ホタルのお尻はどうやって光るのか?また光る理由は何か?

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ホタル

夏の風物詩とも言われる「ホタル(蛍)」ですが、最近はホタルの生息する環境が昔より減ったことや農薬の影響で、見たことがない人もいるでしょう。

あの独特の光り方は、幻想的で儚い感じがしますね。

日本では「ゲンジボタル」「ヘイケボタル」や「ヒメボタルが有名ですが、実は国内には40種類ものホタルが存在します。世界に目を向けてみると、その種類の数はなんと2,000種類ものホタルが存在するのです。

夏の夜の風物詩として癒やしを与えてくれるきらびやかな光は、一体どうやって光らせているのでしょうか。また、光る理由は何なのでしょうか。

1.ホタルのお尻が光る仕組み

この"ルシフェラーゼ"はホタルによって違いがあります。そのため、一般に知られている黄緑色の光以外にも黄色やオレンジ色など光の色はいろいろです。 また、ホタルの光は熱くありません。"ルシフェラーゼ"という酵素は生き物が体内で作り出すもので、化学反応を効率よく進めるためのタンパク質です。この働きによって、電球のように熱くならないのです。

ホタルのお尻に近い部分に、黄色くみえる発光器があります。

この発光器の中には「ルシフェリン」という発光する物質と、「ルシフェラーゼ」という発光するのを助ける酵素があります。この2つの物質と体の中の酸素が化学反応を起こして光を出します。つまり、エネルギーによる発光ではなく、化学反応が起きることで光っているわけです。

この「ルシフェラーゼ」はホタルによって違いがあります。そのため、一般に知られている「ゲンジボタル」や「ヘイケボタル」のような黄緑色の光以外にも、「ヒメボタル」(下の写真)のような黄色やオレンジ色など光の色はさまざまです。

ヒメボタル

また、ホタルの光熱くありません。「ルシフェラーゼ」という酵素は生き物が体内で作り出すもので、化学反応を効率よく進めるためのタンパク質です。この働きによって、電球のように熱くならないのです。

白熱電球を長時間点灯していると、温度が高くなりますね。しかし、ホタルは温度を高くせずに、化学反応でほぼ全てを光にしているので熱が出ないのです。

余談ですが「蛍光灯」という名称は、「ガラス管内の蛍光物質の塗料に、熱電子(フィラメントから)を水銀原子をぶつけて紫外線を発生させ、この紫外線を蛍光物質の塗料にぶつけて蛍光色の可視光線を発生させる」ことが由来です。

つまり、「蛍光物質が光るランプ」ですから、蛍光灯ですが、ホタルの光のように白熱電球ほど高温にならないことも関係しているかもしれません。

2.ホタルのお尻が光る理由

ホタル

(1)コミュニケーション

「ゲンジボタル」や「ヘイケボタル」などは、仲間同士同士で自分のいる場所を知らせる合図に使っています。

夜飛んでいるとホタルは仲間が見えにくいです。そこで光を発することで、仲間に自分の位置や状態を伝えているのです。

たとえば危険が迫っていると感じたら、仲間に危険だという合図を光の強弱や点滅によって送ることもできます。

オスとメスだけでなく、オス同士のコミュニケーションも行われているのが確認されています。

また、光で同じ種類のホタルであることを伝えているとも言われています。そのため、「ゲンジボタル」は「ヘイケボタル」には近寄りません。

(2)求愛行動

産卵時期になると、ホタルは子供を残そうとオスは光りながらメスを探します。オスがメスと出会うと交尾を始め、やがてメスが卵を宿します。

一番大きく明るい光を出すのが「ゲンジホタル」です。「ゲンジホタル」は卵、幼虫、成虫と一生を通して光ります。

光っている様子は、人間が見てもオスに比べてメスの光り方は弱く、その違いがはっきりわかります。夜、光りながら飛んでいるホタルはほとんどがオスです。

メスは草の上や木の葉にじっととまって小さな光を出していることが多く、羽があり飛べるのですがメスが飛ぶことはあまりありません。

光り方には、「プロポーズのための光」、「刺激された時の光」、「敵を驚かせるための光」の3種類あると言われています。

ホタルが近くにいて光らない場合、軽く息を吹きかけてみてください、刺激されて光ります。

ちなみに、ホタルが光ったからと近くで騒いだりすると、外敵が来たとホタルが感じます。すると相手を威嚇するための光り方をします。

したがって、観察するときはできるだけ静かにし、ありのままのホタルの姿を見るようにしましょう。

3.ホタルには幼虫でも光るもののいれば、全く光らないホタルもいる

ホタル

日本のホタルは成虫になったホタルのお尻が光るのが一般的ですが、種類によっては幼虫時にお尻が光り、成虫時には光らないといった種族もいます。

「交尾する相手を見つけるため」というのがホタルの光る理由なら、幼虫が発光(下の写真)するのは不思議に思えますね。

ホタル幼虫

幼虫や蛹(さなぎ)が光る(下の写真)のは、捕食者を驚かせるため、あるいはホタルには有毒のものが多いため、そのことを警告しているのだとも考えられています。

ホタルの蛹

また、生まれてから死ぬまで一度も光ることのない種類も存在します。

実はホタルの成虫明るいうちに活動する昼行性のものが多く、成虫になっても光るのは約2,000種いるホタルのうちの半数以下と言われています。

成虫が光でコミュニケーションをとる種というのは、幼虫時代の発光能力を流用していると言えるのかもしれません。