日本語の面白い語源・由来(う-③)饂飩・有卦に入る・蘊蓄・烏龍茶・烏兎匆匆

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饂飩

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.饂飩(うどん)

うどん

うどん」とは、少量の塩を加えた水で小麦粉をこね、薄くのばして細長く切ったものを茹でた食品です。

うどんの語源は諸説ありますが、奈良時代に渡来した、小麦粉の皮に餡を包んで煮た「混飩(こんとん)」という唐菓子に由来する説が有力とされます。

食べ物なので「混飩」を食偏に改めて「餛飩」となり、熱い食べ物なので「温飩」と書くようになり、また食偏に改められて「饂飩」になりました。

この漢字の変化の過程で、「おんとん(温飩)」が漢音で「うんどん(うんとん)」となり、第二音節が脱落して「うどん」となりました。

「うどん」の呼称が使われ始めたのは室町時代からですが、江戸時代には「うんどん」も用いられていました。

また、うどんは「むぎなわ(麦縄)」や「きりむぎ(切麦)」とも呼ばれました。

熱したうどんを「あつむぎ(熱麦)」、冷やしたうどんを「ひやむぎ(冷麦)」と呼んでいいたため、昔は「麦」だけでも「うどん」を表していたと考えられます。

余談ですが、「蕎麦(ば)」の主原料は、そばの実を乾燥させて精製したそば粉です。ここに水や「つなぎ」と呼ばれる材料を混ぜ、練ってから細く切ったものを茹でた食品です。

「うどん」だけでは季語になりませんが、「鍋焼饂飩」や「釜揚饂飩」は冬の季語です。

・北風に 鍋焼饂飩 呼びかけたり(正岡子規)

2.有卦に入る(うけにいる)

有卦に入る

有卦に入る」とは、幸運にめぐりあい、良いことばかりが続くことです。

有卦に入るの「有卦」とは、安倍晴明で有名な陰陽道で、人の生まれた年の干支に基づいた幸運の年回りのことです。

有卦の吉年は7年続き、無卦(不運の年回り)の凶年は5年続くということです。

有卦の年回りに当たる意味から、幸運が続くことを「有卦に入る」と言うようになりました。
「入る」の読みは「いる」で、「はいる」とは読みません。

3.蘊蓄/薀蓄(うんちく)

蘊蓄

うんちく」とは、研究を重ねて蓄えた深い知識のことです。

「蘊(薀)」も「蓄」も「たくわえる」を意味します

19世紀前半には「蘊蓄し」のように「する」を付けて用いられ、知識に限らず「蓄える」の意味で「うんちく」は用いられました。

「蘊蓄を傾ける」「蘊蓄を傾注する」など、蓄えた知識を出す意味での使用が多くなったのは、19世紀後半からです。

4.烏龍茶/ウーロン茶(うーろんちゃ)

烏龍茶の茶葉

烏龍茶」とは、中国茶の一種で、中国福建省・広東省・台湾などの特産です。生葉を発酵途中で釜炒煎りする半発酵茶です。

烏龍茶の「烏龍(ウーロン)」は、茶葉がカラスのように黒褐色で、竜のように曲がりくねっていることに由来する説が定説となっていますが、語源は未詳です。

その他、烏龍茶の語源には、最初に製茶された茶樹の根本に黒いヘビが巻きついており、黒い色をカラス、ヘビを竜に見立てて「烏龍」になったとする説や、最初に茶葉を摘んだ人の通称が、「烏龍」だったとする説があります。

5.烏兎匆匆/烏兎怱怱(うとそうそう)

烏兎怱怱

烏兎匆匆」とは、月日が経つのが早いさまのことです。

烏兎匆匆の「烏兎」は、中国の伝説に由来します。

中国の伝説では、太陽には三本足のカラスが棲み、月にはウサギが棲むとされました
そこから月日を「烏兎」と表すようになり、「年月」「歳月」の意味でも用いるようになりました

匆匆(怱怱)」は「忙しいこと」「慌ただしいこと」を意味し、「烏兎匆匆」で月日があわただしく過ぎること、月日が経つのが早いことを表します

太陽の中のカラスを「金烏(きんう)」、月の中のウサギを「玉兎(ぎょくと)」と呼び、日と月を「金烏玉兎(きんうぎょくと)」とも言います。