日本語の面白い語源・由来(お-22)お仕着せ・おかず・お茶の子さいさい・御田・お洒落

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お仕着せ

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.お仕着せ(おしきせ)

お仕着せ

お仕着せ」とは、上から一方的に押し付けられたり、定められたりすることです。

お仕着せは、江戸時代頃から見られる語で、接頭語「お」を伴なわず「仕着せ」「為着せ」の形で使われました。

この当時の「仕着せ(為着せ)」は、主人から奉公人へ与える着物のことを言いました。
季節毎に衣服が与えられたことから「四季施」という字も当てられましたが、普通は盆と暮れの二回で、現代のボーナスに近い意味がありました。

やがて、時候に合わせて着物が与えられていたため、お仕着せは型どおりに物事が進められる意味となり、決まりごとの意味でも使われるようになりました

意味の変化に合わせ、お仕着せを「押し着せ」と感じられたのか、昭和中頃から「一方的に押し付けられる」という意味に変化しました。

2.おかず

おかず

おかず」とは、副食物のことです。

おかずは、漢字では「御数」と書き、数を取り揃える意味で「おかず」になったとする説が有力とされますが、混ぜ合わせる意味の「糅てる(かてる)」を語源とする説もあります。

おかずは主食の周囲にあることから、古くは「御巡り(おまわり・おめぐり)」とも呼ばれました。「御巡り」は数を揃えなければ意味をなさないため、そこから考えると、数を取り揃える説が妥当と思われます。

しかし、「かてる」から転じた「糧(かて)」は、現代でも食物の意味で使われ、ドラマ『おしん』に出てきた「大根飯」などは、穀物以外のものを混ぜ合わせることから「かてめし」と呼ばれます。

また、「副食物」を意味する言葉の多くは「菜」を用い「お菜(おさい)」と言われていたことや、「お惣菜」などの言葉を考慮すると、「かて」の説は否定できません。

「おかず」「お菜」「御巡り」は全て女房詞ですが、おかずの男性語としては「御具足(おぐそく)」という言葉が使われていました。

なお、おかずの漢字は「御数」のほか、「御菜」とも書くきます。

3.お茶の子さいさい(おちゃのこさいさい)

お茶の子さいさい

お茶の子さいさい」とは、物事がきわめて容易にできるたとえです。「お茶の子」とも言います。

お茶の子さいさいの「お茶の子」とは、お茶に添えて出される茶菓子のことで、簡単に食べられることから簡単にできるたとえとなりました

また、朝食の前に食べる「茶粥」のことを「お茶の子」と言う地方があり、そこから「朝飯前」の意味になったとする説もあります。

「さいさい」は、俗謡の「のんこさいさい」という囃子詞をもじったものです。

4.御田(おでん)

おでん

おでん」とは、こんにゃく・大根・練り製品などをだし汁で煮込んだ料理のことです。

おでんは、「でんがく(田楽)」の「でん」に、接頭語「お(御)」を付けた女房詞です。

室町時代に生まれ、当時のおでんは味噌を塗って焼く「豆腐田楽」を指していました。
近世に入り、こんにゃくや野菜、魚焼き田楽の「魚田(ぎょでん)」も生まれましたが、この当時も味噌を塗って焼く「焼き田楽」でした。

現代の煮込みおでんは近世頃に江戸で生まれ、串刺しのこんにゃくを煮込んだものに始まり、大根やはんぺんなどが入れられるようになりました。

おでんが「関東炊き」とも呼ばれるのは、関西で「おでん」は「焼き田楽」を指すため、区別するために付けられた呼び名です。

なお、御田(おんだ、おんた、おみた、おた、みた、おでん)は、「寺社や皇室等が所有する領田、またその領田で行われる行事」を指す言葉です

日本人と稲作の深い関わりを示すものとして、多くの御田に関する行事が日本各地に伝承されています。田原の御田、磯部の御神田、吉良川の御田祭は重要無形民俗文化財に指定され、御田植祭、田遊び、田植踊と呼ばれる行事や芸能なども伝承されています。皇居内の御田では天皇自らが田植えと稲刈りを行います。

明治初頭の上知令で寺社の領地(寺社領)が廃止されたため、一時的に日本全国の寺社の御田が消滅しました。その後周辺の住民の寄贈などにより御田が再興された寺社があり、伊勢神宮は2ヶ所に御田を残しています。

5.お洒落(おしゃれ)

お洒落

おしゃれ」とは、服装や化粧など身なりを洗練したものにしようと気を配ること、美しく装うこと(また、そのような人のこと)です。

おしゃれは「洒落(しゃれ)」と同じく、「晒れ(され)」もしくは「戯れ(され)」が転じた言葉です。

晒る(さる)」は、風雨や日光に長い間当たり、白っぽくなることが原義です。
戯る(さる)」は、「たわむれる」です。

このうち、おしゃれの語源は「晒れ」よりも「戯れ」にあると考えられています。
「さる(戯る)」を語源とする「ざれる(戯れる)」には、趣がある、しゃれているという意味があります。

「ざれる」と同じように、「さる(戯る)」から「おしゃれをする」という意味の動詞「しゃれる」が生まれ、名詞の「おしゃれ」になったと考えられます。

おしゃれの漢字「お洒落」は、冗談などを意味する「しゃれ」に対して当てられた漢字で、心がさっぱりして物事にこだわらないさまを意味する漢語「洒落(しゃらく)」に由来します。