私はエリザベス・テイラーの映画は「クレオパトラ」(1963年)をテレビで見たぐらいで、ほかは知りません。しかし彼女の名前は、「ハリウッドの黄金時代」(1920年代~1960年代)の「美人女優の代名詞」として子供の頃から知っていました。彼女には神秘的な美しさがありました。
私より10歳~20歳上の「映画全盛期」の世代の人は、映画館で彼女の映画をたくさん見たのではないかと思います。
1.エリザベス・テイラーとは
エリザベス・テイラーは、ロンドン生まれのアメリカの女優です。少女時代から「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)」で子役として映画出演し、成人後には「ハリウッドの黄金時代」を代表する大女優の一人となりました。
世界的に最も有名な女優の一人で、優れた演技力・美貌・豪奢な私生活、そして珍しいすみれ色の瞳で知られていました。
「20世紀のクレオパトラ」「ハリウッド最高の美女」「最高の映画スター」「偉大な女優」とも言われました。
(1)生い立ちと幼少期
エリザベス・テイラー(1932年~2011年)は、ロンドンで画商の父と元舞台女優の母(ともにカンザス州出身のアメリカ人)の二人兄妹の妹として生まれました。
テイラー家の親しい友人だったヴィクター・カザレットは一家に大きな影響を与えた人物で、エリザベスの名付け親にもなっています。彼はウィンストン・チャーチルの親友でもある裕福な国会議員で独身でした。彼はクリスチャン・サイエンスの信者で、在家の説教師も務めており、テイラー家とのつながりは宗教的な側面もあったようです。
1939年、テイラー家は第二次世界大戦が勃発する直前に、戦火を避けてイギリスからアメリカに戻ります。
(2)子役時代と少女スター
彼女が10歳の時にスカウトされ、ユニバーサル・ピクチャーズと契約します。そして1942年全米公開の「There’s One Born Every Minute」に出演しました。
1950年には「花嫁の父」、1951年には「可愛い配当」に出演し、人気を博しています。
(3)成人女性役への転身
「子役は大成しない」というジンクスがありますが、彼女は稀な例外です。日本の女優の高峰秀子や吉永小百合もその稀な例外の一人です。
1960年に全米公開された「バターフィールド8」での演技が高く評価され、アカデミー賞主演女優賞に輝いています。
(4)ハリウッドの代表的美人女優
彼女は、女優としてアメリカで初めて一つの役で100万ドルのギャラを稼いだ人物です。それは1963年に公開された彼女の代表作の一つである「クレオパトラ」です。
彼女は1966年の「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」でも、アカデミー賞主演女優賞に輝いています。
(5)社会活動
1980年代半ばから、「エイズ撲滅運動」を支持し、1985年に「米国エイズ研究財団」の創設メンバーの一人となり、1993年には「エリザベス・テイラー・エイズ基金」を創設しています。
(6)タフな女性
彼女は5回背中を骨折したことや、子宮を摘出した経験、赤痢や静脈炎になった経験もあります。また70回以上入院し、20回ほど大きな手術をしているそうです。
このように命を脅かされるような度重なる重い病気に苦しめられたため、鎮痛剤と睡眠導入剤を35年も服用し続けたようです。
しかし、マリリン・モンローのような悲劇的な最期を遂げることなく、トップスターの女優として常に仕事をし続けた強靭な精神力の持ち主でした。
(7)7人の男性と8回の結婚
彼女は生涯で、7人の男性と8回の結婚(一人とは復縁)をした恋多き女です。しかし、決して衝動的ではなく、いつだって本気、いつだって全身全霊で相手を愛し、愛した人とは必ず結婚という形を取るのが「エリザベス流」でした。
何度も結婚を繰り返す理由をマスコミに聞かれた彼女は「私は両親から、誰かを本当に好きになったのなら結婚しなさいと教えられたの。古風な女なのよ」と答えたそうです。
彼女は養子1人を含む4人の子供に恵まれ、10人の孫、4人のひ孫にも恵まれました。
(8)ユダヤ教に改宗
彼女は1959年に「クリスチャン・サイエンス」から「ユダヤ教」に改宗しています。詳しい事情はわかりませんが、マイケル・トッドと死別した時に「形だけの宗教に絶望を感じた」と語っています。彼女はユダヤ教の神秘主義思想である「カバラ」にも傾倒していたそうです。
2.エリザベス・テイラーの言葉
(1)「あなたは何でも手にしている」と言われたら、私はこう答えるようにしているの。「明日を手にしたことなんて一度もないわ」ってね。
(2)ある程度の年齢になると、心が外見に表れます。それまでの生き方が今のあなたの外見を作ったと言えるでしょう。
(3)人は尊敬なしに誰かを愛することはできないわ。
(4)私はいつだって自分の情熱によって導かれて生きて来た。
(5)私はとても冒険好きなの。世界にはまだ開かれていない扉がたくさんあって、その扉の奥に何があるのか捜しに行くことを私は恐れないわ。
(6)失恋したら、自分でお酒を注いで口紅を付けて、そして自分の力で立ち上がるの。
(7)あなたの情熱に、心に従ってください。必要なものは向こうから自然にやってくるでしょう。
(8)スキャンダルに巻き込まれた時に、あなたの本当の友人がわかります。
(9)成功とは消臭剤のようなもの。それは過去の匂いをすべて消し去ってくれる。
(10)人生とは私にとって冒険のようなもの。私はそれを恐れない。
(11)体重の増減は、すべて自分自身との問題にあるわ。過食や飲酒や薬物摂取は、深い孤独や重圧や、自尊心の欠如からきているものよ。それは松葉杖にすがるようなものなの。
(12)私にとって演技とは、絶対的な集中力のこと。