1.子供の有無と幸福について
世の中には「ビッグダディ」のように子だくさんの人もいます。橋下徹氏も今どき珍しい7人の子供を持っています。
しかし、一方で子供のいない夫婦もたくさんあります。安倍首相や吉永小百合、松任谷由実、イチロー、武豊、唐沢寿明、古田敦也など著名人夫妻にもおられます。亡くなった方では大橋巨泉、長門裕之夫妻などもそうです。
昔の人では養生訓で有名な貝原益軒も子供がいませんでした。
「子に勝る宝なし」「子は鎹(かすがい)」ということわざもありますが、「子は三界(さんがい)の首枷(くびかせ)」「子故の闇(に迷う)」とも言います。「子は有るも嘆き、無きも嘆き」(源平盛衰記)という言葉もあります。
生まれつき難病の子供を抱えてその治療や看護に一生を費やす夫婦もいれば、2019年に元農林水産次官の父親が息子の暴力に耐えかねて息子を殺害するという悲惨な事件もありました。
「爺(じい)はしんどする子は楽する孫の代は乞食する」するということわざもあります。ちなみに「しんど」は、関西の言葉で「苦労する」「くたびれる」ことです。
最近は子供が出来ない夫婦が「不妊治療」を受けるケースも増えているようですが、子供があるかないかで幸福かどうかは一概には言えないようです。
2.子供のいない夫婦の人生の楽しみ方
かつて、「DINKs(double income, no kids)」(2収入、子供なし)がもてはやされたことがあります。これは「子供を作らない共働き夫婦の生き方」のことで、「互いの自立を尊重し、経済的にゆとりを持ち、それぞれの仕事の充実などに価値を見出す結婚生活」のことです。これは「意識的に子供を作らない・持たないという考え方・価値観」です。
「DINKs」とも共通するかもしれませんが、ここでは「普通の子供のいない夫婦」の生き方・人生の楽しみ方について考えてみたいと思います。
(1)同じ趣味を持つ
テニスやゴルフのようなスポーツでも、映画や音楽でもよいので、共通の趣味があれば二人で楽しむことも出来ますし、話題も増えます。
(2)違う趣味を持つ
同じ趣味を持つのが無理な場合は、それぞれ自分の好きな違う趣味を持つこともよいと思います。その方がかえって、二人の関係を良好に保てるかもしれません。
(3)花や野菜を育てる
「ガーデニング」で草花を育てたり、「家庭菜園」で野菜を作ることは、健康にもよいし、心が癒される効果もあります。
(4)ペットを飼う
犬や猫などのペットも、人の心を癒す「セラピー効果」があります。
(5)二人だけの旅行を楽しむ
子供がいないと、いつまでも「恋人気分」でいられたり、子供に煩わされることなく「大人の旅行」が出来て、落ち着いた「大人の会話」を楽しむことも出来ます。「お子様第一」で遊園地に付き合わされて疲れるようなこともありません。
(6)財産を残そうとせず、たまには贅沢も楽しむ
夫婦が高齢になって生活に困ることになるほどの贅沢は禁物ですが、子供に財産を残す必要がないのであまり齷齪(あくせく)せず、人生を楽しむゆとりを持つための贅沢はしてもよいと思います。
子供の養育費(食費・教育費・医療費・服飾費など)がいらないわけですから、その分贅沢をしても罰は当たりません。
3.夫婦のみの世帯数の増加と「新DINKs」
(1)夫婦のみの世帯数の増加
夫婦のみの世帯数は、1968年以降徐々にその割合とともに緩やかに増加しています。
(2)新DINKs
また、最近「新DINKs」という言葉が出て来ました。「旧DINKs」と最も大きく異なる点は、「財布が別々」だということです。
家賃や光熱費など暮しの経費は折半し、残りのお金は自分の趣味や交際費などに自由に使います。中には相手の収入も把握しておらず、二人共有の貯蓄をしていない家庭もあります。
休日などの時間も、「新DINKs」はそれぞれ自由に過ごします。独身時代のように、お互いに個人の時間を楽しむことが優先される関係です。
2020/5/1に、新型コロナウイルス肺炎の世界的感染拡大(パンデミック)の緊急事態宣言解除後の「新しい生活様式」というものが提案されましたが、「新DINKs」も「新しい夫婦関係」の一つのモデルになるかもしれません。