新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の世界的感染拡大(パンデミック)が続く中、日本でも感染爆発(オーバーシュート)を抑えるために、「外出自粛」「三密の回避」「営業自粛」など様々な対策が打ち出されています。
4月7日の7都府県への「緊急事態宣言」発出に続き、4月17日には日本全国を「緊急事態宣言」対象地域とすることになり、期限は5月6日までとされました。
1.「コロナ疲れ」「コロナストレス」「コロナうつ」の懸念
江戸時代に、謹慎処分を受けた武家や公家の人々が、家の門を閉ざして人の往来を断ち、屋敷の一室に閉じこもる「蟄居閉門(ちっきょへいもん)」という刑罰制度がありました。ちなみに終身のものは、「永蟄居」と言いました。
極端に言えば、今や多くの国民が「蟄居閉門」のような状態です。しかも、いつまで続くのか全く先が見えない状態なので、気が滅入ったり、息が詰まりそうになったり、不安が募ったりするのは当然ですし、だんだん疲れて来るのも無理がありません。
少し疲れを感じる軽症の「コロナ疲れ」、強いストレスを感じるようになる中症の「コロナストレス」、極度のストレスでうつ状態に陥る重症の「コロナうつ」までありますが、多くの人がそのような症状になるリスクを抱えています。
また、この季節は夏バテならぬ「春バテ」という気象病が重なっているかもしれません。
2.「コロナ疲れ」「コロナストレス」「コロナうつ」の予防と対処法
(1)東邦大学医療センター教授の小山文彦氏の提唱する対処法
①まずは生活習慣をととのえる(睡眠・食事・運動の3つを見直す)
・良質な睡眠を取る
・バランスの良い食事を取る
・適度な運動をして体を動かす
②情報にふりまわされない(情報遮断)
・わからないことはわからないままにしておく(「不安耐性」をつける)
・「自分だけは少々なら大丈夫」といった「正常性のバイアス(先入観、偏見)」に陥らない
・「恐怖や不安を煽る風説に惑わされる」といった「悲観的なバイアス」に陥らない
③首尾一貫の感覚(sense of coherence)を持つ
・困難を乗り越えて生きようとする感覚(有意味感)
・将来起こることを予測できる感覚(把握可能感)
・ストレス処理のために周囲からの協力が得られるという感覚(処理可能感)
(2)松崎病院(愛知県)の精神科医・鹿目将至(かのめまさゆき)氏の提唱する対処法
①自分の症状を冷静に見つめ、「これはコロナのせい」と自覚する
②ニュースの追っかけをやめる(情報遮断)
③規則正しい生活をして、できるだけ体を動かす
④明るい未来を予測する
⑤感謝の気持ちを持つ
(3)臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏の提唱する対処法
①情報への向き合い方を変える(情報遮断)
テレビやスマホを見る時間を絞る、Twitterでキーワードを設定し「ミュート」(非表示)にするなどです。
②自粛しつつもできるだけ自分の日常生活を守る
③コーピング(ストレスへの対処)の成功体験を積み重ねる
「本を読む」「音楽を聴く」などストレスを自分なりに対処し成功すると、気分が落ち込むことを予防できるということです、
(4)ハーバード大学医学部准教授のルアナ・マルケス博士の提唱する対処法
①携帯電話やテレビから離れ、情報を遮断する時間を作る
②食事・運動・睡眠の従来の健康習慣を維持する
③他人と会話し、つながりを維持する
④スケジュールを設定し、規律をもって明確に管理する
⑤犬や猫などのペットと触れ合う
次の二つは「在宅勤務」(テレワーク)をする人へのアドバイスです。
⑥小さな机でいい。「プライベート」と「仕事」の空間を分ける
⑦「仕事モード」から「オフモード」への「切り替え」の時間を設定する