最近、「天然ダイヤモンド」とほとんど見分けがつかない「合成ダイヤモンド」が出来るようになり、話題になっています。
素人には見分けがつかないくらいで、値段が「天然ダイヤモンド」に比べて安いので、女性の間で人気となっているようです。
一方、「天然ダイヤモンド」を取り扱う業者は、「合成」が人気になると「天然」の需要が減り、「合成」の価格に引っ張られるように下落することを警戒しています。
1.天然ダイヤモンド
「永遠の輝き」と言われるダイヤモンドですが、天然の物質の中では最も硬い鉱物で日本語では「金剛石」と呼ばれています。
人の手が加わっていない天然ダイヤモンドは、地球内部、地下100kmの非常に高温・高圧の環境で生成されます。ダイヤモンドはマントル起源のキンバーライト(キンバリー岩)に含まれています。
天然ダイヤモンドの産出国の上位6カ国は、ロシア(22.8%)ボツワナ(19.9%)コンゴ(18.0%)オーストラリア(13.2%)南アフリカ共和国(9.3%)カナダ(8.1%)で、世界シェアの90%以上を占めています。
2.合成ダイヤモンド
天然ダイヤモンドと同様に「炭素」で出来ていますが、天然との違いは人工的に成分を合成して作られることで、あらゆる大きさのダイヤモンドを自在に生成できるのが魅力です。
しかし結合が乱れやすく、美しさにやや欠ける面があります。
3.模造ダイヤモンド
ダイヤモンドに似せた石で作られた模造品です。「キュービックジルコニア」「モアッサナイト」「スワロフスキー」などです。「キュービックジルコニア」は、天然ダイヤモンドと同じく炭素を含んでおり、模造ダイヤモンドの代表格と言われています。
4.合成ダイヤモンドの今後
1955年にアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社が「合成ダイヤモンドの商業化に成功した」と発表してから60年以上が経過します。
今まで「合成ダイヤ」は研磨材として工業用途に広く活用されて来ましたが、最近は合成技術の進歩で、宝飾品としても販売されるようになっています。
2015年9月に香港で世界最大規模の宝石展示販売会が開かれ、世界中から宝飾関連業者が集まりました。その時は、合成ダイヤの方が天然ダイヤより価格が高かったそうです。
その理由は、製造コストが採掘コストより高く、無色透明の標準品で2倍の値段でした。それが最近は技術の進歩でコストが下がり、天然とほとんど変わらない価格で、むしろ合成ダイヤに割安感が出て来ているそうです。
「品質評価」はダイヤモンドの価値を計る不可欠の要素ですが、日本では現段階では合成ダイヤは対象外となっています。
海外では、宝石の国際的な鑑定機関である「米国宝石学会」(GIA)が、合成ダイヤについて品質評価をしています。ただ天然ダイヤと明確に区別するため評価書類の仕様が異なっています。
市場関係者が気にする最大の問題は、中古市場に流出した場合、超高級品でなければ品質評価書や鑑別書がなくても売買できる点です。
市中の宝石買取店では、簡易検査機器を用いて天然か否かの真贋鑑定を行いますが、天然ダイヤと合成ダイヤを店頭で見分けることは難しく、疑わしい場合は高額な検査機器を保有する専門検査機関に持ち込むことになります。しかし、専門機関に送って「合成ダイヤ」と判定されても困るという事情があります。
骨董品の買取りと似たような問題を抱えているということですね。