「大塚家具」の「かぐや姫」と、くず餅の「船橋屋」の「若旦那」の挑戦

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渡辺雅司

「売り家と唐様(からよう)で書く三代目」ということわざがあります。

初代が苦心して財産を残し、二代目はそのおかげで楽に暮らしたものの、三代目になると没落してついに家を売りに出す羽目になるが、その「売り家札」の書体はしゃれた「唐様」で書いてあるという意味で、三代目は「道楽」にはまり遊芸にふけって、商売の道をないがしろにするということです。「唐様」とは中国風の書体のことです。

もっとも、「芸の道」では、初代よりも二代目・三代目の方が優秀なことが多いようです。これは、厳しい芸の世界で、「初代よりも落ちる」と言われては人気商売が成り立ちませんので、一生懸命精進することになるのでしょう。その結果、三代目はさらに芸に磨きをかける、あるいは初代・二代目の芸を更に発展させて新しい芸風を編み出すということがあるのかも知れません。

また、たとえが悪いかも知れませんが、反社会的勢力である「山口組三代目」の田岡一雄氏もいますので、三代目が全てダメ人間という訳ではありません。

政治の世界では、「初代岸信介、二代目安倍晋太郎、三代目安倍晋三」という例がありますが、この三代目の評価は現時点では難しいところです。

1.「大塚家具」の「かぐや姫」

「大塚家具」は、1969年に大塚勝久氏(1943年~ )が、桐箪笥職人だった父の「大塚箪笥店」から独立して(株)大塚家具センターを設立し、家具屋を開業したのが始まりです。

東京や大阪などに大規模なショールームを開いて高級家具を販売しました。「広告宣伝費の大量投入」と「入店時に顧客ファイルを作成(会員制)し、店員が顧客に付いて回る」という接客方法で、「結婚後のまとめ買い需要」を取り込むことに成功し、成長を遂げます。

しかし、その後住宅需要の低迷や、ニトリ・イケアなどの新興勢力の台頭、自社株買いに伴う不祥事などで業績が低迷し、2009年3月に、大塚勝久社長の娘で、一橋大学卒で富士銀行出身の大塚久美子氏(1968年~ )が社長に就任しました。彼女は「家具屋の娘」なので「かぐや姫」と呼ばれていたそうです。

彼女は、父親の接客方法が「利用客の心理的負担になり、客足を遠のかせる」と判断し、「入りやすく、見やすい、気楽に入れる店づくり」を目指して、店舗をカジュアルな雰囲気に変え、積極的な接客を控える手法を取り入れ、入店客数の増加など業績改善に一定の効果を上げました。

しかし、久美子氏の方針を「自身の築いた経営路線の否定」と感じた勝久氏は久美子社長を解任します。その後、営業赤字転落を受けて、2015年1月に久美子社長が復帰します。

このような「父娘バトル」「同族経営企業のお家騒動」の結果、業績は低迷したままです。

久美子氏は勝気な女性で、銀行の審査担当の経験があるとはいえ、彼女自身には創業者の父親のような「商売の勘」「商才」はなかったようです。「高級家具販売の父親の商売のやり方」を全否定するのではなく、うまく融和させる知恵を出せれば事態は好転していたかも知れないと思うと残念です。

2.くず餅の「船橋屋」の「若旦那」

くず餅の「船橋屋」は創業が1805年で、200年以上の伝統を誇る老舗和菓子店です。本店は東京都江東区亀戸にあり、「元祖くず餅の店」として有名です。西郷隆盛や芥川龍之介らの著名人がこぞって食べたという亀戸天神の名物です。

船橋屋のくず餅は、プルんプルんの食感の良さとともに、和菓子で唯一の発酵食品ということで健康にも良いそうです。アレルギーの原因となる防腐剤を使用せず、自然な風味を提供するために、製造工程450日に対して消費期限はわずか2日です。

最近、八代目当主の渡辺雅司氏(1964年~ )がテレビに出演して、その「経営改革」が話題になっています。彼は立教大学を卒業した後、三和銀行に入りディーリング業務や支店の営業を経験しています。

しかし六代目の祖父が病気で倒れたことをきっかけに「船橋屋」に入社することを決意したそうです。先代である父親の苦労を見て家業に戻ったわけですが、入社当時、衝撃を受けたのは「職人気質の職場の昔ながらのやり方」でした。

仕事が終わったと自分が判断したら。夕方から酒を飲み始めたり、長年の付き合いの仕入れ業者の小豆・砂糖・寒天などの卸値も、バブル期のまま高止まりした価格で購入し続けていたそうです。

従業員のやる気はなく、退職者が相次ぐ事態に「人を見ずに仕組みばかり見ていた。みんなで作るんだという組織でないと意味がない」と気付き、自らの行動を改めます。従業員に寄り添い、自主性を尊重するようにしたのです。

そして、彼は「経営改革」に着手します。老舗として伝統を守るべきものは残す一方、若手を中心としたプロジェクトを立ち上げ、若い人に受け入れられる新商品の開発を進めました。発酵デンプンを使った「くず餅プリン」を開発したり、老舗の「ミカドコーヒー」と組んでくず餅に合うコーヒーを開発して提供するなど革新を続けています。

そして、現在は生菓子であるくず餅の「全国配送のための流通システム」の改善に取り組んでいるそうです。

また役員選任も、「リーダーズ総選挙」で決めるようにしたそうです。これは年功序列ではなく、「得点制」「実力本位」であるとともに、「1on1(ワンオンワン)ミーティング」を通して、風通しの良い人材育成に努めているそうです。


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