1.お金を寸借してなかなか返さない人
先日、テレビで「ママ友の新参者の若い主婦」からの相談で、「ママ友の食事会の『会計係』を任された結果、リーダー格の主婦から『財布を忘れた』とかの口実で、食事代の『立替え』を何度も依頼され、断り切れずに応じていたが、いつまで経っても返してくれない。人間関係を壊さずに、相手に恥をかかせず、立替金を返してもらうにはどうすればよいか、専門家に意見を求める」というのがありました。
専門家の結論がどうなったのか、最後まで見なかったのでわかりませんが、もし、専門家の意見通り言ったとしても、「人間関係を壊さず」「相手に恥をかかせず」「立て替えたお金を返してもらう」ことが出来たかどうか疑問です。全てを充足することはなかなか難しいものです。
戦前の話ですが、私の親戚の人が、大学時代に東京で下宿していた時のことです。同級生が訪ねて来て、お金の無心をしたそうです。
その親戚の人は、大変賢い人で、「こういう人は、最初は少額のお金を借りに来て、きちんと約束の期限に返して相手を信用させ、何度も借りに来て少しずつ借りる金額を増やして行き、最後は返済しないものだ」ということを、親から聞かされて知っていたので、「このお金は君にあげるから、もう二度と来ないでくれ」と言って追い返したそうです。
このような人は、今後も「友人」に値しない人なので、最初の段階できっぱり「決別宣言」をした訳です。
銀行や消費者金融のような「商業ベース」の貸金については、借りた人に対して言葉遣いに注意したり、自然災害に見舞われた直後や、不幸があった時、あるいは督促する時間帯など、ある程度「気を使う」必要はあるでしょうが、ビジネスライクに事を進められます。
しかし、個人間のお金の貸し借りの場合は、最初に挙げた例のように、なかなか難しいものです。
2.藤山寛美さんの借金エピソード
喜劇役者の藤山寛美さん(1929年~1990年)は、あれほどの人気者で、たくさんの収入があったと思いますが、「自己破産」しました。
1966年、彼が37歳の時に、当時の金額で1億8,000万円の負債を抱えて「自己破産」しています。
彼の母親は、大阪・新町のお茶屋の女将で、「遊ばない芸人は花が無くなる」という一家言を持っていたので、彼はそれを忠実に守ったとも言えます。
夜の街を金に糸目を付けず豪遊し、バーのボーイにチップとして「車のキー」を渡し、自動車一台を与えたこともあったそうです。
後輩芸人の面倒見が良かった彼は、後輩の借金を立て替えることもしばしばで、楽屋に訪ねて来た後輩芸人に、気前よく100万円とか200万円の「小遣い」をあげたり、気前よく奢ったりの「金使いの荒さ」のため、借金がかさんだ結果のようです。
彼は自らがまだ多額の借金を抱えている最中に、月亭八方さん(1948年~ )の1,000万円の借金をキャッシュで立て替えようとしましたが、八方さんは「恐れ多い」と断ったそうです。このエピソードは、八方さん自身が「借金エピソード」として何度も語っています。