コロナ変異株にギリシャ文字を使うのはなぜか?変異株のできる仕組みとは?

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新型コロナをギリシャ文字で呼ぶ理由

<2023/2/27追記>コロナ起源「中国の研究所から流出か」 米エネルギー省が判断との報道

「朝日新聞デジタル」による次のような報道がありました。

新型コロナウイルスの起源について、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は26日、中国の研究所から流出した可能性が高い、と米エネルギー省が判断していると報じた。新たな機密情報を根拠としており、ホワイトハウスや米議会幹部に報告されたという。ただ、米政府内でも、動物を介して人に感染した説を有力視する機関もあり、見解が割れている。

WSJによると、エネルギー省は「確信度は低い」としつつも、ウイルスが中国の研究所での不慮の事故によって広まったと判断した。エネルギー省は、先端的な生物学的調査も担う米国立研究所を管轄しており、「相当な科学的知見を有する」という。

 他の政府機関では米連邦捜査局(FBI)も研究所流出説を支持する立場をとっている。国家情報会議や他の四つの機関は動物を介した説を支持し、米中央情報局(CIA)など二つの機関は、どちらの説か結論づけていないという。

<2021/11/27追記>WHOは新変異株を「オミクロン」(ギリシャ文字の15番目)と命名

世界保健機関(WHO)は11月26日、南アフリカなどで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株「B・1.1・529」を、現在世界で流行の主流となっているデルタ株などと並ぶ「懸念される変異株(VOC)」に指定し、「オミクロン株」(ギリシャ文字の15番目)と命名しました。VOC指定により世界的な警戒対象となり、監視態勢が強化されます。

WHOは26日の専門家による協議で、オミクロン株について「数多くの変異が生じており、いくつかの変異は大変懸念されるものだ」と指摘。現時点で判明している科学的根拠から「他のVOCと比較して、再感染の危険性が増していることを示している」としました。

なお、「デルタ株」以降、今回の「オミクロン株」までの間のギリシャ文字の変異株の名前をあまり聞かないのは、懸念されるような強力な変異株ではなかったためです。

新型コロナの最初の「中国ウイルス」(武漢ウイルス)から変異した「コロナ変異株」について、当初はその変異株が最初に発見された国名を取って「英国型」とか「南アフリカ型」「ブラジル型」「インド型」などと呼んでいましたが、最近は「アルファ型」「ベータ型」「ガンマ型」「デルタ型」と呼ぶようになりました。

「南アフリカ型」とか「インド型」と呼ぶ方が、「どこがその変異株の起源かはっきりしてわかりやすい」と私は思うのですが・・・

1.コロナ変異株にギリシャ文字を使うようになった理由

変異株

(1)WHOによる呼び掛け

これは、2021年5月末にWHO(世界保健機関)「地名を使った呼称は差別的」と指摘し、「ギリシャ文字」にするよう呼び掛けたのが発端です。

「汚名を着せることや差別につながることを避け、コミュニケーションしやすくするため、当局やメディアが新しいラベルを使うことを推奨する」とのことでした。

確かにかつて世界的に猛威を振るうパンデミックとなった「スペイン風邪」は、アメリカが起源でしたが、第一次世界大戦中で交戦国は「戦時情報統制」で感染状況を公表しなかったのに対し、中立国のスペインだけが悲惨な感染状況を発表したためにこの名前が付いたものです。

そのため、スペインがこの感染症の発生源と誤解している人も多いかもしれません。

WHOの呼び掛けは、この「スペイン風邪」を念頭に置いたものかもしれませんが、私にはそうは思えません。

(2)WHOがギリシャ文字を使うように呼び掛けた本当の理由

この新型コロナ(COVID-19)の発生源が「武漢ウイルス研究所」なのか、それとも「武漢海鮮市場」なのかは今後徹底調査によって解明する必要があります。

しかし「中国ウイルス」(武漢ウイルス)が起源であることは疑う余地がありません。

WHOのテドロス事務局長はエチオピアの元保健相、元外相で、中国への忖度が目に余る「中国寄りの人物」です。

ギリシャ文字を使うように呼び掛けた本当の理由は、「変異株も含めて国名で呼ぶことをやめさせ、中国が新型コロナの発生源として詮索されたり徹底調査されることを避けるため」だと私は思います。

2.コロナ変異株のできる仕組み

新型コロナ変異株

今「デルタ株」と呼ばれる新型コロナウイルス変異株が、世界各地で急速に広がっています。

新型コロナウイルスは、人から人に感染を広げる中でなぜ変異を繰り返すのでしょうか?また変異によって、ウイルスの性質がどのように変化するのでしょうか?

(1)新型コロナウイルスの変異の仕組み

ウイルスは「生存戦略」として「自然界の変化する環境に適応するために、遺伝子を変化させる」と言われています。

ウイルスは「細菌とは異なり自力では増殖できない」ので、「ヒトや動物など他の生物の細胞の中に侵入し、自らの複製(コピー)を作らせることで増殖」して行きます。この時、ウイルスの遺伝子が大量にコピーされます。

(2)変異ウイルスとウイルスの性質

新型コロナウイルスの場合、何度もコピーを繰り返すうちに「遺伝情報を受け持つRNAと呼ばれる物質の配列にごく小さなミス」が起こります。この「コピーミス、いわゆる遺伝情報の変化」が「変異」です。

RNAの文字が書き換わると、そこで指定されているアミノ酸基が変わり、タンパク質の形が変わることがあります。ウイルスは人から人に感染を広げる中で少しずつ変異を起こしていきます。この変異したウイルスが「変異株」です。

新型コロナウイルスは、約2週間に1ヵ所ほどの頻度で小さな変異が起こります。2020年1月に中国・武漢で発見された新型コロナウイルスと比較して、現在では約20~30カ所の変異があると推測されています。

日本でも感染を繰り返す間に、新型コロナウイルスは少しずつ遺伝情報が変わって来ましたが、変化してもウイルスの性質にあまり関係のない遺伝情報のコピーミスだったので、日本国内で変異株が問題になることはしばらくありませんでした。2020年秋にイギリスでより感染力の強い変異ウイルス(アルファ株)が見つかり、大きな問題に発展しました。

(3)スパイクタンパク質の変異によって性質が変化

小さな変異でもウイルスの遺伝情報の重要な部分に起こると、ウイルスの性質が変化することがあります。

変異株に共通しているのは、ウイルスの「スパイクタンパク質」という部分の遺伝情報に変異が起こっていることです。

この「スパイクタンパク質」は、新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染する際の足場となる極めて重要な部位で、変異によって性質が変化することがあります。

特に問題となるのは次の3つです。

①感染の広がりやすさ(伝播性):変異によってヒトの細胞表面にあるアンジオテンシン変換酵素2受容体により強固に結合するために、従来株と比べて感染力が増加します。

②引き起こされる病気の重さ(病毒性):入院リスクあるいは入院時死亡リスクが高い可能性があるとされます。

③ワクチンの効果の減弱化(免疫逃避):変異株によってはワクチン効果を弱める可能性が示されています。

感染力の強い変異株が国内に入ってくると、次第にその変異株に感染する割合が増えてきて、最終的にはほとんどが置き換わってしまいます。

日本では、最初に入ってきた従来のウイルス(中国・武漢型)が広がりましたが、海外から感染力の強い「アルファ株」(イギリス株)が入って来て、それに置き換わりました。

そして現在、さらに感染力の強い「デルタ株」(インド株)に置き換わりつつあります。ウイルスが増殖しやすいように遺伝情報が変化したわけで、ある意味「ウイルスの進化」とも言えます。

(4)デルタ株以上に感染力が強くなる可能性もある

インフルエンザウイルスも通常マイナーチェンジだけの変異を繰り返していますが、数十年に1回、フルモデルチェンジの変異を起こすことがあります。

従来鳥だけに感染していた「鳥インフルエンザウイルス」が、このフルモデルチェンジでヒトに感染するようになり、ヒトからヒトに感染するようになったものが「新型インフルエンザウイルス」です。

新型コロナウイルスは、「デルタ株」以上に感染力が強くなる可能性があると指摘する専門家もいます。

変異ウイルスは増殖する時のコピーミスで出現しますので、コピーする回数を減らせば、変異する機会を減らすことになります。

つまり、感染拡大を抑制することが大切であり、感染対策の重要性はさらに増していると言えます。

3.ギリシャ文字とは

ギリシャ文字

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