前に「エモい古語辞典」という面白い辞典をご紹介しました。
確かに古語は現代の我々が普段あまり使わない言葉ですが、繊細な情感を表す言葉や、感受性豊かで微妙な感情を表す言葉、あるいはノスタルジーを感じさせたり、心を動かされる魅力的な言葉がたくさんあります。
そこで「エモい古語」をシリーズでご紹介したいと思います。
1.近世語・近代語
・御跳さん(おはねさん):女らしくないおてんば娘。はねかえり娘。
・当世娘(とうせいむすめ):流行に敏感な女の子。
・婀娜娘(あだむすめ):色っぽい娘。
・御引摺り(おひきずり):裾を長く引いて歩くことから転じて、おしゃれに夢中で仕事をろくにしない女性のこと。
・娑婆以来(しゃばいらい):江戸時代、遊郭内で知人に会った時に「久しぶり」という意味をこめて使った挨拶の言葉。
・ちんちんかもかも:近世語。男女の仲が睦まじいこと。
・あじゃらもじゃら:近世語。男女の恋のたわむれ。ふざけるという意味の「あざれ(戯)」が変化した「あじゃら」に類音を重ねて語調を整えたもの。
・芥もくた(あくたもくた):近世語。塵や藻屑のようにいらないもの、つまらないもの。
・あちゃらか:昭和初期に流行した、滑稽な仕草で客を笑わせる芝居。どたばた喜劇。
・うっかりひょん:何かに気を取られてぽかんとしている様子。うっかりぽん。
「稲妻や うつかりひょんと した 顔へ」(小林一茶)(意味:何か気を取られてうっかりした顔へ、きらっと一閃稲妻がひらめいてはっとした)
・うってんばってん:(雲泥万里が変化した言葉で)雲と泥ほどにかけ離れていること。
・茶無茶茶(ちゃむちゃちゃ):台無しになったさま。「茶茶無茶(ちゃちゃむちゃ)」とも言います。
・伝法(でんぽう):威勢がよく、いなせなこと。 主に女性に使います。
・はらいそ:ポルトガル語由来のキリシタン(切支丹)用語。天国。パラダイス。
・苺水(いちごすい):明治時代から作られていた苺のシロップ。またはそれをかけた氷水。
・シトロン:明治42年、ヨーロッパのレモン水を参考に瓶入りで発売された柑橘系清涼飲料水の名称。またはミカン科の常緑低木。夏の季語。
・ソーダ水(そーだすい):明治35年、日本で初めて炭酸ジュースを販売した資生堂ソーダファウンテン(現・資生堂パーラー)でのメニュー名。夏の季語。
・薄荷水(はっかすい):薄荷油を砂糖水に溶かした清涼飲料水。夏の季語。
・肉桂水(にっきすい):ニッキを砂糖と一緒に煮込んで冷やした清涼飲料水。夏の季語。
・菫外線(きんがいせん):紫外線。1960年代以前は、ultravioletのvioletをそのまま菫(すみれ)と訳してこう呼ばれていました。
・キネオラマ:映画を意味する「キネマ」と「パノラマ」の合成語。明治末期から大正にかけての興行物の一種。パノラマの点景や背景に色光線をあてて色々に変化させて見せる装置。
・まじょりか:中世末期からルネサンス期にかけてイタリアで作られていた錫釉(すずゆう)色絵陶器。マジョルカ島経由で運ばれたためこう呼ばれていました。
・紙水晶(かみずいしょう):天草の煮汁を板に流して干して紙状にしたもの。水晶のように透き通っている紙。ビードロ紙とも言います。
・琥珀糖(こはくとう):砂糖液を寒天で煮詰めて固めた半透明の菓子。
・瀝青(れきせい):天然のアスファルトやタールなどの総称。黒くネバネバしていて防腐剤などとして用いました。アスファルトの和名は「地瀝青(ちれきせい)」。
・風琴(ふうきん):オルガン、またはアコーディオン(手風琴)。ハーモニカは「口風琴(こうふうきん)」。
・小夜曲(さよきょく):もとは恋する女性の窓辺で夕暮れに演奏した音楽を指す「セレナーデ(ドイツ語:Serenade)」の訳語。
・夜想曲(やそうきょく/ノクターン):ショパンなどの、夢想するような 旋律を持つピアノの小曲。
・輪舞曲(りんぶきょく/ロンド):同じ主題を異なる旋律を挟みながら繰り返す音楽の古典的な形式。なお、以前に出た主題や旋律が次々繰り返される形式は「遁走曲(とんそうきょく)」(フーガ)と言います。
・幻想曲(げんそうきょく/ファンタジア):伝統的な形式にとらわれず、幻想のおもむくままに作られた曲。
・夢幻曲(むげんきょく):幻想的な世界を描いた曲。
・狂詩曲(きょうしきょく/ラプソディー):異なる曲調を次々につないだ自由な形式の器楽曲。
・鎮魂曲(ちんこんきょく/レクイエム):カトリック教会で、死者の魂を鎮めるために作られた楽曲。
・瓦斯(がす):ガス(gas)の当て字。街灯にガス灯が登場した明治時代から使われるようになりました。
・花瓦斯(はながす):さまざまな形に飾り立てた装飾用のガス灯。現代でいうイルミネーション。