「ブラック企業」はなくならない。労働基準監督署の抜き打ち調査が必要!

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ブラック企業

1.「ブラック企業」(「ブラック会社」ともいう)とは

ブラック企業」とは、「新興産業において、若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業」のことです。

従業員の人権を踏みにじるような全ての行為を認識しつつも、適切な対応をせずに放置している企業」との指摘もあります。

もともと「ブラック企業」という呼び名は、暴力団などの反社会的勢力との結びつきが強い「フロント企業」を指す隠語でした。

それが、「ネット掲示板」の書き込みからブレイクした黒井勇人の『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』(2008年刊行)が話題となり、コミック化・映画化でも話題を呼んで、この言葉の社会的認知度を高めました。

2.「ブラック企業」として話題になった企業

(1)外食大手「すき家」(運営会社:ゼンショー)

「すき家」と言えば、24時間営業(最近は大半が休止)で安くておいしい牛丼・カレーを提供するチェーン店として、競合店の吉野家や松屋と同じく多くの人から親しまれて来ました。

2017年に、「すき家」のアルバイト社員が、過酷な労働状況をツイッターで告白して話題になりました。

ところで、同社は2015年3月期には創業以来の赤字に転落しています。同社の業績が好調だったのは、従業員の大きな犠牲の上に成り立っていたようです。

新卒社員の離職率も、2012年は46%もあったそうで、労働環境の劣悪さが想像できます。

同社については、過去に「店舗で働くアルバイトは『個人事業主』だとして、未払い残業代の支払いを拒否する事件」がありました。なお、これは会社側の荒唐無稽な主張で、裁判前に和解となりました。

(2)外食大手「ワタミ

2013年には、入社間もない社員が過労自殺したとして遺族が同社を提訴する事件がありました。

また、社長の部下への対応は厳しく、「頭を何度もスリッパでひっぱたいていた」といったエピソードや「今すぐ窓から飛び降りろ」といった発言などで、「パワハラ」と報道されたことがあります。

(3)冠婚葬祭大手「ベルコ

2018年9月、札幌地裁で争われた労働事件で、労働者敗訴の判決が出ました。

「ベルコ」が、労働組合を結成した労働者を「事実上」解雇した事件で、裁判所は解雇を認める判決を下したのです。

労働者が労働組合を結成したことを理由として解雇することは、「不当労働行為」に当たり、「違法」です。

しかし、今回のケースは、「ベルコ」と「労働者」の間には直接雇用契約は存在せず、両者の間に「ベルコ」と「業務委託契約」を結んだ「支部(代理店)」が介在し、「労働者」は「支部(代理店)」と雇用契約を結んでいるのです。

そして、「ベルコ」は、労働者が労働組合を結成したことを受けて、その「支部(代理店)」との「業務委託契約」を解除し、その結果「事実上解雇」されることになったものです。

「全ベルコ労働組合」によると、「休日や深夜を問わず働いていたため、長時間労働の問題は深刻で、残業は毎月100時間を超えていた」そうです。これは「過労死ライン」(月間80時間)を超える残業時間で、その分の残業代も支払われていませんでした。こうした過酷な労働環境のなか、体調不良で辞めて行く人が後を絶たなかったそうです。

3.「ブラック企業」をなくすための対策

昔は大手企業でも、「早朝出勤」、「深夜のサービス残業」や「風呂敷残業(持ち帰り残業)」というものはありました。

高度成長時代、サラリーマンは「モーレツ社員(猛烈社員)」「企業戦士」と呼ばれ、どっぷり会社に漬かる「会社人間」ばかりで、会社に「滅私奉公」するような状況でした。

休みは日曜日・祝日しかない時代が長く(場合によっては日曜出勤することもあり)、今から考えると、「過労死ライン」を超えることもあったのではないかと思います。

今は逆に「自宅に仕事を持ち帰れない」会社が多くなり、「出勤・退出時間制限が厳格」になっていますので、「事務系の職場」では一般論としては、昔に比べて労働環境は改善されていると思います。

しかし、「大手飲食業チェーン」や「サービス業」において、過酷な労働環境が目立って来たように思います。

そこで、次のような「ブラック企業」をなくすための対策を実施してほしいと思います。

(1)労働基準監督署の抜き打ち調査の強化

「ブラック企業」との疑いのある企業を最優先として、その他の一般企業に対しても「抜き打ち」で労働実態調査を頻繁に実施すること

その際、経営者からのヒアリングだけでなく、必ず従業員に対しても「匿名」でのヒアリングを実施し、正確に実態を把握すること

(2)内部告発の奨励内部告発者保護の徹底

労働基準監督署は、企業に勤める労働者に対して、「不当労働行為」や「パワーハラスメント」「法令違反」が行われている場合は「内部告発」するよう、広く奨励すること

なお当然のことながら、内部告発した人が告発後に不当な報復人事を受けることがないように保護の徹底を図ることは不可欠です。

(3)企業内労働組合による組合員の実態調査の強化

「企業内労働組合」は、会社寄りの「御用組合」が多いのが現実ですが、組合員の権利を守るために、組合員の労働実態調査を強化し、改善すべき点があれば、経営側に申し入れること

(4)ブラック企業に対する罰則強化会社名公表

「ブラック企業」の経営者自身が、自ら改善することはあまり期待できません。そこで、「罰則強化」をするとともに、一般にもよくわかるような「会社名公表」を工夫すること

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