<2021/7/31追記>2020年、日本人の平均寿命は過去最高を更新
2020年の日本人の平均寿命は、男性が81.64歳(2019年は81.41歳)で、スイスに次いで世界第2位、女性が87.74歳(2019年は87.45歳)で引き続き世界第1位です。
団塊世代(昭和22年~24年生まれのベビーブーム世代)は、現在大体69歳~71歳で、2005年の国勢調査では約678万人でした。2018年現在はもう少し減っているでしょう。
2025年には全ての団塊世代が75歳以上の「後期高齢者」となるため、「2025年問題」と呼ばれる問題が発生すると見込まれています。
1.2025年問題
生活総研の「未来年表」によれば、次のような問題点が挙げられています。
(1)団塊世代の中の女性の割合が高まり、「団塊女性の単身世帯」が増加する。
(2)「要介護認定」を受ける高齢者の数が、約780万人に上る。
(3)75歳以上の「後期高齢者」人口が、約1,900万人に達する。
(4)団塊世代の「受療率」がピークに達する。
(5)「在宅医療」の対象者が2倍に拡大する。
(6)「急性期と回復期の連携が不明瞭」のままで、日本の医療が立ち行かなくなる。
(7)「社会保障費」がピークに達する。
(8)65歳以上人口のうち、「認知症」の人が700万人前後に達する。
(9)団塊ジュニア世代が、「介護と育児のダブルケア」に見舞われる。
(10)「在宅医療を必要とする人」が、100万人を超える。
2.現在の団塊世代が置かれている「介護の現状」
現在、私には今年95歳を迎えた「要介護2」の母親がいて、「介護付き有料老人ホーム」に入所しており、日常の介護はホームに依頼しています。しかし毎週2回、妻と共に果物・菓子、洗濯した衣類を持って老人ホームに行き、着替えなどを手伝った後、また洗濯物を持ち帰って家で洗濯するということを続けています。子供はもう30歳代になっていますから「介護と育児のダブルケア」ということはありませんが、まだまだ子供のことも「心配」であることに変わりはありません。
平均寿命が伸びたことによって、皆さんの中にも同じような事情を抱えている方も少なくないのではないかと思います。いわゆる「老老介護」ですね。
また、「未来年表」の指摘の通り、7年後には団塊世代も「後期高齢者」となることから、我々自身が「認知症」になったり、「要支援」や「要介護」状態になる可能性も大きい訳です。
そうなると、公的・私的の各種老人ホーム(通常の老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、軽費老人ホーム【ケアハウス】、グループホームなど)の空きが果たしてあるのかという心配が出て来ます。現状のままでは、不足することは目に見えています。そうすると、「待機児童」ならぬ「待機老人」の大量発生となります。つまり「介護難民」の発生です。また「介護職員不足」から、「外国人介護職員」の増加や「介護用ロボット」の導入も現実味を帯びてきます。ただ「外国人」の場合は、「介護助手」としても、ちゃんと「日本語」で意思疎通できるのかという懸念が残ります。
3.自助努力により「介護が必要になる時期」を極力延ばす
私たち個人が出来ることと言えばまず「自助努力」で健康の維持・増進に努めて、「介護が必要になる時期」を極力延ばすことです。そしていよいよ介護が必要になった場合は、信頼できる「介護付き有料老人ホーム」に入ることです。「病院と提携している」とパンフレットに書いてあっても、緊急の場合にその病院とちゃんと連携して対応してくれるのか、名前だけの提携なのか、その実態がどういうものかよく調べないと失敗します。
かつて、小泉元首相が「自宅で老人の介護を子供や孫がする」のを理想として推奨・提唱しておられましたが、果たして現実にこの「自宅介護」が出来る人がどれだけいるのか疑問です。小泉元首相が「自宅介護の大変さ、難しさ」を本当にわかっているのか大いに疑問です。「老老介護」や「介護疲れ」、そしてそれが原因の「介護疲れ殺人」事件を招きかねません。
軽度の場合は、「デイサービス」の利用は意味があると思います。「訪問介護」は、割高の上、訪問介護の人がいない時間帯は、いやでも家族が対応する必要があるため、負担は大変大きいです。(これは、私と私の妻が経験済みです)やはり介護は介護施設のプロに任せるしかありません。
ただ、「団塊世代の介護需要」に対応して介護施設を急激に増やせば、団塊世代亡き後は、設備過剰に陥りますので、本格的な施設だけでなく、「臨時的な」施設の設置も必要になるのかも知れません。この問題については、個人の力の及ぶところではありませんので、行政の速やかな検討・対応を期待したいと思います。