日本列島は北海道を除いて必ず「梅雨」の時季がやってきます。その梅雨の悩みごとの一つに家の中に干した洗濯物から匂ってくる嫌なニオイがありますね。
ところで皆さんはこの嫌なニオイ(生乾き臭)の原因は何だか知っていますか?
今回は生乾きの嫌なニオイの原因と、除菌方法・予防法をわかりやすくご紹介します。
1.洗濯物の生乾きの嫌なニオイの原因
生乾きの嫌なニオイのもとになっているのは、「モラクセラ菌」という細菌です。
これは、人間の口や鼻の粘膜、あるいはキッチンや風呂場など、私たちの生活環境のありとあらゆる場所に生息している菌です。
しかし、におっているのは、菌そのものではありません。生乾きの洗濯物の場合、もともとそこに生息しているモラクセラ菌が、菌が好む条件のもとで増殖するのです。
生息しているモラクセラ菌が増殖し活発になると“フンのようなもの”の「4-メチル-3ヘキソン酸」を分泌します。この分泌物こそが、あのニオイの原因なのです。
さらに、モラクセラ菌は、ただ洗っただけでは死にません。洗濯後も着るたびに衣服に蓄積、繊維にこびりついて塊を作り、再び増殖と分泌を繰り返します。
そのため、一度生乾き臭がついたら、何度洗ってもニオイが取れないのです。
2.洗濯物の生乾き臭を消す除菌方法
洗濯物の嫌な生乾き臭を消す5つの除菌・殺菌方法を紹介します。
素材によっては向かない方法もあるので、試す前には必ず洗濯表示を確認してください。
(1)煮沸消毒をする
「煮沸消毒」は、沸騰したお湯で消毒する方法です。所要時間は沸騰の準備から干すまで約15分程度です。
メリットは、家にあるもので簡単にできるうえ、費用がかからないことです。また、洗剤を使わないのでデリケートな肌の小さいお子さんの服も可能です。
デメリットは、煮沸消毒した洗濯物の脱水が面倒なことと、鍋に入らない大きな洗濯物には対応できないことです。
(2)漂白剤を使う
生乾き臭の原因であるモラクセラ菌を撃退するには、漂白剤で除菌・殺菌するのが効果的です。所要時間は約30分程度です。
(3)酵素入りの洗剤を使う
酵素入りの洗濯洗剤を使用すると、生乾き臭を消すことができます。皮脂汚れと菌の両方に作用するのが「酵素」。酵素はタンパク質を分解し、菌を溶かす作用があります。
他の方法と異なり、洗濯の洗剤を変えるだけなので、面倒な手間はありません。デメリットは、臭いに特化した洗剤は通常の洗剤よりも200〜300円程度高額なことです。
所要時間は通常の洗濯時間です。
(4)乾燥機・コインランドリーを使う
洗濯物に水分があると菌の繁殖が進みます。洗濯物はできるだけ早く乾かすことも生乾き臭を消すのを後押ししてくれます。
乾燥機能のある洗濯機や浴室乾燥機、衣類乾燥機が使用可能な場合は、できるだけ使用しましょう。
自宅に乾燥機能がない場合は、コインランドリーの使用はいかがでしょうか?
コインランドリーの乾燥機は家庭と比べパワーが強く、生乾き臭対策にも有効です。
ご家庭に乾燥機能がある方も、月に1度程度で使用するのもお勧めです。
(5)アイロンを使う
アイロン・衣類スチーマーを使用すると、シワを伸ばしつつ生乾きの臭いを対策することができます。
生乾きの臭いだけでなく、タバコや食事など、付いてしまった臭いにも効果があり、手軽に利用できるのも嬉しいポイントです。
3.お風呂の残り湯で洗濯しても大丈夫か?
お風呂の残り湯は皮脂やアカ、ホコリなどが含まれています。
お風呂の水を一晩置いておくと、雑菌は約1,000倍に増加するというデータもありますので、残り湯を使用する際は、「その日のうちに」使用し、すすぎは綺麗な水にすることで生乾き臭を防ぐことができます。
4.洗濯物の生乾き臭の予防法
モラクセラ菌は5時間経った頃から爆発的に増殖するため、生乾き臭を防ぐには5時間以内に乾燥させることも大事です。
乾燥機を使わなくても、部屋干しでも、できるだけ早く洗濯物を乾かす干し方のコツを3つ紹介します。
(1)洗濯が終わったらすぐに干す
生乾き臭の原因となるモラクセラ菌を含む雑菌は、湿度が高くジメジメした環境を好みます。洗濯機が終了の合図をしたら、速やかに干しましょう。
すぐに干すことが出来ない時は、洗濯機のふたをあけて風通しを良くしておく、脱水の時間を長く設定するだけでも予防になります。
(2)空気に触れる面積が大きくなるよう干す
洗濯物をまとめて洗うと、どうしても間隔を狭くたくさん干してしまいがちです。洗濯物同士が風通しを悪くしてしまい、雑菌を繁殖させてしまうことになります。
洗濯物同士はこぶし1個分の間隔を開けたり、タオルなどは広げて干しましょう。
100円ショップなどで購入できるバスタオルハンガーがあると便利です。
ハンガーは、ワイヤーハンガーよりも厚みのあるハンガーのほうが空気に触れる面が増えるので、乾きやすくなります。
洗濯ばさみ付きの角ハンガーを使用するなら、横から見て外側は長い衣類を、内側に向かってだんだん短い衣類を吊るすと、空気の通り道ができるので乾きやすくなります。
(3)風通しが良いところで干す
部屋干しでも空気の循環を良くすることで、より乾きが早く、生乾き臭を防ぐことが出来ます。扇風機やサーキュレーターを首振りにして下から上に当てて風の力で乾かしましょう。
扇風機の有無で「綿シャツ」は乾燥時間を2〜3時間も短縮させることができたという実験結果も出ています。
また、梅雨の時期はエアコンのドライ機能を使用したり、寒い時期は暖房を上手く利用しましょう。
5.洗濯物の生乾き臭の再発防止策
(1)たくさんつめこんで洗濯しない
まとめ洗いで洗濯物を一度にたくさん入れてしまうと、衣類のかさみで洗濯物がきれいに回りきらず、洗浄力が落ちてしまい、逆に菌を繁殖させてしまいます。
洗濯物は洗濯槽の7~8割程度にとどめましょう。
(2)洗剤は適量をよく溶かして使う
最近は液体洗剤を使用する家庭が多くなり、洗剤の溶け残りの心配はあまりないかもしれません。
ただし、粉洗剤の場合はあらかじめ40℃程度のお湯でしっかり溶かしておくことで、より高い洗浄力が見込めます。洗浄力を重視する時はぜひこの一手間をかけてください
(3)洗濯機の掃除をする
洗濯槽はカビなどの雑菌の宝庫です。漂白剤や煮沸、熱湯などの対策を試みても生乾き臭が改善しない場合は、洗濯槽の汚れが原因かもしれません。
市販の洗濯槽クリーナーなどを使って洗濯機をクリーニングしましょう。みるみるカビ汚れが浮いてくるので最後に網でしっかり掬い取っておきましょう。