「動」という字は元々「働く」という意味。「働」という字ができたのはなぜ?

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働という漢字の成り立ち

私が現役サラリーマンの頃、「働くというのは、はた(傍)の人

(他人)をらく(楽)にすることだ」と教えられました。働くことの本質は「他者貢献」で、その結果、対価としてお金をもらえるというわけです。

シュバイツァーの「本当の幸福を得ることができるのは、人に奉仕する道を探し求め、それを見出した者だけである。」という言葉も、これに通じる考え方ですね。

ところで、「動」という漢字には元々「働く」という意味があるのに、「働」という漢字ができたのはなぜでしょうか?

1.「動」という漢字の成り立ち

動という漢字の成り立ち

「動」は「会意兼形声文字」(重+力)です。「人が立っている」象形と「重い袋の両端をくくった」象形と「力強い腕」の象形から、人が重い袋を「うごかす」を意味する「動」という漢字が成り立ちました。

「動」という漢字には、「移る」「行く」「揺れる」「騒ぐ」「変わる」「始まる」という意味のほかに「働く」という意味もありました。

2.「働」という漢字の成り立ち

「働」は「会意兼形声文字」(人+動)です。「横から見た人」の象形と「人が立っている」象形と「重い袋の両端をくくった」象形と「力強い腕」の象形から、人が重い袋を動かして「はたらく」を意味する「働」という漢字が成り立ちました。

実は、この「働」という漢字は、中国伝来の漢字ではなく、日本で作られた漢字(国字)なのです。

「働く」という字は「にんべん」に「動く」と書きます。にんべんは、人の行為や性格に関する部首。「動く」という字は「重たい」に「力」と書きます。「重たい」という字は、両端をくくった袋の中に穀物が入っている様子。「力」は力強い腕、あるいは農作業で使う道具「鋤(すき)」の形を表します。そこから「動く」という漢字は「農作業に従事する・はたらく」という意味になったのです。

ところが、いつしか「動く」という文字から「はたらく」という意味が薄くなり「うごく」という意味だけで使われるようになります。そこで、明治の近代化にともなって欧米語を翻訳する際に必要になり、「動く」に、にんべんを添えて「働く」という漢字が出来たのです。

日本で作られたこの「国字」は、逆輸入されて中国で使われたこともあるそうです。ただし中国で「労働」のことは、普通「労」(繁体字で「勞動」、簡体字では「劳动」)または「工作」と書くそうです。

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