「経営多角化」の失敗と成功の秘訣。ライザップと日本電産の事例で考える!

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永守重信

かつて、「経営の多角化」を推奨・推進する声が多く、実際に本業だけでは頭打ちになるとして、「多角経営」に走る企業が多くなりました。

1.ライザップの失敗

しかし、最近「結果にコミットする」というキャッチフレーズのテレビCMで一躍有名になり、急成長したライザップが、2019年3月期は「70億円の赤字」(*)に転落するという決算短信を発表しました。

(*)2019/5/15付け追記

5/15に発表された確定決算(国際会計基準)では、「193億円の赤字」となりました。「決算短信」には、企業としての存続に疑義を生じさせるような状況があるが、対策を講じている場合に記載する「継続企業の前提に関する重要事象等」の注記があります。

ライザップは、本業の「ジム事業」では黒字なのですが、M&Aで買収した企業の再建については、「結果にコミットできなかった」という訳です。

ライザップは、業績不振企業を中心に買収を進めて急成長をしてきましたが、「カジュアル衣料品店」のように業績が上向いてきたもののありますが、「CD・ゲームソフト販売会社」や「フリーペーパー発行会社」、「補正下着販売会社」などの子会社が赤字で、連結業績の足を引っ張ったということです。

ライザップ社長の瀬戸健社長は、筋力トレーニングの専門家ではありませんが、メタボや運動不足の人が多い現状に着目し、運動専門のトレーナーと食事指導についての専門家を組織的に使えば、体質改善が十分可能だと考え、この会社を立ち上げたもので、その発想は素晴らしく、実際それが図に当たった訳です。

しかし、社長は40歳と若いので、事業拡大意欲は旺盛な反面、買収対象の企業を見る能力は低く、見通しが甘かったのではないでしょうか?

2.日本電産の成功

一方、成功事例としては、日本電産があります。同社はワンマン会長で有名な永守重信氏が創業した会社ですが、世界ナンバーワンの総合モーターメーカーです。

幹部社員は休日も出勤して、社長と昼食を共にしながら仕事をするという噂を聞いたことがある程、仕事熱心な経営者です。

永守会長は74歳と高齢ですが、1973年(昭和48年)の会社設立以来、45年の長きにわたってM&Aを繰り返し、着実に会社を成長させてきました。買収対象の企業を見る目も厳しく、社員に対する要求も厳しいものだったようです。

その結果、2018年3月期の業績は、連結売上高1兆4,881億円、営業利益1,676憶円、純利益1,314億円、従業員数107,554名という東証一部上場の巨大優良企業となった訳です。

「急成長企業」は、経営者の「事業拡大の夢」が大きいため、どうしても「手張り過ぎ(手を広げ過ぎ)」という傾向があります。自己の能力・管理可能範囲を超えて手を広げるのは、失敗の元です。

「多角化」の話から脱線しますが、会社ばかりでなく、個人についても、自分の能力を超えて仕事を引き受けるのは禁物です。自分の処理能力を冷静に見極めて、処理不可能な仕事は断ることも必要です。「過労死」しては元も子もありません。



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