金・銀・プラチナ・ウランなどの「元素」は宇宙のどこからやってきたのか?

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元素の周期表

前に「金(きん)はどうやって生まれたのか?」という記事を書きましたが、銀やプラチナなどについても同様の疑問が湧きます。

そこで今回はこれらを含めた元素の生成にまつわる謎をわかりやすくご紹介したいと思います。

1.宇宙の「元素」はどうやってできたのか?

上の「元素の周期表」を見ると、高校時代に苦手だった「化学」の授業を思い出してうんざりする人も多いかもしれません。かく言う私もその一人です。

しかし今になって考えると、宇宙に存在する元素がどうやってできたのかは興味の尽きない問題です。

物質の根源となる粒子が「元素」で、118種類あります。この118種類の元素を分類し、整然と配列したのが「元素の周期表」です。

地球・太陽・惑星などの天体や岩や水や空気などの身の回りの物体、人間も含む生物の体などあらゆる物質が元素からできています。

この宇宙は138億年前に「ビッグバン」と呼ばれる大爆発とともに生まれました。

2.「ビッグバン」で水素とヘリウムが生まれた

「ビッグバン」の際に最初に合成されたのが、周期表のトップにある水素(元素記号H、原子番号1番)とヘリウム(元素記号He、原子番号2番)です。

「ビッグバン」からしばらく経つと、宇宙空間に散らばった水素やヘリウムが集まって、あちこちに恒星が誕生し、輝きだしました。

恒星の輝きは、水素などの原子核がくっつき合う「核融合」の輝きです。水素などの原子核がくっつき合うと、より大きな原子核が合成され、それとともに熱が発生します。

こうして恒星内部では炭素や窒素や酸素など、周期表の上の方に並ぶ元素が合成されました。

3.宇宙には「重い元素」が次第に増えてきた

元素の合成過程を反映した周期表

恒星内部の核融合で合成された元素は、恒星の大気が宇宙に流出する「星風(恒星風)」などによって宇宙空間にばらまかれます。

また別の過程によって作られた元素も宇宙空間に増えて行きます。ビッグバンから138億年間、宇宙空間には徐々に重い元素が増えてきました。

宇宙初期に星間ガスをかき集めて誕生した恒星と若い恒星を比べると、若い恒星の方が重い元素を多く含んでいます。

4.金・銀・プラチナやウランなどの生成過程

金やプラチナ等の元素ができた時の想像図

金(元素記号Au、原子番号79)・銀(元素記号Ag、原子番号47)・プラチナ(元素記号Pt、原子番号78)やウラン(元素記号U、原子番号92)などは、かつては「超新星爆発でできた」と信じられていましたが、最新の研究の結果、「中性子星の衝突・合体によってできた」ものであることが判明しました。

恒星の通常の核融合反応では、周期表に並ぶ元素のうち、鉄(元素記号Fe、原子番号26)までしか合成されないと考えられています。

鉄より下の段の他の元素、金・銀・プラチナやウランなどは、恒星内部の自然に起きる核融合では生じません。

このような重い元素の原子核は、鉄の原子核よりも高いエネルギーを持つので、合成するためには外からエネルギーを加えて無理やり原子核同士をくっつけてやる必要があるのです。

地下に埋まっている金・銀・プラチナ・ウランなどは、「中性子星」の衝突・合体によってできました。

「中性子星」とは、質量が太陽の1.4倍程度あるのに半径が10km程しかない極めて高密度の異常な天体です。ほぼ中性子からできているので「巨大な原子核」とも呼ばれます。

「中性子星」はⅡ型超新星爆発によって誕生しました。このような中性子星2個が数億年かけて徐々に軌道を縮め、接近して衝突・合体し、その時に金・銀・プラチナ・ウランなどの元素が合成されたと考えられています。

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