ドカ雪の原因「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯 )」をわかりやすく紹介!

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JPCZ

皆さんは「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯 )」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?

今日のNHK総合テレビの「ニュースウォッチ9」にも出てきましたが、あまりよくわからないという方が多いのではないでしょうか?

しかし、「新幹線止まったら泣くぞ」「鹿児島で大雪警報の可能性あるの?」のような声がSNS上に飛び交うことがありますね。これは年の瀬の週末を直撃する大雪に対する戸惑いの声です。

気象庁が特に警戒するのが平地でもわずか数時間のうちに大量の雪が降り、立往生などにつながるいわゆる「ドカ雪」です。その要因となるのが「JPCZ」=「日本海寒帯気団収束帯」です。

そこで今回は、「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)」についてわかりやすくご紹介したいと思います。

1.「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯 )」とは

日本海寒帯気団収束帯(にほんかいかんたいきだんしゅうそくたい、Japan sea Polar air mass Convergence Zone:JPCZ)とは、冬季に日本海で形成される、長さ1,000km程度の収束帯(*)のことです。

「寒帯気団」とは、寒帯に発現する冷たい「気団」(気温や湿度などの気象要素の性質が水平方向にほぼ一様な空気塊)のことで、冬の日本付近の天候を支配する「シベリア気団」はその代表的なものです。

(*)収束帯(しゅうそくたい、convergence zone)とは、気象学において、気流が収束(convergence)しているところを指す用語です。収束線(しゅうそくせん、convergence line)(集束線とも表記)、集風線とも言います。

つまり「水平の2方向からの風がぶつかり、上空へと流れているところ」です。水平面を表す地図上では、線として現れます。

JPCZ

上の画像は、日本海の西半分にはっきりとした筋状雲が現れた衛星画像です。中国・北朝鮮の国境付近にある長白山脈(赤)の風下では左右で筋状雲の方向が異なります。両者が収束する黄色の破線と点線の間は帯状対流雲となり、その南縁(黄色破線沿い)には濃密なJPCZの雲の帯があります。

2.「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」のメカニズム

JPCZ

冬に雪が降りやすい日本海側。時には大雪に見舞われることがあります。その原因は、JPCZのせいだったのです。

日本海には、対馬海流という暖流が流入している影響で、比較的海水が暖かくなっています。
冬型の気圧配置になると、大陸からの冷たい風がこの暖かな海の上を吹いてきます。この風は朝鮮半島の北部に位置する長白山脈によっていったん二分されます。

その後どうなるかというと、風下である日本海の上空で再び合流。風と風がぶつかることで、雲の発達しやすいラインが形成されるのです。このラインが「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)」です。

日本海の海水温は比較的高いため、大量の水蒸気が供給され、雪雲が特に発達します。

大雪になりやすい日本海側の山沿いだけでなく平地でも積雪が増えるほか、雲が次々と流れ込むため、東海など太平洋側でも大雪になることがあります。

このJPCZは少しずつ位置を変えますが、とどまると「ドカ雪」になります。

3.「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」の日本への影響

JPCZ

2010年の12月31日〜1月1日、JPCZが形成され、山陰地方を中心に記録的な大雪となりました(上の写真は鳥取県の大雪の様子)。

鉄道や道路だけでなく、大雪によってバランスを崩した小型の船が転覆するなど、海にも影響が出る事態となりました。

こうしたJPCZの影響を受けるのは主に東北南部や北陸、山陰などです。
JPCZによって、発達した雪雲が作られてしまうため、異例の大雪となることも多々あります。

さらに厄介なことに、寒気が強い時には内陸部や太平洋側にも雪を降らせてしまうのです。

JPCZ

2017年の2月にはJPCZが中国地方や近畿の日本海側付近にとどまって大雪となり、鳥取市では積雪が90センチを超えて記録的な大雪となりました(上の写真)。

鳥取県内ではおよそ250台が立往生したほか雪の重みによって港にあった漁船などが相次いで沈没しました。

JPCZ

また、2021年1月にはJPCZが若狭湾付近に停滞して大雪が降り続き、福井県の北陸自動車でおよそ1600台が動けなくなり、解消までに2日以上かかりました(上の写真)。

こんな場合、もし「ガソリン車」や「ハイブリッド車」ばかりでなく「電気自動車」が何台か入っていたら、動かすのがさらに大変になったのではないかと想像します。

このリスクについては「純ガソリン車の新車販売禁止政策は性急で愚策!大規模停電の恐れもある!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

JPCZ

上の天気図のように、日本海上の等圧線がくぼんでいるときは要注意です。
JPCZが形成されている可能性が高くなります。

記録的な大雪となれば、交通やライフラインへの影響も心配されます。電気を使わなくてもよい暖房器具の準備や食料の確保など、いざという時を想定した備えしておいたほうが安心です。