セレンディピティとは?ノーベル賞級の発見にもつながる偶察力のこと

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映画・セレンディピティ

皆さんは「セレンディピティ」という言葉をお聞きになったことがありますか?

あまり聞きなれない言葉ですが、この「セレンディピティ」というのは誰でも経験したことがあるはずです。

今回は「セレンディピティ」についてわかりやすくご紹介したいと思います。

1.セレンディピティとは

(1)意味

セレンディピティ(Serendipity)とは、「素敵な偶然に出会ったり、予想外の物を発見すること」です。また、「何かを探している時に、探している物とは別の価値がある物を偶然見つけること」や「ふとした偶然をきっかけに幸運をつかみ取ること」です。

求めずして思わぬ発見をする能力」という意味にも用いられます。「偶察力」と訳される場合もあります。

(2)言葉の起源

18世紀のイギリスに「セイロン(セレンディップ)の三王子(The Three Princes of Serendip)」という童話が広く流布していました。

「この三王子は、よく物を失くして探し物をするのですが、狙う物は一向に探し出さないのに、全く予期していない物を掘り出す名人だった」というお話です。

イギリスの政治家で小説家でもあるホレス・ウォルポール(1717年~1797年)が、子供の頃に読んだこの童話「セイロン(セレンディップ)の三王子」にちなんで1754年に作った「造語」です。

ホレス・ウォルポール

彼は友人に宛てた書簡(*)の中で、自分がしたちょっとした発見を説明するくだりでこの言葉を初めて用いました。

(*)ウォルポールが友人に宛てた書簡の一部

この私の発見は、私に言わせればまさに「セレンディピティ」です。このセレンディピティという言葉は、とても表現力に満ちた言葉です。この言葉を理解していただくには、へたに語の定義などするよりも、その物語を引用したほうがずっとよいでしょう。かつて私は『セレンディップの3人の王子』という童話を読んだことがあるのですが、そのお話において、王子たちは旅の途中、いつも意外な出来事と遭遇し、彼らの聡明さによって、彼らがもともと探していなかった何かを発見するのです。たとえば、王子の一人は、自分が進んでいる道を少し前に片目のロバが歩いていたことを発見します。なぜ分かったかというと、道の左側の草だけが食べられていたためなのです。さあ、これで「セレンディピティ」がどのようなものか理解していただけたでしょう?

(3)私が経験したセレンディピティの具体例

探し物をしていた時の経験

物を失くしてあちこち探してもなかなか見つからない時に、前に失くしてしまったと思っていた物がひょっこり出てきたという経験があります。

②試験勉強をしていた時の経験

明日は試験という日の夜、勉強机に向かっていて、ふと本棚にある本(試験とは全く無関係の本)が目に入って、手に取ってみると意外に面白くて、試験勉強そっちのけで読みふけってしまったという経験があります。

2.自然科学におけるセレンディピティ

自然科学におけるセレンディピティは、「失敗してもそこから見落としせずに学び取ることができれば成功に結び付く」というサクセスストーリーとして語られることがよくあります。

私もノーベル物理学賞や化学賞の受賞者たちが、自身の発見を「失敗から生まれた」とか「偶然の発見だった」と話すのを聞いた記憶があります。

(1)セレンディピティに関するパスツールの言葉

パスツール

フランスの生化学者・細菌学者のルイ・パスツールは、「構えのある心がセレンディピティのポイント」だとして、次のような言葉を残しています。

観察の領域において、偶然は構えのある心にしか恵まれない。

(2)自然科学におけるセレンディピティの具体例

・アルフレッド・ノーベルによるダイナマイトの発明(1866年)

・ヴィルヘルム・レントゲンによるX線の発見(1895年)

・ピエール・キュリーとマリ・キュリー夫妻によるラジウムの発見(1898年)

・アレクサンダー・フレミングによるリゾチームとペニシリンの発見(1922年と1928年)

・江崎玲於奈らによるトンネルダイオード、トンネル効果の発見(1950年代)

・田中耕一による高分子質量分析法(MALDI法)の発見(1980年代)

3.セレンディピティを題材にした映画・音楽・書籍

(1)映画

映画「Serendipity」は、2001年に公開されたアメリカ映画で、あらすじは次の通りです。

テレビプロデューサーのジョナサンは、クリスマス前のニューヨークのデパートで、心理カウンセラーのサラと同時に残り一つの商品に手を触れる形で出会った。二人は譲り合ううちに惹かれていき、『セレンディピティ3』というカフェのお茶をした。店を出て別々に分かれた二人は再会を果たす。

(2)音楽

①倉木麻衣の「Serendipity」(作詞:倉木麻衣、作曲:徳永暁人)

②防弾少年団のジミンのソロ曲「Serendipity」

(3)書籍

お茶の水女子大学名誉教授の外山滋比古氏(1923年~2020年)の「乱読のセレンディピティ」があります。

乱読の思考方法によってセレンディピティが起こり、アイデアを得る知的生産術が提唱されています。

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