「歩車分離式信号」は歩行者、特に高齢者にメリット大。どんどん増やして!

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歩車分離式

私は70歳を過ぎる頃から、青信号で横断歩道を渡り切ることに自信がなくなりました。

「赤から青に変わった直後」に横断する場合は問題ないのですが、すでに青になって何秒か経っている場合は、途中で赤に変わる恐れがあるからです。

そこで最近は、青信号でも赤に変わるのを待ち、「赤から青に変わった直後」に横断するようになりました。

自転車に乗って横断歩道に進入しようとする時、「歩行者信号」が青でも左折車が一時停止せずに左折することがあり、「左折巻き込み」の被害に遭いそうになったことがあります。

また右折車も対向車が来ないと見ると、「歩行者信号」が青でもスピードを落とさずに横断歩道に突っ込んでくることがあり、危うく轢かれそうになったことがあります。

このような事故を防ぐために考え出されたのが「歩車分離式信号」です。

1.「歩車分離式信号」とは

歩車分離信号機

ダンプカーによる左折巻き込み事故で息子を亡くした両親が「人と車を青信号で同時に通す信号システムが事故を招いた」と思い立ち、歩車分離信号の普及を訴え続けて約30年。全国の警察も2003年度以降、事故多発地点や通学路を重点に設置してきました。

2002年に警察庁が全国100カ所の交差点を抽出して歩車分離式信号を調査した結果、人身事故が約4割減少し、このうち人対車両の事故は約7割減少しました。

(1)歩車分離式信号機とは

歩車分離式信号機」(ほしゃぶんりしきしんごうき)とは、「交差点において車両と歩行者が交錯することがなくなる、または少なくなる信号表示を行う制御方法(歩車分離制御)によって制御される交通信号機」です。

(2)歩車分離制御の方式

①スクランブル方式

全ての車両を停止させ、すべての歩行者を同時に横断させる方式のうち、斜め横断を可能とするもの

②歩行者専用現示方式

全ての車両を停止させ、すべての歩行者を同時に横断させる方式のうち、斜め横断ができないもの

③右左折車両分離方式

歩行者を横断させるときに歩行者と同一方向に進行する車両に右左折をさせない方式

④右折車両分離方式

歩行者を横断させるときに歩行者と同一方向に進行する車両に右折させない方式

⑤押しボタン式

基本的にはスクランブル方式および歩行者専用現示方式と同様ですが、横断歩道を渡りたい歩行者が設置されているボタンを押したときのみすべての歩行者信号が青になる、押しボタン式信号機のシステムを併用した方式です。日中交通量の多い場所では夜間押しボタン式とする場合があります。

2.「歩車分離式信号」のメリットとデメリット

歩車分離式信号機

(1)メリット

①道交法通り正しく横断歩道を渡る歩行者が自動車により阻害されず、事故を大きく減らすことができます

右左折車両がスムーズに通行できます。特に左折巻き込み事故防止に効果が期待できます。

③歩行者を気にせず自動車が右左折できるため、渋滞が解消される場合もあります

(2)デメリット

①歩行者用信号だけが青信号となる時間があるため、車両の待ち時間が増加し渋滞が発生することもあります

ただし、警察庁が2000年初頭に行った合同社会実験の結果は、反対に、渋滞が緩和された事実を報告しているそうです。

②歩行者は青になるまでの時間が長いため、信号無視が発生する場合もあります

ただし、歩車分離を採用した信号はいずれも重大事故減少に成功しています。

③横の車両信号が赤になったところを見て、前方の車両信号が青になるという思い込みで発進する「見切り発進」によって、歩行者信号のみが青のときに発進をしてしまうかたちで、信号無視をしてしまう可能性があります。

しかしこれはドライバーが歩車分離に慣れるまでの取り締まり強化で対策ができます。

④視覚障害者は交差点内を走行する自動車の音で信号の色を判断するため、音響装置が設置されていない歩車分離式信号機では視覚障害者の横で止まっていた車が発進した場合でも青信号とは限らず、赤信号でも渡ってしまう可能性があります。

⑤歩行者用の信号に従う自転車運転者が多く、自転車の進路と交差する歩行者が自転車に跳ねられる危険性があります。

このため、一部の歩車分離式交差点では、車道からは歩行者用の青信号が見えないよう、歩行者の青信号にブラインドが装着されているところもあります。

3.「歩車分離式信号」の普及状況

歩車分離信号

歩行者が青信号で渡っている交差点の横断歩道を、右左折車が横切らないようにする「歩車分離式」信号機の普及があまり進んでいません。

「歩車分離式信号」の設置率は、全国平均で4.6%(2019年度末)です。「意外と普及が進んでいない」というのが私の印象です。

<全国の歩車分離式信号設置率> (2020年3月末時点、%、歩車分離信号数/信号機総数)

(1)長野  12.45

(2)神奈川 10.13

(3)東京   9.63

(8)大分   5.31

(13)熊本   4.09

(17)福岡   3.66

(18)佐賀   3.64

(25)鹿児島  3.39

(29)宮崎   3.24

(30)山口   3.19

(33)長崎   3.09

今すぐに全ての信号機を「歩車分離式信号」に切り替えることは無理だと思いますし、その必要はありません。

しかし、「交通量の多い交差点」や「歩行者巻き込み事故の多発する交差点」などから優先して、「歩車分離式信号」への切り替えを進めてほしいものです。



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