「櫻」という漢字の由来は?

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桜という漢字の成り立ち

「櫻」という漢字は、女性アイドルグループ「櫻坂46」が登場してからは多くの人に親しまれるようになりました。

「桜」(旧字体は「櫻」)は、現代の日本人にとって「梅」よりも広く親しまれ愛されている花木です。「花見」と言えば、「梅見」もありますが、普通は「桜見物」です。

今「桜」と言えば「ソメイヨシノ(染井吉野)」ですが、江戸時代に「エドヒガン(江戸彼岸)」と「オオシマザクラ(大島桜)」との交配による品種改良でソメイヨシノができるまでは、「桜」と言えば「山桜」を指しました。

西行法師本居宣長の愛した「桜」も「山桜」でした。

山桜

現在我々が見る桜は、ほとんどが花が咲いた後に葉が出る「ソメイヨシノ」です。しかし「ヤマザクラ」は葉が出ると同時に花も咲きます。この葉と花を同時に見られる風情あるヤマザクラを知ると、西行法師や本居宣長ならずともきっと好きになるはずです。

白っぽい花ばかりのソメイヨシノは単調で、「姥桜(うばざくら)」と呼ばれるように白髪のお婆さんのように思えて来るから不思議です。ただし、この呼び名は葉がないことを「歯無し(はなし)」に掛けてできたものです。

ところでこの「桜」(旧字体は「櫻」)という漢字には、どのような由来があるのでしょうか?中国では「梅」は古くから親しまれているようですが、「桜」も人気の花木なのでしょうか?

1.「櫻/桜」という漢字の成り立ち

「櫻/桜」は「会意兼形声文字」(木+嬰)です。

「大地を覆う木」の象形と「子安貝(貨幣)・両手を重ねひざまずく女性」の象形(女性が「首飾りをめぐらす」の意味)から、首飾りの玉のような実をつける「ユスラウメ」を意味する「櫻/桜」という漢字が成り立ちました。「櫻」は「桜」の旧字体です。

「たわわに実をつけた桜(ユスラウメ)の木」を「首飾りを付けた女性」に見立てたのでしょう。

2.「ユスラウメ」とは

「ユスラウメ」(梅桃、梅桜、桜桃、山桜桃梅、学名:Prunus tomentosa)(下の画像)は、バラ科サクラ属の落葉低木の果樹です。サクランボに似た赤い小さな実をつける。俗名をユスラゴとも言います。

ゆすらうめ

「ユスラウメ」は中国北西部、朝鮮半島、モンゴル高原原産で、主に庭木として栽培されています。

現在では「サクラ」を意味する漢字「櫻」は、元々は「ユスラウメ」を指す字だったのです。ユスラウメの実が実っている様子を首飾りを付けた女性に見立てて出来た字です。

3.中国でも「桜」は人気の花木なのか?

安倍政権の末期に「桜を見る会」の招待者の選定や前夜祭の費用負担を巡る疑惑が話題になりましたが、近年、中国人の間で日本の桜が大人気になっていることをご存知でしょうか。

(コロナ禍の前の話ですが)近年は、「桜を見る」ことを日本観光の大きな目的にしている中国人も増えています。春節が終わる3月上旬になると、中国メディアでは必ず日本の桜の話題が報じられるほどです。最近の中国人は、もしかすると日本人よりも桜に詳しいかも知れません。開花時期の予想さえ頻繁に行われています。

「桜」は中国語では日本櫻花と表記するのが普通です。単に「櫻花」と書く場合は、中国では食用のために栽培する「桜桃」(サクランボ)の花のことかもしれませんし、あるいは、実は日本よりはるかに(日本産の5倍以上)種数の多い中国産の「野生のサクラ」を指すこともあるようです。

4.「桜」を含む言葉

(1)桜貝(さくらがい)

桜色の小型の二枚貝の総称。貝細工などに使います。

(2)桜狩/桜狩り(さくらがり)

桜の花を見ながら山野を歩くこと。

(3)桜吹雪(さくらふぶき)

桜の花びらが舞うように散る様子。桜が散る様子を雪が激しく降る様子にたとえた言葉。

(4)桜飯(さくらめし)

具を加えず、醤油と酒で炊いた御飯。茶飯。

(5)桜湯(さくらゆ)

お湯に塩漬けにした桜の花を入れた飲み物。祝い事などで飲みます。

5.「桜」を含む四字熟語

(1)桜花爛漫(おうからんまん)

桜の花が開き、鮮やかに咲き乱れている様子。

(2)桜梅桃李(おうばいとうり)

桜、梅、桃、李(すもも)のこと。
それぞれが独自の美しい花を咲かせるように、他人と自分を比べることなく、個性を磨こうという教訓を含んでいます。

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