りました。「握り飯(おにぎり)」のことを東日本では「おむすび」と呼ぶようですが、これもなかなか馴染めません。
ちなみに、戦前は歌詞は異なりますが「賛美歌」や「見渡せば」という「唱歌」、あるいは「戦闘歌」という「軍歌」としても歌われたそうです。
蛇足ですが、この「結んで開いて」という歌の作曲者がフランスの思想家・哲学者で作曲家のジャン・ジャック・ルソー(1712年~1778年)であることは、大学の西洋思想史の授業で初めて知りました。
2.「肝油ドロップ」
帰宅時間になると、先生が園児に1粒ずつ黄色い「肝油ドロップ」を配ってくれました。これは河合製薬の「カワイ肝油ドロップ」でした。今でいう「栄養補助食品」のようなもので、「肝油」に糖分を加えてドロップにしたものです。
「肝油」は、「タラやサメ、エイの肝臓に含まれる液体、およびそれから抽出した脂肪分」で、鳥目(とりめ)やくる病の予防のために食べさせられたようです。
3.「イチハツ」
私の家の中庭に白色の「イチハツ(一初/一八)」が植えられていました。アヤメやショウブに似ていますが、草丈が小振りでシャガより少し大きい花です。たくさん花が咲いたので、母から「幼稚園に持って行って、教室に生けてもらうように」と言われて持って行きました。
先生に手渡すと「まあ、きれいな花ね、アヤメかしら?」と言われたので、「イチハツです」と私は答えました。先生は怪訝そうな顔をしていました。
多分先生は「イチハツ」という花の名前を聞いたことがなかったのでしょう。私も適当に「そうです。アヤメです」と言っておけばよかったのに、なまじ花の名前を知っているだけに余計なことを言ってしまったと今では反省しています。
4.「だるまストーブ」
冬になると、教室に「だるまストーブ」が設置されました。お昼前には、そのストーブの上部にみんなが弁当箱を乗せて温めました。懐かしくも楽しい思い出です。