「能ある鷹は爪を隠す」「天才と狂気は紙一重」など能力のことわざ・言葉

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鷹の目

もともと強い人がさらに力を付けたり何かを得たりして、より強くなることを表すことわざに、「鬼に金棒」「弁慶に薙刀」「虎に翼」「虎に角」「獅子に鰭」などがあります。

世の中には常人の及びもつかない高い能力を持った人がいます。「天才」はもちろんですが、そこまで行かなくても優れた才能の持ち主、隠れた才能の持ち主はいるものです。

そこで今回はこのような「能力の高さにまつわることわざや言葉」をいくつかご紹介したいと思います。

1.能ある鷹は爪を隠す

本当に実力や才能のある人は、それを普段から誇示したり自慢したりしないということです。

よく似たことわざに、「大賢は愚なるが如し」「大知は愚の如し」「大巧は拙なるが若し」などがあります。

余談ですが、日本の禅文化を英語の著書で海外に広めた鈴木大拙(1870年~1966年)(本名:鈴木貞太郎)という哲学者の「大拙」は、臨済宗の僧・釈宗演から与えられた居士号で、「老子道徳経」と「碧巌録」にある「大巧は拙なるに似たり」に由来する名前です。

ちなみに、反対の愚者を表すことわざとしては「空き樽は音が高い」「浅瀬に仇波」「鳴く猫は鼠を捕らぬ」「能無し犬の高吠え」などがあります。

2.天才と狂気は紙一重

(1)「天才と狂気は紙一重」の由来

昔から「天才と狂気は紙一重」とよく言われますが、これはことわざではありません。

これは19世紀イタリアの精神科医で犯罪人類学の創始者ロンブローゾ(1835年~1909年)の言葉です。彼は「犯罪学の父」と呼ばれ、「犯罪人論」の中で「生来的犯罪人説」を唱えました。これは犯罪に及ぼす遺伝的要素を指摘したものです。骨相学・観相学・人類学・遺伝学・統計学・社会学などの手法を駆使して、人間の身体的・精神的特徴と犯罪との相関性を検証しています。

彼はまた「天賦の才能」についての研究を行い「天才と狂気」などを著しています。彼は「天才論」において、カエサルやムハマンド、ナポレオンなど多くの著名人には「癲癇(てんかん)の症状」があったと指摘し、天才と癲癇との関連性を説いています。

(2)天才と狂気の例

天才的な芸術家や作家などは精神的な病を抱えるほど多感な人が多いようです。ムンクの幻聴・幻覚や、ゴッホの精神病と自殺、芥川龍之介の神経衰弱と自殺など枚挙にいとまがありません。夏目漱石も色々な心労が重なって神経症を患っていました。

「奇人の天才」とか「歩く百科事典」と呼ばれた博物学者の南方熊楠(1867年~1941年)は幽体離脱や幻覚をたびたび体験していたため、死後自分の脳を調べてもらうよう要望していました。彼の脳は大阪大学医学部にホルマリン漬けして保存されています。

近年、京大医学部精神科の研究グループが、保存されていた彼の脳をMRIスキャンし、左内側側頭葉の病変を証明しました。同グループによれば、彼にはてんかん放電による側頭葉の機能亢進状態があり、それによって天才的能力を発揮しながらも、他方では奇行が目立ったと解釈できるということです。

これは「ゲシュヴィント症候群」と呼ばれる一種の病的状態で、ロシアの文豪ドストエフスキー(1821年~1881年)と同じ症状だそうです。

3.超人

並外れた能力を持ってスーパーマンのような八面六臂の活躍をする人を指して「超人的な活躍」などとよく言いますが、哲学的分野での「超人」はドイツの哲学者ニーチェ(1844年~1900年)が提唱した概念です。

ニーチェは「ツァラトゥストラはかく語りき」という本の中で、「人間関係の軋轢におびえ、生活の保証・平安・快適・安楽を求める現代の一般大衆」を「畜群」と呼び、「永劫回帰の無意味な人生の中で、自らの確立した意思を持って行動する人」を「超人」と呼びました。

4.秀才

一般的には、頭の良い学業成績優秀な人のことを秀才と呼びますが、もともとは中国の官吏登用試験である「科挙」の試験科目の一つを指しました。のちに「科挙の試験に応じる者」および「科挙の合格者」を指すようになりました。

日本においては、古代律令制の官吏登用試験科目の一つを指しました。のちに「官吏登用試験の合格者」を指すようになりました。

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