日本語の面白い語源・由来(お-⑲)女・おめおめ・お墨付き・折り紙付き・お亀・お多福

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女

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.女(おんな)

外国人女性

」とは、人の性のうち、男でない方の性。子を生む器官を持つ性のことです。

奈良時代、女は「をみな」と言いました。それが、平安時代には撥音便化され「をんな(おんな)」となりました

「をみな」の「」は、「小川」などと同じで「小さいもの」を意味する接頭語で、「をみな」の場合は年少を意味します。「」は、女を意味する「み」です。

「をみな」は年齢の上では、老女を意味する「嫗(おみな・おうな)」の対義語にあたり、性別では少年を意味する「をぐな」と対になる語でした。

結婚適齢期に達した若い女性を意味する言葉には「をとめ(乙女)」があり、「をみな」と「をとめ」は同じくらいの年齢をさしていたため、古くから混同されていました。

やがて、「をとこ」の対義語は「をとめ」から「をみな」に変わり、「をとこ」と同じように語形が変化し、意味の範囲が拡大されて、女は女性一般をさすようになりました。

2.おめおめ

おめおめ

おめおめ」とは、恥ずべきことと知りながら平然としているさま、恥知らずなことです。

おめおめは、「怯む(ひるむ)」「臆する(おくする)」を意味する動詞「怖む」の連用形「おめ」を重ねた語で、「怖づ怖づ(おずおず)」よりは新しい語のようです。

鎌倉時代の軍記物語『保元物語』では、相手の威力に恐れて気おくれする意味で、「景能おめおめとなりて」と使われています。

この用法は、現代でも使われる「今さらおめおめと帰れない」と似ています。

やがて、「臆することではあるけれども」といった意味合いから、「恥じるべきと分かっていながら」の意味に転じました。

平家物語・志度合戦』では、恥ずかしげもなく平気に見えるさまの意味として、「おめおめと降人にこそ参りけれ」と使われています。

3.お墨付き(おすみつき)

お墨付きお墨付き・現代語訳

お墨付き」とは、権力や権威のある人が与える許可や保証のことです。

お墨付きは、室町時代・江戸時代、将軍や大名から臣下に与えた領地を後日の証拠として保証・確認する文書のことを指しました。

その文書が「お墨付き」と呼ばれた由来は、署名や署名を図案化した「花押」が、墨で記されていたことによります

ここから、権力や権威のある人が与える保証を「お墨付きを与える」、その保証を貰うことを「お墨付きをもらう(得る)」と言うようになりました。

4.折り紙付き(おりがみつき)

折り紙・鑑定書

折り紙付き」とは、品質などが確実なものと保証されること、世間で定評を得ていることです。

折り紙付きの「折り紙」とは、紙を横半分に折った文書のことで、平安末期より、公式文書や贈呈品の目録として用いられていました

折り紙・実例折り紙・刀剣

そこから、江戸時代には、美術品や刀剣などの鑑定書を「折り紙」と呼ぶようになり、確かな品質が保証されている物を「折り紙付き」と言うようになりました。

確かな品質の意味から、現代では、人の実力に対する世間の定評についても「折り紙付き」が使われています。

折り紙付きは、品質が確かなことから生じた言葉なので、悪い意味には使いません。
悪い評判をいう場合は「札付き(ふだつき)」を使います。

5.お亀/阿亀(おかめ)

お亀

おかめ」とは、「お多福/阿多福(おたふく)」のことです。また「おかめうどん」「おかめそば」の略語としても使われます。

おかめは、頬の張り出した形が「甕(かめ)」に似ていることから名付けられました。

漢字で「お亀」や「阿亀」と書くのは、当て字と考えられます。

かまぼこ・海苔・青菜・椎茸などの具を乗せたうどんや蕎麦の「おかめ」は、この面のように具を並べることから呼ばれるようになったものです。

6.お多福/阿多福(おたふく)

お多福

おたふく」とは、顔立ちが丸く額が前方に出ていて、頬が膨れた鼻の低い女の顔の面のことです。醜い顔の女性を罵っていう語です。「おたふく風邪」の略語としても使われます。

おたふくは、多くの福を呼ぶ顔の女性という意味から、「多福」になったとする説が有力とされます。

おたふくの頬が膨れているため、「ふぐ」や「膨れる」と関連付ける説も多いですが、「福」と「膨れる」を洒落ただけと考えられます。

昔は、おたふくのような顔立ちが、福を呼ぶ好ましい顔立ちとされていましたが、美意識の変化から、不細工な女性を罵る語としても用いられるようになりました。

「お多福面(おたふくめん)」に似ていることから名付けられたものには、「おたふく風邪」や「お多福豆」があります。