ゲーテの詩「野ばら」は、彼の若い頃の秘められた悲恋に基づく体験詩

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フリーデリーケ・ブリオン

ゲーテの詩「野ばら」と言えば、シューベルトの歌曲として日本でも大変親しまれています。ところで、この詩にはゲーテの若い頃の恋愛秘話が込められているのをご存知でしょうか?

今回はこれについてわかりやすくご紹介したいと思います。

1.「野ばら」とは

(1)ゲーテの詩「野ばら」

若きゲーテ

ゲーテ(1749年~1832年)は、ドイツの詩人・劇作家・小説家・自然科学者・政治家・法律家で多方面に才能を発揮した天才です。

彼はストラスブルク大学時代に、村の牧師の娘フリーデリーケ・ブリオン(1752年~1813年)と恋に落ち、1771年にこの詩を書いて彼女に贈ったのです。しかしこの詩は、「求愛の詩」ではなく、「別離の詩」です。

ゲーテ野ばら

彼との結婚を望む彼女に対して、ゲーテは無情にも彼女との恋愛を断ち切ってしまったのです。理由は勉学に励むためでもあり、また結婚による束縛を嫌ったためでもあると言われています。

彼女との恋愛から、「野ばら」や「五月の詩」などの「体験詩」と呼ばれる抒情詩が生まれ、また彼女との悲恋は「ファウスト」のグレートヒェンの悲劇の原型になったとも言われています。

なんだか森鴎外(1862年~1922年)とエリスとの悲恋が「舞姫」に昇華したのと似たような話ですね。

ゲーテ

余談ですが、ゲーテは「老いらくの恋」でも有名ですが、若い頃から恋愛経験は豊富だったようですね。

(2)「野ばら」の歌詞

訳詞家の近藤朔風(1880年~1915年)の次の訳詞「野中のばら」でよく知られています。

童はみたり 野なかの薔薇(ばら) 清らに咲ける その色愛(め)でつ    飽かずながむ 紅(くれない)におう 野なかの薔薇

手折(たお)りて往(ゆ)かん 野なかの薔薇 手折らば手折れ 思出ぐさに       君を刺さん 紅におう 野なかの薔薇

童は折りぬ 野なかの薔薇 折られてあわれ 清らの色香(いろか)           永久(とわ)にあせぬ  紅におう 野なかの薔薇

しかし、近藤朔風はもう一つの訳詞「荒野のばら」も作っています。

童はみたり 荒野(あれの)のばら 朝とく清く 嬉(うれ)しや見んと        走り寄りぬ ばら ばら 紅(あか)き 荒野のばら

われは手折(たお)らん 荒野のばら 吾はえ耐えじ 永久(とわ)に忍べと       君を刺さん ばら ばら 紅き 荒野のばら

童は折りぬ 荒野のばら 野ばらは刺せど 嘆きと仇(あだ)に      手折られけり ばら ばら 紅き 荒野のばら

こちらの訳詞の方が、ゲーテの悲恋をより一層暗示しているようです。

(3)シューベルト作曲の「野ばら

シューベルト

オーストリアの作曲家シューベルト(1797年~1828年)は、1815年にゲーテの詩「野ばら」に曲を付けました。



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