1.薬漬けの弊害
60歳を過ぎると、同期の人間と会っても、話すことは病気のことや孫の話が多くなります。若い頃は「斗酒なお辞せず」の酒豪だった人も、最近はあまり飲めなくなったと嘆く始末です。
60歳以上の人で、「全く薬を飲んでいない」「どこも体が悪くない」と言う人ほとんどいないのではないでしょうか?
しかし、何種類もの薬を飲んでいて、「どれがどれか分からなくなる」くらいになると、困った問題が起きて来ます。
それは、もともと薬には「副作用」があることに加えて、特定の複数の薬を同時に服用することによる弊害(薬の「食い合わせ」のようなもの)の可能性もあるからです。
2.お薬手帳
それを防ぐ対策として、一番簡単で効果的なのは、「お薬手帳」を作ることです。最初作る時は、面倒な感じはしますが、あとは医師・歯科医師・薬剤師に「おまかせ」すればよい訳です。
「お薬手帳」とは、薬の服用履歴や既往症、アレルギーなど医療関係者に必要な情報を記載する手帳のことです。医師・歯科医師や薬剤師が、患者がどのような薬をどのくらいの期間使っているのかを確認するために使用するものです。
複数の病院を使う患者の「薬物相互作用」(飲み合わせ)の管理にも用いられます。この「お薬手帳」は1993年(平成5年)、日本国内で患者15人が、別々の病院から「抗ウイルス剤ソリブジン」と「抗がん剤フルオロウラシル」の処方を受け、「併用服用」により死亡した事件(ソリブジン薬害事件)をきっかけに導入されたものです。
3.薬依存を減らすための偽薬「プラセボ」
ところで先日、テレビのルポで、「薬依存への対策として【プラセボ】という偽薬が注目されている」という話がありました。
「風邪に効く薬はない」という話を聞いたことがあります。「風邪薬」と言われるものは、解熱鎮静成分や中枢性鎮咳成分、気管支拡張成分、抗炎症成分など風邪の諸症状を和らげるだけで、風邪を直接治す(ウィルスを退治する)薬ではありません。
しかし、お医者さんに処方された風邪薬を飲むと、安心するせいか何だか治るような気がして来るから不思議ですね。(風邪になった時は安静にして、暖かくして寝る。それで自然治癒力によって治すのが一番です。)
ですから、患者本人には知らせずに、【プラセボ】という偽薬を投与して、「徐々に服用する薬の数を減らして、薬漬けになるのを防ぐ」というのは、良いことだと思います。
ところで、私は先日捻挫した時に、調剤薬局で「お薬手帳をお持ちですか?お持ちでなければお作りしましょうか?」と言われましたが、面倒だと思って「結構です」と言って作らなかったのですが、今度病気か怪我をした時にはぜひ作ろうと思っています。
私は現在69歳ですが、幸いなことに、現在お医者さんに処方されて服用している薬はありません。しかし、油断は禁物です。この年齢ですので、いつ何時心身に不調を来たすかわかりません。現在薬を服用されている方は、地震や台風・豪雨災害などで避難所暮らしになった場合のことを考えると、「お薬手帳」があれば心強いと思います。ぜひお作り下さい。