オミクロン株で沖縄などに効果の疑わしい「まん延防止等重点措置」適用は愚策

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オミクロン株画像

<2022/1/6追記>政府が沖縄・山口・広島に「まん延防止等重点措置」を適用の方針

沖縄・山口・広島各県からの要請を受けて、政府は「まん延防止等重点措置」を適用する方針のようですが、2回のワクチンも進み治療薬も開発されている現状とオミクロン株の特徴(感染力は強いが、無症状者・軽症者がほとんど)を考えると、昨年と同じ対策の繰り返しでは能が無さすぎます。各県知事の認識の低さと安直な対応にも唖然とします。

昨年の経験で効果がないことがわかった「まん延防止等重点措置」で営業時間の制限や酒類提供の制限をかけると、せっかく活気を取り戻しかけた経済の腰折れを招くだけでなく、各自治体の「補償金負担急増」で地方財政にも悪影響を与える恐れが強いと私は思います。

<2022/1/5追記>「オミクロン感染者は全員入院」見直しへ 首相表明、医療逼迫を懸念

岸田文雄首相は4日、三重県伊勢市の伊勢神宮に参拝後、年頭の記者会見を行いました。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の「市中感染」拡大に備え、オミクロン株の感染者全員を入院させている現在の政府方針について、医療現場が逼迫(ひっぱく)しないよう見直す考えを示しました。

素人目にも、「オミクロン株」は感染拡大スピードが速いことがわかります・倍々ゲームのように感染者(大半が無症状か軽症)が爆発的に増加するので「感染者全員入院」が無理なことは明白です。

また、インフルエンザと違ってコロナをいつまでも「2類相当」の特別扱いしているのは理解に苦しみます。早急に「5類」に変更することが、最善のコロナ対策です。

「オミクロン株」という「懸念すべきコロナ変異株」の発生が確認されてから、岸田政権は素早く「全世界からの外国人入国を11月30日から原則禁止(当面年末まで)」という「水際対策」を実施しました。

これは、前任の菅政権のコロナ対応が後手後手に回ったことへの反省(学習効果?)があったからだとは思いますが、評価すべき対応だと私は思います。

ただ、その後「オミクロン株」の実体が、「感染力は非常に強い実効再生産数は高い)が、毒性は弱く、重症化リスクや死亡リスクは低い」ことが徐々に明らかになって来たにも拘らず、「濃厚接触者を14日間の宿泊施設での待機」とし、その「初期の実務担当窓口を保健所のまま」にしたのは、現状認識が誤っており、明らかに判断ミスです。

1.オミクロン株とは

オミクロン株の特徴

世界保健機関(WHO)は2021年11月26日、南アフリカなどで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株「B・1.1・529」を、現在世界で流行の主流となっているデルタ株などと並ぶ「懸念される変異株(VOC)」に指定し、「オミクロン株」(ギリシャ文字の15番目)と命名しました。VOC指定により世界的な警戒対象となり、監視態勢が強化されます。

WHOは26日の専門家による協議で、オミクロン株について「数多くの変異が生じており、いくつかの変異は大変懸念されるものだ」と指摘。現時点で判明している科学的根拠から「他のVOCと比較して、再感染の危険性が増していることを示している」としました。

2021年11月28日、国立感染症研究所はオミクロン株を「懸念される変異株」と位置付け、警戒を高めています。国内では、同月30日に最初の患者が確認されました。

コロナ変異株

なお、「デルタ株」以降、今回の「オミクロン株」までの間のギリシャ文字の変異株の名前をあまり聞かないのは、懸念されるような強力な変異株ではなかったためです。

「オミクロン株」について、「東京iCDC」専門家ボードの座長を務める、賀来満夫(かく・みつお)医師は次のようにコメントしています。

オミクロン株は、ウイルスに変異箇所が多く、高い感染力やワクチン効果減弱などの可能性が指摘されています。皆様、ご不安に感じている事と思います。

しかし、過度に恐れる必要はありません。これまで同様、マスクの正しい着用、手洗い、うがい、三密の回避、換気といった基本的な感染予防対策の徹底、そしてワクチンの接種により、オミクロン株でも感染を十分防ぐことや重症化を予防することができると思います。引き続き、感染予防の継続をお願いいたします。

2.岸田首相が「濃厚接触者は14日間の宿泊施設での待機要請」と表明

岸田首相は12月21日の会見で、感染対策を強化するため、全ての国内感染者にオミクロン株の検査を行うことに加え、これまで自宅での待機を求めていたオミクロン株の濃厚接触者について、指定の施設で14日間の待機を要請すると発表しました。 また、「全ての国・地域からの外国人の入国禁止」などの水際対策を、「年末年始の状況を見極めつつ、当面の間延長する」と表明しました。

現在は、感染経路を特定し拡大のペースを遅らせるため、新型コロナの新規感染者全員を対象に、オミクロン株感染を確定するウイルスのゲノム(全遺伝情報)解析を行っていますが、さらに濃厚接触者にも指定の施設で14日間の待機を要請したのです。しかし、この先の感染拡大は避けられないとみられ、病床確保や自宅などでの健康観察の体制強化が急務とされています。

どうも岸田首相は「ウィズコロナ」ではなく、「ゼロコロナ」をめざしているように見えます。しかし、感染力の強いオミクロン株はどんどん広がりますので、早晩追いつかなくなることは目に見えています。

デルタ株からオミクロン株への置き換わりは、イギリスなどで急速に進んでおり、日本でも間もなくそうなるのではないかと私は思います。それならば「新規感染者全員にオミクロン株感染を確定するゲノム解析をする」のは無駄な作業ではないでしょうか?

3.「濃厚接触者の14日間の宿泊施設での待機」が誤っている理由

「濃厚接触者」は「自宅療養待機が原則」のはずで、検疫法16条2項でも「自宅待機」までで、「宿泊施設での待機」までは要請されていません。

検疫法第16条 【停留】
2項 第14条第1項第2号に規定する停留は、第2条第2号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、期間を定めて、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関若しくは第二種感染症指定医療機関若しくはこれら以外の病院若しくは診療所であつて検疫所長が適当と認めるものに入院を委託し、又は宿泊施設の管理者の同意を得て宿泊施設内に収容し、若しくは船舶の長の同意を得て船舶内に収容して行うことができる。

元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(52)が12月23日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」(月~金曜前8・00)に出演し、政府の水際対策について次のように述べています。

検疫法を読んでも、16条の2というところをどう読んでも濃厚接触者を宿泊施設で待機させることはできません。自宅までなんですよ。宿泊施設に待機させることができるのは患者ないし、疑似症患者といいまして臨床的に症状が出ている人だけなんです。これ法律違反です。

ただ僕は一定待機させることは必要だと思うんですが、そうれあれば、国会議員がちゃんとルールをつくっておくべきですよ。本当に日本はいざという時に法律を無視して無視して無視してやっていくような国になってしまってます。

濃厚接触者・自宅療養待機PCR検査を受けた方への説明

それにも拘らず、「デルタ株」よりも重症化リスクや死亡リスクが低い「オミクロン株」への対応として、岸田政権がこのような「超法規的措置」を取る意味が全く理解できません。

「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」の愚を犯しているとしか思えません。

「濃厚接触者」への宿泊施設での待機要請・手配や「自宅待機者」の健康観察まで全部を、保健所にやれと言っても無理な話です。

4.「オミクロン株の初期対応の実務担当が保健所」が誤っている理由

オミクロン株

前に「コロナ禍の中、病院の発熱外来の対応がスムーズに行かない現状はおかしい!」という記事を書きました。

私は2021年5月のゴールデンウィーク中に身内が発熱し、かかりつけ医は休みで、保健所には電話が全くつながらず、救急病院に電話しても「保健所の指示がないと、来てもらっても、発熱外来で受け入れられない」と断られ、往生した苦い経験があります。

市中感染(空気感染)がどんどん広がり、「濃厚接触者」も急速に増加すれば、保健所がパンクするのは目に見えています。

5.市中感染(空気感染)が広がっている以上、インフルエンザと同様な対応とすべき

私は以前から、コロナの「指定感染症分類」を「2類相当から5類に変更」することが、コロナ対策として最も効果的で、医療逼迫や医療崩壊を起こさない最善の対策だと主張して来ました。

まさに今こそ「指定感染症分類」を5類に変更して、インフルエンザと同様に一般のクリニックでも対応できる体制にしないと、またぞろ「医療逼迫」とか「医療崩壊」が叫ばれることになりかねません。

「緊急事態宣言」を連発し、「脅迫と自粛要請」を繰り返して、多くの国民に多大の混乱と困惑を招いた菅政権の二の舞とならないよう、早急に方針転換をお願いしたいと思います。

感染症区分

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