東京五輪2020はなぜ真夏の7月開催になったのか?暑さ対策も併せて考える!

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陸上競技場

2013年9月7日、ブエノスアイレスで開かれた「国際オリンピック委員会(IOC)総会」における投票で、東京がライバル都市のマドリードとイスタンブールを破って、2020年オリンピック・パラリンピック大会の開催都市に選出されました。

東京五輪2020決定を喜ぶ

東京が選ばれた理由は、滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」で有名になったプレゼンテーションや、東日本大震災の復興という大義名分、招致関係者の努力で国民の五輪招致への支持率が徐々に上がってきたことなど色々あったと思います。

その結果東京開催に決定したことは大変喜ばしいことなのですが、日程が7月24日~8月9日と真夏の中でも一番暑い時期なのが問題です。

私は、最初日程としては、1964年と同じ10月上旬~下旬にするのだろうと漠然と思っていました。日本で「スポーツをしたり、見たりするのに最適の季節」といえば、「10月」か「5月」でしょう。しかし5月はゴールデンウイークがあるので、やはり10月に落ち着くのではないかと思っていました。

1.「東京五輪2020」が真夏の開催となった理由

「東京五輪2020」を7月から8月の日程に決めて招致したのには、いくつかの理由が挙げられています。

(1)元々、オリンピック発祥の地であるギリシャや英米などのキリスト教圏では、8月か9月に新学期が始まる為、新学期前の開催が区切りが良いこと。

(2)アメリカのテレビ局が儲かるようにしていること。メジャーリーグは秋からポストシーズンに入るし、バスケットボールのシーズンも始まること。完全に商業ベースの理由です。

(3)欧州サッカーの試合と重ならないこと。6月~7月初旬が欧州選手権で8月末からは各国リーグが開幕します。これもテレビ局の商業ベースの理由です。

2.「東京五輪2020」の「暑さ対策」

それにしても、過去の他の開催国に比べて、日本の「猛暑」と「湿度の高さ」は、比べ物にならないのではないかと思います。しかし、競技日程を変更することが不可能だとすれば、開催者側も競技を行う選手も観客も十分な対応策を考える必要があります。

(1)屋外競技は、競技開始時間を早朝にするか、競技自体を夜間にすること。早朝や夜間開催が不可能な競技の場合は、選手・観客・主催者側関係者の熱中症対策に万全を期すこと

屋外競技には、マラソン・トライアスロン・自転車競技・陸上競技・ゴルフ・射撃・カヌー・ボート競技・ビーチバレー・セーリング・7人制ラグビー・サッカー・テニス・ホッケーなどがあります。

特にマラソンは、早朝5時台か6時台にすること。屋外競技は、原則夜間開催とし、観客席の空調設備を万全にすること。「夏時間(サマータイム)」導入で夏の間だけ1時間から2時間前倒しにするという意見もあるようですが、そんなことをすると、オリンピック関係以外への影響も大きすぎますし、サマータイム自体も色々の問題点を指摘されているようですから、開始時間を早めるか、競技時間帯を夜間にする対応で十分だと思います。「予選・準決勝・決勝」とかの時間帯調整や、選手の「コンディションの調整」、「照明設備や警備上の問題」も大変かと思いますが、何とか工夫して乗り切ってほしいものです。

「夜間開催」がどうしても不可能な屋外競技もあるかも知れませんが、その場合は、特に選手・観客・主催者側関係者の熱中症対策に万全を期すことが必要です。これについては、具体的には(2)で説明します。

(2)選手にも、観客にも、審判・観客整理・警備などの競技関係者にも「熱中症対策グッズ」(夏の高校野球の「かちわり氷袋」のようなものとか、「保冷剤」)を提供または販売すると共に、応急医療体制に万全を期すること

マラソンのような長丁場の競技については、早朝や午前中開催と言えども観客は長時間屋外で選手の来るのを待っていることになるので、特に十分な配慮が必要です。

「脱水症状」は命の危険もある恐ろしいものです。2020年の東京五輪のマラソンでも、「熱中症」や「脱水症状」による悲劇が起こるのではないかと心配になります。

2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(はなし)~」の主人公の金栗四三(かなくりしそう)氏(1891年~1983年)も、1912年(明治45年)の「ストックホルム五輪」のマラソンに出場しましたが、競技途中で、日射病になって倒れてしまいました。近くの農家の人に介抱され、意識を取り戻したのはレースが終わった翌日の朝だったそうです。

この「ストックホルム五輪」のマラソン当日は、最高気温40度という記録的な暑さで、折り返し地点に給水所がありましたが、彼は立ち寄っていませんでした。参加者68名中およそ半数が「途中棄権」したそうです。レース中に倒れて翌日死亡した選手までいた過酷な状況であったようです。この話を聞くと、2020年の「東京五輪」がちょっと心配になって来ますね。

(3)「開会式」も「閉会式」も夜間にすること

「開会式」は、本来昼間の方が望ましいと私も思うのですが、真夏の開催が不可避なのであれば、逆に夜間に開催して「幻想的な炎と光の演出」などが工夫できるのではないでしょうか?警備も大変だとは思いますが・・・

(4)屋内競技場においては、空調設備を万全にすること

屋内競技には、ボクシング・レスリング・柔道・バレーボール・バスケットボール・ハンドボール・バドミントン・卓球・体操 新体操 トランポリン・フェンシング・重量挙げなどがあります。

屋内競技場の中は、だだっ広い 上に大勢の観客がいるため、なかなか空調が効きにくいとは思いますが、真夏の時期なので、熱中症対策として、十分な冷房が必要です。

ただし、バドミントンのように、エアコンの風(空気の流れ)が「シャトル(羽根)」に微妙な影響を与えるような競技については、専門家の意見も聞いて、極力競技に影響を与えないような空調を工夫すること。ほかにも、卓球のボールがエアコンの風の影響を受けないのか、確認する必要があるように思います。

しかし、原点に返って、テレビ局の放映権の問題もあるでしょうが、「10月10日開催に変更」というのは絶対不可能なのでしょうか?「7月24日の開催日ありき」では、東大にどうしても入りたい受験生が、比較的入りやすい農学部に入るのに似ていませんか?本当は法学部か経済学部に入りたいのに、「東大生」という名を取るために、実を犠牲にしていませんか?ただし大学の場合は、農学部に入っても、専門課程に進む時点で、教養課程での成績次第で「転部」の可能性もあるとのことで、運よく転部出来た人もいるようですが、これって「裏口入学」に似ているような気もします。オリンピックも「転部」ならぬ「日程変更」交渉が認められないのか、関係者に再検討をお願いしたいものです。

最後に、「パラリンピック選手」の「暑さ対策」は、健常者の「オリンピック選手」のそれ以上に、十分な配慮が必要だと思います。

前に述べた1912年の「ストックホルム五輪」でのマラソンランナーの悲劇の再現のようなことは絶対に起こしてはならないと思います。

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