最近は星空を見上げることも少なくなりました。わがふるさと高槻市の街中では、はっきりと見えるのは惑星の金星と木星ぐらいで、ほかはわずかに瞬いている一等星が数個確認できる程度だからでもあります。
特に秋は星が少なく、一等星は南の空に輝くうお座の「フォーマルハウト」だけです。ちなみにこの「フォーマルハウト」は、別名「秋のひとつ星」「南のひとつ星」です。
「南の一つ星」は、今井美樹さんのヒット曲「PRIDE」の歌詞にも出てきます。
ところで、今ある星座の名前はいつ誰がどのようにして付けたのでしょうか?また星座の名前の由来は何でしょうか?
1.星座の名前はいつ誰がどのようにして付けたのか?また名前の由来は何か?
人々はかなり古い時代から、目立つ星や星の並びに名前をつけていましたが、現在使われている星座の原型は、約5,000年前古代文明発祥の地の1つ、大河チグリス・ユーフラテス川流域のメソポタミア地方(現イラク付近)に住むカルデア人の羊飼いたちが、夜ごと星空を眺めながら明るく輝く星々を結んで、動物や英雄たちの姿を星空に描いたのが始まりだとされています。
もともとこういった砂漠地方では、季節の変化に乏しいため、星の動きを用いて季節を知る必要に迫られていました。彼らは想像力豊かな人たちでもあったのでしょう。
こうしてできあがった星座は、地中海東部沿岸で貿易をしていたフェニキア人などによって、古代ギリシアへと伝わりました。
そして、古代ギリシャの詩人たちが話の中に取り上げ、神話や伝説と結びけられて、美しいお姫様や勇敢な若者、あるいは神が化けた動物などが新たな星座として次々と誕生していきました。
2世紀頃、ギリシャの天文学者プトレマイオス(トレミー)(83年頃~168年頃)は、アル・マジスティ(アルマゲスト)という著作の中でそれまで伝わっていた星座を現在私たちが使っているものとほとんど同じギリシア神話にもとづく48星座に整理しました。
その後、この『プトレマイオスの48星座』は、約1,500年もの長い間使われてきました。
<春の星座> <夏の星座> <秋の星座> <冬の星座> <南天の星座>
1.うしかい座 | 13.いて座 | 26.アンドロメダ座 | 39.おうし座 | 48.さいだん座 |
2.うみへび座 | 14.こと座 | 27.うお座 | 40.おおいぬ座 | |
3.おおかみ座 | 15.さそり座 | 28.おひつじ座 | 41.オリオン座 | |
4.おおぐま座 | 16.てんびん座 | 29.カシオペヤ座 | 42.ぎょしゃ座 | |
5.おとめ座 | 17.はくちょう座 | 30.ケフェウス座 | 43.こいぬ座 | |
6.かに座 | 18.ヘルクレス座 | 31.ペガスス座 | 44.ふたご座 | |
7.からす座 | 19.わし座 | 32.ペルセウス座 | 45.エリダヌス座 | |
8.かんむり座 | 20.へび座 | 33.みずがめ座 | 46.うさぎ座 | |
9.ケンタウルス座 | 21.へびつかい座 | 34.やぎ座 | 47.アルゴ船座 (88星座のりゅうこつ座, ほ座,とも座,らしんばん座) |
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10.こぐま座 | 22.いるか座 | 35.くじら座 | ||
11.コップ座 | 23.みなみのかんむり座 | 36.こうま座 | ||
12.しし座 | 24.や座 | 37.さんかく座 | ||
25.りゅう座 | 38.みなみのうお座 |
16世紀頃になると、望遠鏡の発明などによって48星座のすき間の暗い星なども観測され、さらに「大航海時代」とも重なって今まで星座が描かれていない南天の星空を目にするようになったのでした。天文学者たちは、南半球へ旅した船乗りたちが目にした珍しい動物など(カメレオン、くじゃく、インディアンなど)や新しい道具など(望遠鏡、コンパスなど)も星座にしました。
しかしこの頃になると、当時の王様などを称えて、星座がなかったところに新しい星座が増やされたりするようになりました。これらは国によって異なったり、あるいは天文学者たちが我も我もと勝手に個人的な星座を作って違う命名がなされたりして、星座の数も100を超えるようになり、星空はごちゃごちゃしてわかりにくくなってきたのです。
そのため、世界の天文学者の間で星座を統一しようという気運が高まり、1930年「国際天文学連合」で全天の星座を『88星座』と定め、この星座が現在使われています。しかし、現在でも国や地方によってさまざまな名前でも呼ばれています。
◆いくつの星座を知っていますか? 『88星座』 星座名は50音順
<福岡県青少年科学館(福岡県久留米市)の資料より引用>
2.大きな星座と小さな星座
一番大きな星座は、春の星座の「うみへび座」で、東西に非常に長いものです。しかし、以前は南天に「アルゴ座」というもっと大きな船の星座がありました。現在はその星座を4つに分けて、「とも(艫)座」「ほ(帆)座」「らしんばん(羅針盤)座」「りゅうこつ(竜骨)座」になっています。 では、一番小さな星座は何でしょう。日本からはほとんど見ることができませんが「みなみじゅうじ(南十字)座」です。1等星を2つも持つので、小さくても目立つ星座です。ちなみに日本から見える星座で一番小さなものは、目立ちませんが「こうま座」です。