漢字で書いた洋花(外来の花)の名前(和名)(その2)(「か行」)

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ガザニア

前に「日本に古くからある花の漢字名」をどう読むかをご紹介する記事を書きましたが、今回は最近種類も豊富になってきた洋花(外来の花)を日本名で漢字でどう書くか(和名)をご紹介したいと思います。

名前は知らなくても、見かけたことのある花も多いと思います。百花繚乱の画像とともにお楽しみください。

今回は「か行」の花をご紹介します。

1.洋花(外来の花)のカタカナ名

(1)か行

①ガザニア、②カーネーション、③カモミール、④カラー、⑤カランコエ、⑥カンパニュラ、⑦グラジオラス、⑧クレオメ、⑨クレマチス、⑩グロキシニア、⑪クローバー、⑫グロリオサ、⑬ゲッカビジン、⑭コスモス、⑮コチョウラン、⑯ゴデチア

2.洋花(外来の花)の漢字名(和名)

(1)か行

①ガザニア:勲章菊(くんしょうぎく)

ガザニアがざにあ

「ガザニア」は、南アフリカ原産の多年草で、勲章のように鮮やかな花を春から秋まで咲かせます。日光が当たると花が開き、夕方から夜や曇りの日は閉じる性質を持っています。鮮やかな色で光沢のある花弁は太陽に当たってキラキラと輝き美しいものです。

「ガザニア(Gazania)」という名前は、アリストテレスなどのギリシャの古典書物をラテン語に翻訳したギリシャ人「ガザ」の名前に由来します。

和名の「勲章菊」という名前は、見た目の通りです。

②カーネーション:和蘭石竹(おらんだせきちく)/和蘭撫子(おらんだなでしこ)/麝香撫子(じゃこうなでしこ)

カーネーションかーねーしょん

「カーネーション」は南ヨーロッパおよび西アジア地中海沿岸原産のナデシコ(撫子)科ナデシコ属の多年草です。

古くから可憐な花容を愛され、イスラム世界ではバラやチューリップと並んで愛好されました。イスラム教では偶像崇拝が禁止されているため、モスクなどの装飾に「アラベスク」という幾何学模様や草花の文様が使用されました。此のアラベスクの意匠に、カーネーションの花はしばしば使用されています。

アラベスク装飾

「カーネーション(Carnation)」という名前は、この花が「肉(ラテン語でcarn)」の色に似ていることに由来するとする説や、イギリスの詩人エドマンド・スペンサー(1552年~1599年)が宴会の時にこの花で「冠(corona)」を作り、酒の酔いを防いだことにちなむとする説などがあります。

和名の「西洋石竹」「和蘭撫子」「麝香撫子」も、花姿が「石竹」や「撫子」に似ているためです。

石竹ナデシコ

③カモミール:加密列(かみつれ)

カモミールかもみーる

「カモミール」は、地中海沿岸原産のハーブの一種です。

春から秋にかけて白いデージーのような小花を咲かせます。踏まれても枯れないことからグラウンドカバーに用いられます。

葉にも花にも芳香があり、踏んで歩くとリンゴやパイナップルのような甘い香りがするのが特徴です。

咲き進むにしたがって、花の中央の黄色い部分が突起してきて、花びらが下垂してきます。

「カモミール(Chamomile)」という名前は、ギリシャ語の「khamai(大地の)」と「melo(リンゴ)」で、リンゴの香りに由来します。

和名の「加密列」は、オランダ語名の「カーミレ(kamille)」の綴り字に、「加密列」「加密爾列」などの漢字を当てて「カミッレ」とし、これを誤読したものです。

④カラー:和蘭海芋(おらんだかいう)

カラーからー

「カラー」は、南アフリカ原産のサトイモ(里芋)科の球根植物です。

カラーの花びらのように見える白い部分は、花びらではなくサトイモ科特有の仏炎苞(ぶつえんほう)という苞で、中心の黄色い棒状の肉穂花序(にくすいかじょ)に小さい花が密生しています。

「カラー(Calla)」という名前は、ギリシャ語の「Kallos(美しい)」が語源になったという説と、修道服の襟(Collar)に似ていることに由来するという説があります。

和名の「和蘭海芋」にある「海芋」は、「水芭蕉」(下の画像)の古名でサトイモ科の植物です。カラーも江戸時代にオランダから持ち込まれたサトイモ科の植物であることから、こう名付けられました。

水芭蕉

⑤カランコエ:紅弁慶(べにべんけい)

カランコエからんこえ

「カランコエ」は、ベンケイソウ(弁慶草)科のカランコエ属の多年草で、草丈は15~80cmです。

花弁は5枚でやや反り返っていて星の形に開けます。

「カランコエ(Kalanchoe)」という名前は、中国語で「落ちて育つもの」という意味の「加籃菜」の発音に由来するという説と、古代インドの言語で、「赤サビ」という意味の「kalanka」と「照り」という意味の「chaya」からきているという説があります。

和名の「紅弁慶」は「弁慶草」(下の画像)に似ていることから付けられました。

弁慶草ベンケイソウ

⑥カンパニュラ:風鈴草(ふうりんそう)/釣鐘草(つりがねそう)

カンパニュラかんぱにゅら

「カンパニュラ」は、ヨーロッパでは古くから栽培されてきたキキョウ(桔梗)科ホタルブクロ(蛍袋)属の植物です。野生種はフランス南東部からイタリア半島中部に分布し、標高0~1500mの日当たりの良い岩場に見られます。

葉はタンポポ(蒲公英)のように地面に張り付くように広がり、やがてその中心から花茎が真っ直ぐに伸びます。花茎は上部で枝分かれし、それぞれの先に長さ5~7cmの釣鐘形の花を上向きに咲かせます。

「カンパニュラ(Campanula)」という名前は、ラテン語の「campana(小さな鐘)」が語源で、釣鐘のような花の形に由来します。

和名の「風鈴草」「釣鐘草」は花の形によって付けられました。

⑦グラジオラス:和蘭菖蒲(おらんだしょうぶ)/唐菖蒲(とうしょうぶ)

グラジオラスぐらじおらす

「グラジオラス」は、アフリカ・地中海沿岸原産のアヤメ(菖蒲)科グラジオラス属の植物です。日本には自生種はなく、明治時代に輸入され園芸植物として植えられるようになりました。

「グラジオラス(Gladiolus)」という名前は、ラテン語の「gladius (小さい剣)」が語源です。古代ローマ時代にローマ軍や剣闘士に使われた剣と、葉の形が似ていることが由来となっています。

余談ですが、私が小学生の頃、父が裏庭でグラジオラスやダリア、向日葵、千日紅などの花を育てていました。ある時、グラジオラスの花の中を覗いてみると、黄金虫の一種の「ハナムグリ(花潜)」が蜜を吸っていました。まさに花に潜り込んでいた訳です。

⑧クレオメ:西洋風蝶草(せいようふうちょうそう)

くれおめクレオメ

「クレオメ」は、熱帯アメリカ原産の一年草です。

花が少なくなる真夏でも元気よく開花し、風に蝶が舞うような花姿から「西洋風蝶草」という和名が付けられました。

太くて長い雌しべと、さらに長い雄しべが突出している姿がユニークです。1輪の花の寿命は短いですが、毎日先端に向かって咲き進み、夏の間長く花を楽しめます。

「クレオメ(Cleome)」という名前は、ギリシャ語の「kleio(閉じる)」が語源となっています。一つの花が夕方から開き始めて、翌日の昼頃にしおれてしまうことに由来します。

⑨クレマチス:鉄仙・鉄線(てっせん)/風車(かざぐるま)

クレマチスくれまちす

「クレマチス」は、北半球の各国に自生するつる性植物です。

日本原産の「風車」、中国原産の「鉄仙(鉄線)」、欧米原産の「インテグリフォリア」などいくつかの原種を元に品種改良が進められ、今では230以上の品種があります。

「クレマチス(Clematis)」という名前は、ギリシャ語で「つる」や「巻き上げ」を意味する「klema」が語源で、それがラテン語で「つる性植物」を意味する「Clematis」になりました。

イギリスではバラと並ぶほどの人気があり、バラを「キング」、クレマチスを「クイーン」と呼ぶことから、日本では「つる性植物の女王」と呼ばれています。

和名の「風車」は花姿から、「鉄仙(鉄線)」は茎が鉄線のように硬くて丈夫なことから付けられました。

⑩グロキシニア:大岩桐草(おおいわぎりそう)

ぐろきしにあグロキシニア

「グロキシニア」は、ブラジル原産でイワタバコ(岩煙草)科の宿根多年草です。

「グロキシニア(Gloxinia)」という名前は、18世紀のドイツの医師で植物学者でもあるベンジャミン・グロキシンの名前にちなみます。

⑪クローバー:白詰草(しろつめくさ)

シロツメクサしろつめくさ

「クローバー」の茎は地を這うように長く伸び、葉は三小葉ですが、まれに四・五および七小葉のものがあります。花期は5月~9月で、高さ5~20cmほどの花柄の先に長さ1cmほどの小さな蝶形の花を密集して咲かせ、球状の花序をつくります。花色は白、黄色、ピンク、紅色などがあります。

「クローバー(Clover)」という名前は、ラテン語の「tres(三)」と「folium(葉)」に由来し、三つの小葉を持つことを指しているという説と、ローマ神話で、ヘラクレスが持つ「三つのコブの棍棒」から、ラテン語で「棍棒」を意味する「clava」となり、それが「club(クラブ)」に変わり、さらに「クローバー」に転訛したという説があります。

トランプの「クラブ」の語源にも通じる話です。

和名の「白詰草」は、もともと「詰草」として利用された植物だからです。

⑫グロリオサ:百合車(ゆりぐるま)/狐百合(きつねゆり)

グロリオサぐろりおさ

「グロリオサ」は、熱帯アフリカから熱帯アジアに10種ほどが分布する球根植物です。葉の先端にある巻きひげで、周囲のものにつかまって、つるを伸ばす性質があります。

篝火か炎のような花姿で、英語では「Glory Lily(栄光の百合)」あるいは「Flame Lily(炎の百合)」と呼ばれることもあります。

「グロリオサ(Gloriosa)」という名前は、ラテン語で「光栄・見事・立派」などの意味を持つ「gloriosus」が語源となっています。

和名の「狐百合」は狐火(下の画像)のような花姿から来たのではないかと思います。

狐火の絵

⑬ゲッカビジン:月下美人(げっかびじん)

月下美人ゲッカビジン

「月下美人」はカタカタ名も日本語なので奇妙に思われた方も多いと思います。

実はこの「月下美人」の名前の由来については、面白いエピソードがあるのです。昭和天皇がまだ皇太子だった頃、台湾を訪れた際に、月下美人の花に目を奪われたそうです。この時、昭和天皇に連れ立っていた田健治郎(でんけんじろう)台湾総督に名前を聞いたところ、田氏はこの花の名前を知らなかったので、とっさに「月下の美人です」と答えたことから、「月下美人」という名前が付けられました。ちなみに田健治郎氏は、田英夫元参議院議員の祖父です。

「月下美人」は夜に美しい花を咲かせる多肉植物です。濃厚な香りが特徴で、朝になるとすっかりしぼんでしまう様子は、まさに「美人薄命」の言葉通りで、言い得て妙です。

英語でも「A queen of the Night」(夜の女王)と呼ばれています。

⑭コスモス:秋桜(あきざくら)

コスモス秋桜

「コスモス」は、秋になるときれいな花を咲かせますね。

「秋桜」という和名で親しまれるようになったのは、さだまさし作詞・作曲で山口百恵が歌った「秋桜」からだと思います。

秋桜 山口百恵 コスモス

「コスモス(Cosmos)」という名前はギリシャ語の「kosmos(調和・秩序)」に由来します。ちなみに英語で「cosmos」と言えば、「宇宙」という意味もあります。

⑮コチョウラン:胡蝶蘭(こちょうらん)

胡蝶蘭コチョウラン

「胡蝶蘭」も「月下美人」と同様、カタカタ名も日本語なので奇妙に思われた方も多いと思います。

実は「胡蝶蘭」の学名は、「Phalaenopsis aphrodite(ファレノプシスアフロディテ)」と言います。「蛾(phalaina)に似ている(opsis)」という意味です。

熱帯の蛾にその花の姿が似ているため、このように呼ばれます。また「アフロディテ」はギリシャ神話の愛と美の女神(ビーナス)の名前です。

英語でも「モスオーキッド(Moth orchid)」(蛾の蘭)と言います。ただし、日本人は私も含めて蛾が好きな人は少ないので、「胡蝶蘭」と名付けたのは正解だと思います。そうでないと、「お祝いの花」としては売れなかったでしょう。

⑯ゴデチア:色待宵草(いろまつよいぐさ)

ゴデチアごでちあ

「ゴデチア」は、アカバナ(赤花)科の耐寒性または半耐寒性の一年草で、アメリカ西海岸、特にカリフォルニア州に多く自生していますが、日本では園芸植物です。

「ゴデチア( Godetia)」という名前は、スイスの植物学者チャールズ・ヘンリ・ゴデ(1797年~1879年)の名前にちなみます。

和名の「色待宵草」は、花姿が同じアカバナ科の「マツヨイグサ」に似ていて、花色が豊富なことに由来します。

マツヨイグサ

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