大昔、日本列島はユーラシア大陸の一部(陸続き)だったことはご存知だと思いますが、五大陸に分かれる前の巨大大陸については、漠然としか知らない人が大部分だと思います。
ちなみに「五大陸」とは「五輪マーク」の由来にもなっている「ヨーロッパ大陸・アメリカ大陸・アフリカ大陸・アジア大陸・オセアニア大陸」のことです。
なお、現在「大陸」と言う場合は、普通「ユーラシア大陸・北アメリカ大陸・南アメリカ大陸・アフリカ大陸・オーストラリア大陸・南極大陸」の6つを指しています。
そこで今回は「五大陸(ないし六大陸)に分かれる前の巨大大陸」である「パンゲア(パンゲア大陸)」についてわかりやすくご紹介したいと思います。
1.太古の大陸
地球は約46億年前に誕生しました。誕生直後の地球は衝突エネルギーで暖められ、マグマの海と呼ばれる溶岩が一面に広がる状態(いわゆる「火の玉地球」状態)だったと考えられています。現在の我々も、火山の大噴火や大規模な溶岩流を見るとその様子を想像できます。
衝突エネルギーの宇宙放出が続き、45億年前には地球温度は下がりました。そのため水蒸気が凝結して地上に降り注いで海が形成され、同時に原始的な地殻が分離しました。太古の海は200℃を超える高温でした。
そして「大陸」の形成は40億年以上前に始まっています。
(1)古代の超大陸
①ヌーナ大陸
地球上に出現した最初の超大陸と言われる「ヌーナ大陸」は、約20億年前から19億年前に誕生しました。
これは、現在のグリーンランドを含む北アメリカの主要部分とヨーロッパ大陸の一部に相当すると考えられています。
②コロンビア大陸
その後、約18億年前から15億年前に存在したと考えられているのが「コロンビア大陸」です。
③パノティア大陸
次に約15億年前から10億年前に存在したと推測される「パノティア大陸」が出現します。
④ロディニア大陸
その後「パノティア大陸」も分裂し、約10億年前から7億年前には「ロディニア大陸」が形成されています。
⑤ゴンドワナ大陸
約6億年前には「ゴンドワナ大陸」が「ロディニア大陸」から分裂して誕生しています。
数億年単位の周期で、超大陸が分裂していくつかの大陸になったり、またそれらが集まって新たな超大陸を形成する離散集合を繰り返していたようです。
現在の我々も、大地震によって「プレートの移動が起きている」ことなどから、その様子を想像できます。
(2)パンゲア大陸の出現
「パンゲア大陸」とは、約3億年前から2億年前、ペルム紀から三畳紀にかけて存在した超大陸です。
「パンゲア」(Pangaea/Pangea)という名前は、古代ギリシャ語のpan(全ての/全体の)Gaia(大地)が由来です。漢名は盤古(ばんこ)大陸です。
「パンゲア大陸」は約2億年前に、ユーラシア大陸・北アメリカ大陸・南アメリカ大陸・アフリカ大陸・オーストラリア大陸・南極大陸に分裂する前に存在したと考えられる超大陸で、「大陸移動説」の提唱者アルフレート・ヴェーゲナーによって命名されました。
このペルム紀から三畳紀にかけて時代は、さまざまな植物が生息し、原始的な恐竜も出現し始めた時代です。
大陸の形状は、赤道を挟んで三日月形に広がっており、三日月内部の広大な内海(テチス海)では多くの海洋生物が繁殖し、一方内陸部は広大な陸地が続くために乾燥が激しく荒涼とした砂漠が広がっていたとされています。
なお、現在の日本列島に相当する部分は、右上の海岸沿いの一部になります。「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」の資料画像がわかりやすいので下に引用させていただきます。
2.大陸移動説
ドイツの気象学者(地球物理学者)アルフレート・ヴェーゲナー(1880年~1930年)が、1912年に自身の提唱する「大陸移動説」の中で、「現在の諸大陸は分裂する前に一つであった」との仮説を考え、この大陸を「パンゲア大陸」と命名しました。
当初、「大陸を動かす原動力」が説明されていなかったため、「このような移動は物理的にありえない」とされました。
3.プレートテクトニクス理論
しかし彼の死後の1950年以降に、次々に新事実が見つかり、「プレートテクトニクス理論」として再評価されています。
ちなみに「プレートテクトニクス理論」とは、「プレート理論」とも言い、1960年代後半以降に発展した地球科学の学説です。
地球の表面は下図に示したような何枚かの固い岩盤(プレート)で構成されており、このプレートが互いに動くことで大陸移動などが引き起こされると言われています。
従来の「大陸移動説」「マントル対流説」「海洋底拡大説」などを基礎として、「プレート」という概念を用いることでさらに体系化した理論で、地球科学に一大転換をもたらしました。
4.未来の超大陸「アメイジア大陸」と「パンゲア・ウルティマ大陸」
「プレートテクトニクス理論」において、約2億5千万年後までに出現する可能性があると考えられている超大陸の一つに「アメイジア大陸」(もしくは「ノヴォパンゲア大陸」)があります。「アメイジア」は、「アメリカ」と「アジア」をつなげた言葉です。
しかしこの「アメイジア大陸」は、地球内部のマントルが長年をかけて対流することでプレーとが移動し、「アフリカ大陸・ユーラシア大陸・アメリカ大陸・オーストラリア大陸」の合体によって形成される超大陸です。
まさに「新しいパンゲア大陸」(ノヴォパンゲア大陸)と呼ぶにふさわしい超大陸です。その際には太平洋は消滅し、そこに大山脈が出現すると考えられています。
もう一つは「パンゲア・ウルティマ大陸」です。「最終的なパンゲア大陸」という意味です。約2億5千万年後から約4億年後にかけて形成されると考えられている超大陸で、パンゲア大陸に匹敵する最大級の超大陸になると予測されています。
パンゲア大陸と異なるのは、南半球に南極とオーストラリアが結合した大陸ができ、大洋を挟んで北半球に残りの大陸が集結すると考えられている点です。
その頃、人類は生き残っているのか、それとも絶滅しているのかは定かではありません。