日本語、特に「副詞」や「形容詞」には面白い言葉がたくさんあります。中には「オノマトペ」に分類されるものもあります。
今回はその意味と語源が何かをご紹介したいと思います。
1.うんともすんとも
意味:返事などが全くないさま。打ち消しの語を伴って「うんともすんとも言わない(言ってこない)」のように用いられます。
語源:うんともすんともの「うん」は、承諾のほか、鼻息の音や唸り声を表す擬音語として用いられる「うん」です。
「すん」は「うん」に語呂を合わせたもので、同じく鼻から出す音と考えられ、他に「うんともすっとも」という表現も見られます。
つまり、「うんともすんとも言わない」は、息さえ発しない意味から、一言も言わない意味となったものと考えられます。
一説には、うんともすんともの語源は、「ウンスンカルタ」の「ウン」「スン」であるとも言われます。
「ウンスンカルタ」(南蛮カルタ)(上の画像)とは、元禄の終わり頃に考案されたもので、ポルトガル語で「ウン」が「一」、「スン」が「最高点」を意味します。
その「ウンスンカルタ」が、「天正かるた」の流行に押されて消えていったことから、「うんともすんとも言わなくなった」という語源説である。
しかし、ウンスンカルタは、天正かるたの流行から派生して作られたもので、この説では時代関係が前後しています。
また、「ウンスンカルタに熱中しすぎて無口になることからといった説」もあるが、ウンスンカルタの説を通すために後から加えられた説で信憑性は薄いようです。
2.お茶目(おちゃめ)
意味:無邪気ないたずらをする様子、無邪気で愛らしく憎めない様子。 また、ふざけたことを言ったりして人を笑わせるような人を指して「お茶目」と言います。
「茶目っ気たっぷり」などと、ユーモアがあることや、人を笑わせたりすることができる明るい性格であることを伝える時にも使います。
語源:「お茶目」はお+茶+目の三つに区切ることが出来ます。「お」は茶目という言葉を丁寧語にするための「お」です。もともとは茶目という言葉をやわらかくするためにつけられたものです。
「茶」の意味は「茶化す」、要するにおどけたり、いい加減なことをいったりするという意味があります。
そして「目」にはめかしこむ、つまり着飾ったりお洒落をしたりするという意味が込めらており、目はその当て字である、と言われています。
ではこの「茶」がなぜおどけたという意味を持つのかというと、現在でもよく使われている「お茶にする」=「休憩する」ということから転じてふざけたり冗談を言ったりするという意味を持つようになったそうです。
また、歌舞伎の用語で「茶る(ちゃる)」という言葉があります。こちらもおどけるという意味を持ち、滑稽なシーンのことをチャリ場と呼び、「茶利場」という漢字があてられたそうです。また、おどけた女性の役を茶利女(ちゃりめ)と呼び、茶利女が転じてお茶目になったという説もあります。
どちらの説が本当かは今となっては不明ですが、目というなかに「めかしこむ」という意味が含まれているならばお洒落で面白いというニュアンスは現代のお茶目が持つイメージとぴったりです。
3.滑稽な
意味:①ことばが滑らかで、知恵がよくまわること。機知に富んだ言動をすること。巧みに言いなすこと。転じて、ばかばかしくおかしいことばや言いかた。諧謔。おどけ。ざれごと。
②上の①の意味から転じて、俳諧のこと。また、風来山人(平賀源内)に始まる滑稽を主とする戯作。
③いかにもばかばかしいこと。くだらなくみっともない感じを与えるさま。
語源:滑稽の語源には、①「滑」は「なめらか」、「稽」は「考える」の意味とする説。
②「稽」は酒器の名で、酒器から流れ出るように、弁舌が滑らかであることからとする説。
③「滑」が「乱」、「稽」が「同」の意味で、是非を混同させ巧みな弁舌で言いくるめることとする説があります。
滑稽の出典は中国の漢籍『史記』にあり、酒器や泉から流れ出るように、弁舌が滑らかであることなどをいった用法からです。
つまり頭の回転が速く機知に富み、口舌がよどみないことを言いました。. 本来は笑いの要素は含まれていませんでしたが、滑稽として取り上げられた人物の中には、おどけた、ウィットに富んだ言動をする俳優が含まれており、それが後に、笑いやユーモアに富んださまを、滑稽と表現するように転じたものと考えられています。