1.日本は世界最大の食料輸入国
最近、我々が日常食べている農産物で、国内生産品は一体どのくらいの比率なのでしょうか?
今や、スーパーで買う農産物にも輸入品が多いですし、外食の場合は、我々には直接わかりませんが、多分かなりの割合で輸入品が使用されているはずです。食生活の欧米化で肉類や乳製品・畜産品の消費が増え、米の消費が減少したこともこれに拍車を掛けています。
ただ、海外からどんどん安く輸入できる間はよいのですが、いま世界、特にアフリカや中東などでは日本とは逆に「人口爆発」といわれるような人口増加が続いており、日本食人気もあって、我々が好む農産物が将来輸入できなくなる恐れもあるのです。天候不順で農産物の収穫量が減れば、たとえ輸入できたとしても価格高騰が起きる可能性が高いのです。
日本は世界最大の食料輸入国で、平成20年の食料輸入額は約5兆6千億円で世界全体の10%に上っています。
2.日本は食料自給率向上が急務
日本の食料自給率は、カロリーベース総合食料自給率で39%(昭和40年は約70%)、生産額総合食料自給率で64%だそうです。
そこで、日本としては、会社組織による大規模農業を促進する必要があると思います。一つ一つの耕地面積が少ない現状を集約し、トラクターなどの機械が効率的に使える形に変えて、そこで会社組織に属する若い人が働く農業に変えていく必要があります。
3.農業法人の増加や全農の解体と農業法人による流通システムの改革が必要
全農(全国農業協同組合連合会)という農協の上部団体の全国組織があります。この「利権構造の組織」を解体して、会社組織の農業法人が直接農家から農産物を買い上げるような体制に改め、現在農業に従事している高齢者が、後継者がなくて農業継続が不可能になった場合は、農業法人が農業を直営するようにできないものでしょうか?
何年か前、福井県のある農協が、全農から供給される割高な肥料や農薬は使用せず、コメの委託販売もしないという方針を打ち出したという報道がありました。全農が集団ボイコットしている「コメの先物取引」にも参加するということでした。これはその後どうなったのでしょうか?
最近大手スーパーや生協などでは、「契約農家」から直接農産物を仕入れて、自社のスーパーや生協で販売する動きも出ているようですが、この動きを政策面で後押しする必要もあるのではないでしょうか?
4.減反政策は税金の無駄遣いで食糧自給率向上にもマイナスで廃止するのが遅すぎた
作物の種類も、偏りを無くすような政策も必要になってくると思います。いずれにしても、今までのような「減反政策」は税金の無駄遣いだけでなく、日本の農業の将来、食糧自給率の向上にとって、百害あって一利なしです。そういう意味で、農業政策を大転換するための政府の役割は大きいものがあります。なお、この不合理な「減反政策」は、2013年11月に第二次安倍内閣によって、「2018年に終了する」と発表されました。政府が農産物の国内自給率向上に向けて、本腰を入れてあらゆる政策を総動員して頂くようお願いしたいと思います。
また、国民の国産農産物消費拡大を促進する国民運動として、「フード・アクション・ニッポン推進本部」というものがあります。この事務局は(株)野村総合研究所内にあります。この運動では、「今が旬のものを食べよう」「地元でとれた新鮮なものを食べよう」「ごはんを中心に野菜たっぷりのバランスのよい食事をしよう」「残さず食べて食べ残しを減らそう」「国産の食べ物にもっと興味を持とう」など各人の「アクションプラン」を掲げて、食料自給率向上に貢献するよう呼び掛けています。こういう消費者側の国民の地道な努力も必要なことだと思います。