1.感染力がオミクロン株BA.5の3倍以上の新たな亜種「ケンタウロス」とは
2022年7月に国内で初めて確認された、「ケンタウロス」と呼ばれるオミクロン株の新たな変異株である「BA.2.75」。その感染力は「従来のオミクロン株の3倍」と言われています。
新たな亜種はいったいどのようなものなのでしょうか?
(1)オミクロン株の亜種
「ケンタウロス」は、「BA.2」系統から変異した75番目の亜種(BA.2.75)です。
これまでも、「BA.2」系統の亜種はありましたが、誕生しては消えていました。
その中で「BA.2.75」は生き残り、今、感染が拡大しているということです。
「ケンタウロス」は、ギリシャ神話に登場する半人半獣の種族ですが、これまでのオミクロン変異株とは明らかに異質であるという意味を込めて、SNSや医師の間では、「ケンタウロス」とも呼ばれています。
(2)感染力はBA.5の3倍以上の強さ
米・感染症専門の教授の研究によると、「BA.2.75」(ケンタウロス)の感染力は、「BA.5」の3.24倍という研究結果が出ています。
2022年6月インドで初感染報告があり、その後、アメリカ、イギリス、オーストラリア、韓国など世界各国でも感染が確認されています。
そして、日本国内では7月8日に神戸市で1人、19日に大阪府で2人、21日に東京都で2人感染が確認されています。
(3)重症化率は低い?
「BA.2.75」(ケンタウロス)については、毒性・症状やピークの山がさらに大きくなる可能性があるのかなど、実態はまだはっきりとはわかっていないようです。
しかし一般的に「感染力が強いと重症化率は低くなる傾向がある」ようです。
前に「国際医療福祉大学の高橋泰教授の「コロナ新仮説」をわかりやすく紹介します」「GoTo一時停止や時短要請は有効か?京大・宮沢准教授の目玉焼きモデルに注目!」「最近のコロナ報道はフレーミング効果理論から見ても問題・弊害が多い!」という記事を書きましたが、いたずらに恐れることなく、冷静に感染状況の推移を見極めるべきだと私は思います。
2.ギリシャ神話に登場する「ケンタウロス」とは
「ケンタウロス」 (ケンタウルス)とは、ギリシャ神話に登場する半人半獣の種族(ケンタウロス族)の名前です。馬の首から上が人間の上半身に置き換わったような姿をしています。
(1)ケンタウロスの神話・民俗
イクシーオーンとヘーラーの姿をした雲ネペレーとの間に産まれたとも、その間の息子であるケンタウロス(人名)が牝馬と交わり産まれた種族ともいわれます。
テッサリアー地方のペーリオン山やアルカディア地方、エーリス地方などに住んでいましたが、テッサリアー地方のケンタウロスはペイリトオスとの戦争で住処を追われて、ペロポネーソス半島南部のマレア岬に移動したともいわれます。
好色で酒好きの暴れ者ですが、中には出自の異なる者がおり、彼らは野蛮ではありません。クロノスとピリュラーの息子ケイローンは「医学の祖」とされ、医術の神アスクレーピオスをはじめ、アキレウスなど数々の英雄を教育した賢者として知られ、また不死であったとされています。シーレーノスとトネリコの精であるニュンペーの息子ポロスも人格者です。
「ケンタウロス族」は戦いにおいてしばしば弓矢や槍、棍棒を使うとされています。星座の「いて座」は弓矢を持った姿から来ています。ケンタウロスではなくサテュロスともいわれます。
上の写真はフランス・リヨンのテトドール公園内にある『Centauresse et Faune』(オギュスタン・クルテ作)で、珍しい女性のケンタウロス像です。
ダンテの『神曲』「地獄篇」第十二曲では、生前、人を虐げた暴君たちを血の川において懲らしめる獄卒の役目を果たしています。ダンテとウェルギリウスはケイローンと言葉を交わし、ネッソスに道を案内してもらいました。
カッシート時代、中アッシリア時代の印章やクドゥル、ヘレニズム時代のバビロニアのスタンプ印章にはケンタウロスの模様が刻まれていることがあります。バビロニアにおけるケンタウロスの模様には、サソリの尻尾が付属しているものもあります。
ケンタウロスの女性形であるケンタウレは、紀元前5世紀の画家・ゼウクシスが考案したとされますが、神話文学における裏付けは存在せず、芸術作品としても若干数です。
(2)ケンタウロスの起源・語源
ケンタウロス像の起源は東方の騎馬民族であるスキタイ人と戦ったギリシア人が、彼らを怪物視したものだという説があります。すなわち、ケンタウロスは乗馬文化を持たない者が騎馬民族を見て怪物と見間違い、生まれたのではないかという訳です。スキタイ人は馬上から弓を射る「騎射」に優れていました。
ただし、この説は疑問視する意見も多くあります。また、ケンタウロスという名前の語源は「牛殺し」だという説があり、「刺し貫く牡牛」だとする説もあります。
また、ケンタウロスは「牡牛を駆け集める者」の意であり、テッサリアに住んでいた原始の牧夫の集団がモデルではないかという説もあります。
<『ケンタウロスとラピテース族の戦い』 ピエロ・ディ・コジモ画>