米メジャーで大活躍の田中将大と日本ハムで瀬戸際の斎藤佑樹との対照的な歩み

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斎藤佑樹

<2021/10/1追記>斎藤佑樹が今季限りで引退を発表しました。

早稲田大学卒業後、将来のエースと期待されてプロの世界に入ったものの、思うような成績を残せず、ケガにも泣かされた11年でした。

まだ33歳の若さですので、長嶋一茂のようなタレントの道もあれば、日ハムその他の球団での野球関係の仕事で何らかの働き場所もあるかもしれません。第二の人生をじっくり考えてほしいものです。本当にお疲れ様でした。

斎藤佑樹と田中将大は、ともに1988年生まれで、高校野球でともに大活躍しました。斎藤は「ハンカチ王子」と呼ばれて人気があり、一方の田中はやぼったい感じがしました。斎藤はスマートなエリートで、田中は泥臭い雑草のようで、斎藤が優勢のように見えました。

ところが、プロ入り後の野球界での活躍はどうでしょうか?斎藤は二軍落ちで長く地獄を味わいプロ野球選手を続けられるかどうかの瀬戸際にあります。一方の田中は日本のプロ野球界でも大活躍し、破竹の勢いで乗り込んだメジャーリーグでも大活躍をしています。

1.斎藤佑樹

彼は群馬県太田市出身で、早稲田実業から早稲田大学に進みました。高校時代は、2006年夏の甲子園で田中のいる駒大苫小牧高校を下して優勝、同年の国体でも同じく田中のいる駒大苫小牧高校を下して優勝しています。東京六大学野球でもベストナインに選ばれたり、最優秀防御率賞を獲得したりと大活躍でした。世界大学野球選手権大会と日米大学野球選手権大会に大学日本代表として史上初めて4年連続選出されるなど飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

2010年のドラフト会議で、ドラフト1位で斎藤を引き当てた日本ハムファイターズの栗山監督が大喜びした姿は忘れられません。

しかし「プロ野球」の世界はそんなに甘くありませんでした。右肩の故障などもあり、数年後には二軍落ちし、一軍での登板はほとんど見られなくなりました。大谷翔平人気で影が薄くなったように思います。今年は甲子園で活躍した金足農業の吉田輝星が大人気のようです。

気のせいかも知れませんが、最近は生気がなく表情も虚ろなように感じます。

こんな不振続きの斎藤を球団が解雇しないのは、斎藤の持つ一般的知名度、斎藤の存在による球団グッズ収入、斎藤がもたらす宣伝効果など「客寄せパンダ」的な存在になっているからかも知れません。

2.田中将大

彼は兵庫県伊丹市出身で、駒大苫小牧高校卒業後大学へは進まず、東北楽天ゴールデンイーグルスに入団しました。彼は高校時代、早稲田実業の斎藤に決勝で敗れたりしましたが、「怪物」「世代最強エース」と評されていました。

野村監督が田中の実力を認め、可愛がったことも良かったのかも知れません。弱小チームの中でも大活躍したのは、かつての国鉄の金田正一投手を彷彿とさせます。

最近はガッツに溢れ顔つきも引き締まり、いい顔になっています。

斎藤佑樹のように、「ドラフト1位」で入団しても、プロでさしたる活躍も出来ないままプロ野球界を去った人は少なくありません。彼らは「ケガ」という不運な面もあったでしょうが、「プロ野球で通用する実力がなかった(あるいは実力を身に付けられなかった)」ということでしょう。

一方、東大卒でロッテに入団した小林至(1968年~ )のように、プロ入り後一軍登板の機会がなかったものの、退団後コロンビア大学大学院に進み、MBAを取得しています。そして現在は、スポーツ経営学者(スポーツ科学博士、経営学修士)で、江戸川大学教授、立命館大学客員教授となっています。これは見事な転身だと思います。

第三者がとやかく言うことではありませんが、斎藤佑樹も30歳ですから、そろそろ別の「第二の人生」を考える時期に来ているのかも知れません。