1.集中力を高める方法
勉強や仕事などで集中力を高めるには、どのような方法があるのでしょうか?
(1)他のことをやらない
いわゆる「ながら勉強」というのがあります。深夜ラジオを聞きながら勉強したという経験をお持ちの方も多いと思いますが、やはり集中力は落ちていたはずです。「テレビを見ながら勉強」したという方もおられるかも知れませんが、これは絶対に能率が上がっていなかったと思います。親に「勉強のポーズ」を見せていただけかもしれません。
(2)余計なものを目に入れない
よく職場で、机に書類やファイルを積み上げて、「いかにも仕事をしている」ように装っている人を見かけます。しかし、一度に出来る仕事は限られていますので、今手掛けている仕事に関係のない書類やファイルは机に置かないようにすべきです。
気が散るだけでなく、「あれもやらないといけない」とか、「あれをまだやっていない」という気持ちを起こさせて「やらないことによる疲労」を招きかねません。
また、オペレーションカードなどを机上に放置しておくと「紛失」の恐れもあります。別の取引先のファイルを机上に置いていると、その会社のファイルへ、全く別の会社の資料を誤って入れてしまう「ミス」も起ります。そうなると捜すのが一苦労です。
(3)余計な音を耳に入れない
これは、深夜ラジオを聞いたりすることですが、できれば静かな場所でする方が集中できます。ただ、私の子供の頃は、「自分の部屋」(個室)はありませんでしたので、茶の間で勉強していました。その場合、両親の話なども耳に入ってくるわけですが、それが普通のことだと思っていたからか、あるいは小学生程度の勉強だったからかあまり気になりませんでした。
さすがに、中学生になってからは、自分の部屋をもらい、そこに籠って勉強しました。
私が現役サラリーマンのころ、大量の資料を使ってなおかつ熟考が必要な難しい仕事をする必要がある時は、空いている会議室を借りて、そこに一人籠って仕事をしました。
このように、資料を置く広いスペースが必要で、しかもじっくり考える必要がある仕事の場合、電話が再三鳴り響く営業場のようなざわざわした環境の中では仕事が捗(はかど)りません。その場合は思い切って広い会議室を独占して使う方が能率が上がります。
(4)一定時間で区切り休憩をとる
私は、だらだらとやるのは好きでありません。高校2年生の時に「若年性再発性網膜硝子体出血(眼底出血)」を患ったので、1時間もすると目が疲れて痛くなって来ます。
そこで、1時間に1回は10分くらいの休憩をはさみます。その方が能率が上がるのです。そして、休憩して体を動かしたり、歩いたりすることによって脳の活性化も促されます。
(5)過度な緊張をせずリラックスする
私が大学1年の時、講義の始めに教授から「皆さん、もっとリラックスして聞いて下さい。その方が講義内容がよく頭に入りますよ」と呼びかけられました。
私も含めて受講している新入生は一言も聞き漏らすまいと極度に緊張していることが教壇からよくわかったのでしょう。
仕事をする時も、肩の力を抜いて取り組んだ方が、能率が上がるように思います。
(6)暗記のためには歩き回るなど体を動かす方がよい
勉強では暗記が必要になることがたくさんあります。この場合、机の前で一生懸命覚えようとするよりも、その辺を歩き回る方が覚えやすかったという経験があります。
これは、「散歩の効用」に通じるところがありそうです。
(7)気持ちを「フローの状態」にする
スポーツドクターでメンタルトレーニングの専門家の辻秀一氏によると、「ノンフローの状態」では、集中力が高まらないそうです。
たとえば「終わらせなければならない仕事がある状況」について、認知機能によって「嫌だなあ」とか「まずいぞ」というマイナス感情を持ってしまうと、「揺らぎ」や「とらわれ」の状態を作り出します。これを「ノンフローの状態」と言います。
この状態になると「心はとらわれ不機嫌な状態に陥っているため、クリエイティブな発想力や仕事の質が低下し、集中力もダウン」してしまいます。
「やらされている状態ではなく、無我夢中で楽しい状態」(「フローの状態」)を作り出せば、周囲の状況や環境などの外部要因に左右されないため、状況に即して最大・最適・最高のパフォーマンスを発揮できます。
要は「フローの状態」とは「夢中で自分の好きなことに没頭したり、子供の頃のように無心に遊んでいる状態」のことです。そのような状態になるように習慣づけるということでしょう。
一度皆さんも、自分に合うと思われる「集中力を高める方法」を試してみて下さい。
2.集中力を表す言葉
「集中力」を表す言葉は、いろいろあります。
「心頭を滅却すれば火もまた涼し」という言葉があります。「無念無想の境地に至れば、火さえも涼しく感じられる。心の持ちようで、どんな苦痛でもしのげる」ということです。
1582年(天正10年)、織田信長の軍勢が、甲斐(今の山梨県)恵林寺(えりんじ)を攻めた時、寺の僧衆老若は残らず山門に追い上げられ、火をかけられましたが、快川禅師(かいせんぜんじ)は法衣を着、扇子を持って端座し、この偈(げ)を発して焼死したと伝えられていることに由来した言葉です。
「寝食を忘れる」という言葉もあります。最近では、インターネットゲームに夢中になって、こういう状態になる子供がいて問題になっていますね。「インターネットゲーム依存症」という病気かも知れませんので、ほどほどにする必要があります。
私は、小学生の頃、戦艦大和や戦艦武蔵のプラモデルを作るのに夢中になって、夕食の時間を忘れるほど熱中した経験があります。
最近では、「ジグソーパズル」を完成させるのに夢中になって、時間の経つのを忘れた経験があります。しかし、この「ジグソーパズル」は、なかなか正しいピース(小片)が見つからず、「フラストレーション」が溜まるので、2回ほどしただけでやめてしまいました。
「ゾーンに入る」という言葉は、プロゴルファーの人が、自分の実力以上にうまくプレーできて、何をやってもうまく行く「神がかったような状態」になる時によく使います。
2010年5月2日、伝統ある名門の名古屋ゴルフ俱楽部・和合コースで行われた第51回「中日クラウンズ」の最終日に、18歳7カ月の石川遼は、首位と6打差の18位タイでスタートしましたが、アウト28、イン30の「58」という「世界最少スコア」を叩き出して、大逆転優勝を果たしました。
石川遼は、試合後のインタビューで、「夢の中でプレーしているようだった」と振り返っています。この調子で行けば、彼が小学校の卒業文集で書いた「20歳でマスターズ優勝」という夢も実現可能ではないかと私は思いました。
そして、アメリカでは「タイガーウッズ全盛時代」なのに対し、日本では「石川遼の時代」が当分続くのではないか、どのくらい優勝を重ねるのか末恐ろしいと先走って思ったものでした。
この試合は、私もテレビで観戦していたのですが、特にショットが全て良いという訳ではなく、ラフに入ったりもしたのですが、バーディーが12もあり、パットが全てうまく決まった(チップインもありました)というのが最大の要因でしょうか?私などは、「ハーフ」でも出してしまいそうなスコアですが・・・
3.集中力にまつわるエピソード
島崎藤村(1872年~1943年)は、「破戒」の執筆に没頭していて、日露戦争((1904年~1905年)があったことも知らなかったとのことです。ただ、これだけなら「戦争を含む世の中の動きなどには目もくれず、『破戒』の執筆に明け暮れたとは凄い集中力だ」と賞賛されるような話です。
しかし、ちょうどこの時期、3人の娘が「栄養失調」で苦しんでいるのに、放置していたため、3人は相次いで亡くなっています。これは「保護責任者遺棄」ですね。
もう一つ私が聞いた話は、太平洋戦争中、ある大学の理学部の研究者が、大学の地下の研究室にずっと籠って実験を続けていて、戦争を知らなかったという話を聞いたこともあります。「地下の研究室は、最強・最良の防空壕だった」ということでしょうか?