2021年3月に、総務省・農水省官僚の「国家公務員倫理規定違反」の高額接待が発覚しました。
「懲りない面々」という言葉がぴったりのこのような高級官僚の「接待漬け」は目に余ります。官僚の腐敗堕落も「ここに極まれり」と言うべきでしょうか?
ただ、「倫理規定違反や不祥事を起こした官僚をクビにして終わり」ではなく、「接待や贈収賄によって国の政策がどのように歪められたか」の徹底的な真相究明・追及が肝要です。
また、「文春砲」に頼るだけで、「政党助成金」を何に使っているのか疑わしい野党も情けないと思います。
1.昔の高級官僚は偉かった
かつて、日本の高級官僚、中でも大蔵省と通産省の官僚は非常に優秀で、政治家がどんなにぼんくら(失礼!)でも、彼らが支えているから日本は大丈夫と、一般に信じられてきました。
城山三郎の「(通産)官僚たちの夏」のモデルとして知られる佐橋 滋氏は、日本の高度成長を、通商産業政策を通じて強力に推進した異色の官僚と言われています。
「国家の経済政策は、政財界の思惑や利害関係に左右されてはならない」との信念を持ち、「ミスター・通産省」の異名を取りました。
2.バブル期以降、高級官僚の腐敗が表面化
しかし、バブル華やかなりしころは、大蔵省と銀行(MOF担)との「癒着・過剰接待」や、大蔵官僚の日常的な「たかり体質」が暴露され、逮捕者まで出しました。
大手都市銀行の元行員で、小説家の江上 剛氏の「激情次長(原題:さらば銀行の光)」という本を読むと、著者のMOF担(大蔵省担当者)時代の経験に基づく赤裸々な大蔵官僚の実態(すなわち、表向きは「天下国家のため」とか「銀行全体を守るため」と豪語して、銀行のMOF担や経営者たちを威嚇しながら、裏ではタクシーチケットの束を、何度も要求するなど、水戸黄門の悪代官のような実態)が活写されています。
ご興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
その後、バブルが崩壊し、大蔵省も財務省と金融庁に分割再編され、不祥事も下火になっていました。
3.最近また官僚の不祥事が続発
ところが、最近、文部科学省のトップ官僚の「貧困女性調査のため」という名目の問題行動、財務省のトップ官僚のセクハラ・パワハラ問題、別の財務省官僚の文書改ざん問題、文部科学省官僚の息子の裏口入学問題、別の文部科学省官僚の受託収賄事件など、不祥事が次々と出てきました。
今の日本の官僚は、一体どうなっているのでしょうか?褌(ふんどし)が緩みっぱなしになっているのでしょうか?
日本の未来もあまり明るくないのかと思うと、暗澹たる気持ちになりますね。
歴史を振り返ると、古代から現代に至るまで、中国では役人の汚職が繰り返されてきました。最近、習近平主席は、「汚職撲滅運動」を展開しているようですが、これには同時に政敵を追い落とす狙いもあるようですね。
ほかの発展途上国でも、「汚職」「賄賂」は相変わらず横行しているようですが、日本だけは、そのような国に堕落してほしくありませんね。
官僚の皆さんには、官僚になったころの「志」「初心」を今一度思い出してほしいものです。
一時下火になっていたように見える官僚の腐敗・堕落が最近続発しているのは、科学者で随筆家の寺田寅彦氏の有名なことば「天災は忘れたころにやってくる」と同じようなことなのでしょうか?
それとも、単に多くの国民が知らない、あるいは知らされていないだけで、本当は官僚の腐敗・堕落がずっと続いていて、「知らぬは仏ばかりなり」だったのでしょうか?
4.最近ドンの不正疑惑が続発
イギリスの歴史家・思想家のジョン・アクトンの「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」という有名な言葉があります。
独裁国家の独裁者は、言わずもがなですが、最近起きた日本大学アメリカンフットボール部監督の「故意による危険な反則行為指示」問題や、日本ボクシング連盟の会長による「不正判定」「助成金の不正流用」「親族の関係企業への利益供与」疑惑が問題になっています。
私は、詳しいことは知りませんが、お二人の「ドン」も最初は理想に燃えて、良い仕事をされていたのではないかと思います。
しかし、時が経つにつれて、権力の魔力に魂を奪われて行ったのではないでしょうか?
やはり、トップの座に、同じ人が長く居座ると、弊害(老害も)が出てくるようですね。今の安倍政権も同様です。
組織内部の人による「内部告発」は、「言うは易く行うは難し」です。そういう意味で、最近の「独裁トップの悪行に対する全国的な告発気運」と、それを「側面から支援」する形のマスコミの動きは、歓迎すべきことだと思います。