皆さんは、「ボタニカルアート」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?これ は「細密植物画」のことです。今回はこのボタニカルアートについてご紹介したいと思います。
1.「ボタニカルアート」とは
ボタニカルアート(botanical art)とは、「植物学的絵画」のことで、植物図鑑の標本画もこれにあたります。
ボタニカルアートには、4つの決め事があります。
(1)実物大に描くこと
(2)背景を描かないこと
(3)人工的な物(花瓶、植木鉢など)を描かないこと
(4)植物の持つ特性を変えないこと
つまり、「写実的に植物そのものだけを忠実に細密に描いた絵画」ということになります。
こういうと、「植物だけを切り取った写真と同じようなものではないか」とか「図鑑の絵など無味乾燥で味気ない」と思われるかも知れません。
しかし、実際にボタニカルアートを見て行くと、普通に花などの植物を描いた絵画がいかに作り物で本来の花とはかけ離れた「嘘」が多いかがわかりますし、植物本来の美しさを再発見することができ、深い味わいがあります。
2.多くの「ボタニカルアート」を残した高辻正己氏
高辻正己氏(1910年~1997年)は、佐藤内閣で8年間内閣法制局長官を務めたあと最高裁判事を歴任し、竹下内閣では法務大臣を務めました。しかしこのような激務の中で、たくさんのボタニカルアートを残しています。激務を終えて帰宅した後、深夜までボタニカルアートの制作に熱中していたそうです。高辻氏にとっては、これが「オン」と「オフ」の切り替え、「息抜き」に役立っていたのかも知れませんね。
私は、たまたま図書館で、高辻正己氏のボタニカルアートを集めた画集を見て知りました。
3.私の「ボタニカルアート」体験記
私は、かつて「鉛筆画」(色鉛筆画)に魅力を感じて、書店で関連の本を探している中で、「ボタニカルアート」に出会いました。
一時は、私も高辻氏のように帰宅後に熱中して制作しましたが、「熱しやすく冷めやすい」という私の性格から、案の定長続きしませんでした。
最近は、育てている花をじっくり見るだけですが、「シャガ」の花などをじっくり見ていると、「造化の妙」というのでしょうか、どうしてこんなに繊細で美しい花ができたのだろうと改めて驚きます。