1.高学歴詐称
20年ほど前、野村克也監督夫人が「学歴詐称」しているとして、剣劇女優との間で激しい応酬がありましたね。あの場合は、夫人が「留学もしていないのに、アメリカのコロンビア大学に留学」と学歴を詐称していたことが公職選挙法違反として問題にされました(夫人は1996年の衆議院議員選挙に立候補して、落選)。この場合は、夫人がすぐに正直に謝罪していれば、問題はそれほど大きくならなかったのではないかと思います。誰に迷惑を掛けた訳でもないので・・・
また、数年前、ニュース番組のMCに内定していたテレビコメンテーターで経営コンサルタントのショーンK氏について、学歴・経歴詐称があったとして、番組MCを辞退する騒ぎがありました。これも、本人は英語が出来てキャスターとしての実力もありそうなのに、それに箔を付けようとしてありもしない学歴・経歴を公表していたため、ニュース番組のMCにはふさわしくないとして問題になったものです。この場合は、たとえ本人が詐称の経緯を正直に話して謝罪しても、テレビ局としては期待していた新番組に泥を塗られたという思いがぬぐえないでしょうから、仕方ないと思います。
2.逆学歴詐称
一方、いわゆる「逆学歴詐称」ですが、10年ほど前に「地方都市の市営バス運転手の懲戒免職処分事件」で大問題となり、その後報道が無かったのですが、数年前にまた、ある地方自治体の公務員試験で、「高卒」を対象にした「中級公務員試験」に、「大卒」が「高卒」として受験し、合格していたことが発覚したと報じられました。1998年に「高卒限定試験」に合格して採用され、18年間勤務していたとのことです。この男性は「懲戒免職」となったそうです。採用前に地方自治体のアルバイトをしていた時、施設の職員から「大卒でも高卒限定の試験を受けた方がよい」と勧められたと説明したとのことです。市に匿名の通報があって発覚したそうです。2006年に同様の学歴詐称問題が発生した時も、うその報告をしていた由。
このような形で合格した公務員は、以前から少なからずいたのではないかと思いますが、その人たちはどうなったのでしょうか?報道によれば、2004年の事件を契機に調査を実施した大阪市と横浜市では、「学歴詐称を自己申告する者は『停職1ケ月』、それ以外の者は『懲戒解雇』とする」処分案を発表しました。「既往不咎(きおうふきゅう)」ということかもしれませんが、何だか「司法取引」みたいですね?このような大甘の処分(?)案では、学歴詐称者がみんな「自己申告」するのは、火を見るよりも明らかです。その結果、大阪市で1,141人、横浜市で400人いることがわかりました。
このケースでは、そういう「不心得者」というか「不正受験者」がいなければ、合格したであろう「高卒受験者」が「被害者」になります。そして、そういう不正を見抜けなかった地方自治体にも、何らかの責任がありそうです。
一般企業では、「学歴などを詐称して入社した者は、解雇する。」との社内規定があるのが一般的だと思いますが、地方公務員の場合はどうなのでしょうか?上記の調査方法を見ても、かなり甘いような気がします。
また、この時は問題になっていませんが、国家公務員についても同様の「逆学歴詐称」して合格した公務員がいるのではないでしょうか?ご存知の方がおられましたら、ご教示をお願い致します。
ただ、「学歴詐称」もさることながら、「地方公務員」には「縁故採用(コネ採用)」が多いということも耳にします。これなどは、東京医大の「裏口入学」や、「学歴詐称」よりも悪質なように私には思えるのですが・・・