「季節風・偏西風・貿易風」の違いと「台風」の特徴をわかりやすくご紹介します

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貿易風と偏西風

前に「エルニーニョ現象とラニーニャ現象」という記事を書きましたが、その中に「貿易風」の話が出て来ました。

ところで、「地球を吹き渡る風」の有名なものとして「貿易風」のほかに、「季節風」や「偏西風」がありますが、その違いはどうなっているのでしょうか?

そこで今回は、「季節風・偏西風・貿易風」の違いをわかりやすくご紹介したいと思います。

1.「恒常風」と「季節風」

地上を吹く風を大きく分けると、一年中ほぼ同じ方向に吹いている「恒常風」と、夏と冬とで風向きが変わる「季節風」(モンスーン)があります。

西から東にずっと吹いている「偏西風」と東から西にずっと吹いている「貿易風」は「恒常風」です。

ちなみに風は、「吹いてくる元の方向」を付けて呼ばれます。たとえば「南西風」は「南西から北東へ向かう風」のことです。

2.「季節風」「偏西風」「貿易風」の違い

(1)季節風(モンスーン)

「季節風」は、「夏は海から陸へ、冬は陸から海へと季節によって風向きが変わる風」です。季節風は大陸と海洋の温度差が原因で風向きの変化が起きます。

日本付近では、冬は大陸からの北西季節風、夏は太平洋からの南東または南西季節風となります。

余談ですが、昼夜で風向きが変わる「海陸風(かいりくふう)」があります。昼は海から陸へ、夜は陸から海へと風向きが変わります。

海陸風

これは陸は暖まりやすく冷えやすい(比熱が小さい)のに対し、海は暖まりにくく冷えにくい(比熱が大きい)ため起きる風です。この風の循環を「海風循環」「陸風循環」と呼びます。

(2)偏西風(ジェット気流)

「偏西風」は、「緯度がおおよそ35~65度の地域で西から吹く恒常風です。日本で天気が西から変わってくるのも、この「偏西風」の影響です。

偏西風が起きるのは、北の地域と南の地域の温度差が大きくなり、暖かい地域から寒い地域へ空気が動いて行き風が発生するためです。

偏西風は、北半球では南西風、南半球では北西風になります。これは地球が東向きに自転している影響で、北半球では進行方向の右側へ(西→東)、南半球では進行方向の左側への力を受けるためです。これを「コリオリの力」(転向力)と言います。

1835年にフランスの科学者ガスパール=ギュスターヴ・コリオリがこの地球の自転によって起こる見かけの力「転向力」を導いたので「コリオリの力」と呼ばれています。

コリオリの力偏西風

(3)貿易風

「貿易風」は、「緯度がおおよそ30度以下の地域で東から吹く恒常風です。「エルニーニョ現象」や「ラニーニャ現象」が起きるのも、この「貿易風」の強弱が影響しています。

大気の循環

貿易風が起きるのは、赤道付近で暖められた空気が地球の自転によって、緯度30度付近で滞留しますが、「赤道低圧帯」は文字通り気圧が低く、「中緯度高圧帯」から風が移動してきます。そのため、赤道付近の空気が動いて貿易風が発生するのです。

貿易風は、北半球では北東風、南半球では南東風になります。これは地球が東向きに自転している影響により、北半球では進行方向の右側から、南半球では進行方向の左側から力を受けるためです。これを「コリオリの力」(転向力)と言います。

3.大気大循環

フェレル循環とハドレー循環

風は気圧の高い所から低い所へ向かって吹き、「低圧帯」と「高圧帯」の分布によって、大規模な風の流れが決まります。これを「大気大循環」と言います。

南北の循環には「ハドレー循環」「フェレル循環」「極循環」「中層大気の循環」があり、東西の循環には「海陸風」「ウォーカー循環」と呼ばれるものがあります。

4.台風

(1)台風とは

「台風」は、南方の熱帯海上で暖かく湿った空気を周囲から呼び込んで発生した巨大な渦巻き状の雲の「熱帯低気圧」が「貿易風」に乗って西へ向かい、「太平洋高気圧」の外辺に沿って北上し、日本列島の南西に近づきますが、「偏西風」によって進路を東へ変えるため「右カーブ」になります。

なお地球の自転による転向力である「コリオリの力」(前述)のため、日本のような北半球では「反時計回り」(左回り)の風向きで中心部に風が吹き込みます。

前に「スーパー台風」の記事も書いていますので、こちらもぜひご一読ください。

台風進路図

(2)風速について

昭和30年代の頃、石原裕次郎の「風速40米」という歌謡曲がありました。「馬鹿野郎、風速四十米が何だい、アハハ」と笑い飛ばす威勢のよい歌でした。

前に「強風や台風でも折れない・壊れない傘」の記事を書きましたが、「強風」や「台風」の「風速(m/秒)」は具体的にどの程度なのかを気象庁のホームページからご紹介します。

風速の目安

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